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読書-歴史(日本:通史・全体):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史・全体)」 に関する記事を紹介しています。



河合 敦 (著)
扶桑社 (2018/7/1)


成人した人からすると教科書で習った日本史の内容が、現在では違った教え方をされているところも多いという、同じ扶桑社新書から出た『教科書に載せたい日本史、載らない日本史~新たな通説、知られざる偉人、不都合な歴史~』の前作とも言える作品。

和同開珎や富本銭よりも前に無文銀銭と呼ばれるシンプルな銀貨が使用されていた説や、「鎌倉新仏教」は鎌倉時代ではなく江戸時代に広まったという話、西郷隆盛が江戸無血開城後に江戸の治安維持に失敗して更迭された話など、教科書に出てこない話が特に面白い。

著者が都立高校の教師だったこともあり、文部省から出される指導要領の変遷に対して思うことを語っていたり、例えば聖徳太子や坂本龍馬を外そうとしたらクレームが多数寄せられて撤回に追い込まれた話など、歴史教育にまつわる大人の事情が垣間見えるのも、楽しくはないが興味深い部分もある。

立派な人ばかりでないことを知ることができるのも歴史の面白さだと思っていて、教科書に書かれていなくても参考になったり元気づけられたりする話も多いわけで、そうした話も知りたいと思っている。




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河合 敦 (著)
扶桑社 (2021/9/2)


教科書に書かれていたが研究が進んで書かれなくなった話、定説の陰に隠れて書かれていない異説、教科書に書かれていないが載せてほしいくらいのいい話、偉人の黒歴史などの不都合な歴史など、日本史の教科書で書かれないことを紹介している作品。

異説では『土偶を読む――130年間解かれなかった縄文神話の謎』という作品に書かれている、土偶が実は植物をかたどったという説が最もインパクトがあった。
せっかく知ったので、『土偶を読む』も読んでみたい。

いい話では徳川斉昭や鍋島直正が天然痘対策のために種痘を自分の息子に接種するなどして広めた功績や、アーネスト・サトウ、大木喬任、津田梅子、渋沢栄一の活躍などが書かれている。
この中では大木喬任が特に知られていないと感じているが、記録を残さなかったために知られていないだけで実際はかなり有能な人物だったようである。

江戸時代に越後高田藩(榊原家)が財政難を立て直すために赤倉温泉を経営していた話、「うつろ舟」という江戸時代にUFOと遭遇したと考えられなくもない話、二宮尊徳の陰に隠れがちだが太原幽学という人物がユニークなコミュニティを築いて農村復興を実現したこと、明治期にアメリカから帰化したウィリアム・メレル・ヴォーリズという人物が滋賀県で多くの建築に関わったりメンソレータムを広めたなどの話も興味深い。

残念な歴史では藤原頼長の強烈なキャラクター、平宗盛の総帥らしからぬ見苦しい言動、新しい紙幣に描かれる予定の渋沢栄一と北里柴三郎がひどい女好きということと長男の出来が悪かったという点で似ていることなどが書かれている。

まだまだ日本史に関して知られていない話は多いことを実感しつつ、楽しく読むことができた。




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本郷 和人 (著)
扶桑社 (2021/9/2)


日本史で定説と新説があって議論されがちな事柄について、著者なりの見解を語っている作品。

鎌倉・室町・江戸といった幕府が成立したとされる年はいつなのか?皇室と将軍家の力関係、承久の乱で提唱された新説への疑問、鎖国はなかった説への批判などが扱われている。

書かれている中で最も印象に残ったのは「権力は地位ではなく人につく」という話で、征夷大将軍になった年はそれ以前に権力を握っていたので幕府の成立年にするのは苦しいという考え方は分かりやすい。
関白を譲った秀吉や将軍を譲った家康などだけでなく、現代の政界でも田中角栄のように首相を退いても実権を握っていたり、議員でなくなっても派閥に影響力を残してきた青木幹雄氏や古賀誠氏のような事例を見るとその通りだと思う。

学者だと師匠筋に当たる学者や先輩、同僚などに気兼ねして書きづらいことも多いはずだが、師匠の石井進氏が権門体制論への疑問を述べただけで自説を展開しなかったことを批判していたり、先輩に当たり担当する時代も異なる荒野泰典氏が提唱した鎖国がなかった論を語る人々に対して厳しい意見を述べているなど、立場を考えると思い切ったことを書いていると感じた。

定説が変わることもある一方で、定説ができた過程にはそれなりの研究の積み重ねがあったこと、新説を提唱して目立ちたいという願望は理解するがツッコミどころへの対応もすべきなど、読ませる意見が多いと感じた。




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日本の歴史 本当は何がすごいのか
日本の歴史 本当は何がすごいのか
田中 英道
扶桑社 2012-08-25

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美術や文化の視点を中心に、日本のすごさを解説している作品。

政治や経済の記載で少し古いと思われるところもあるが、他の本で書かれていない話が多くて興味深い。

例えば遣唐使の時代にはそれ以上の頻度で唐や新羅、渤海といった周辺国から「遣日使」が来日していた話や、伊達政宗が支倉常長らを派遣した慶長遣欧使節団は徳川幕府もスポンサーを務めた海外視察を目的とした外交使節だった話、「中世」という概念は西欧から輸入されて日本に合わないので室町時代は「近代初期」とでも解釈するのが妥当などで、なかなか刺激的な内容となっている。

司馬遼太郎の『坂の上の雲』は実は達成されていたことだったと斬っていたり、日清戦争や日露戦争に至る原因は元はと言えばイギリスとロシアのグレートゲームによるものと自虐史観を払っているなど、日本への誇りを思い起こさせてくれるのもいい。

他の著作とも共通する爽快さを持って読むことができる、いい作品だと思う。




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本郷 和人 (著)
扶桑社 (2019/12/27)


史料が残っていなかったり、当時の人々が当たり前すぎて記録しようと思わなかった事柄、限られた階級の人々しか記録を残していなかった時代の民衆のこと、史料に書かれていてもいいはずなのに書かれていないことなど、日本史における空白の部分に着目し、自身の見解も含めて書かれている作品。

テーマとしては神話から読み解く古代国家や皇室の話、三種の神器に関連した多くの逸話、史料に残らないことが多い民衆の生活を推定する手法、地政学から行動を読み解く話、タブー視されて進んでいない軍事史、男女や家族の関係が時代によって大きく変化していて「伝統の…」が意外と新しかったりすることなど、歴史読み物などで扱われないことが多くて興味深い。

この中では、『吾妻鏡』に書かれていない上総介広常の死や、北条氏・後北条氏が利根川の向こうの下総や上総に進出しなかった理由、三種の神器の話のややこしさ、史料書かれているから事実とは限らないなどの話が特に印象に残った。

これらについて著者の見解や、先達の方々の研究結果、扱われた空白の部分に抱かれることが多いイメージなどが書かれていて、研究で分かっていること・分かっていないことなどの一部も知ることができるのもいい。

他の歴史読み物を読む場合に参考になる話が多く書かれていて、なかなか良かったと思う。





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