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読書-歴史(日本:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史)」 に関する記事を紹介しています。



本郷 和人 (著)
中央公論新社 (2023/3/8)


源頼朝が任じられてから武家政権のトップということになった、征夷大将軍という地位がどのような扱いだったのかを語っている作品。

「他と違う大将軍」というリクエストから征夷大将軍が選ばれた経緯や、足利義教のように将軍に就任していなくても将軍としての職務を果たしている事例などから、朝廷からの任命よりも武士たちから将軍として扱われていることが重要という話などが面白い。

室町幕府4代将軍の義持が後継者の指名をせずに「お前たちで決めろ」と語った背景には、武士たちに認められなければ意味がないという意図があったとする説にはなるほどと思う。

また、藤田達生氏が唱える足利義昭による「鞆幕府」説にも、当時義昭の政権を認めていた武士がほとんどいないから大した説ではないと語っているのも笑ってしまった。
今年初めに著者や藤田氏が出演していたNHKのテレビ番組で、著者が藤田氏の話に反論していたことを思い出し、著者が藤田氏のことをあまり好きではないんだろうなと感じてしまった。

将軍に求められてきた役割としてはまず、本領安堵などを含めた軍事面、その次に朝廷との交渉が挙げられていて、行政的な役割は後になってついてきたという話、そして頼朝や足利尊氏のように最初は自身が動く存在だったのが、徐々に神輿としての役割に変わっていった話が、映画『仁義なき戦い』の松方弘樹が演じる若頭のセリフを例に語られていたのも興味深い。




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藤井青銅 (著), 金谷俊一郎 (監修)
日本文芸社 (2016/1/29)


古代から幕末・明治にかけての日本史について、Webページがあったらこんな感じなのでは?というお遊びをしている作品。

スエヒロ著『豊臣秀吉を名乗る人物から刀狩りの連絡がきました。詐欺でしょうか?』と近い感じになっている。

古代の邪馬台国などのWebサイトは90年代後半~ゼロ年代前半頃の古いデザインになっていたり、乙巳の変や本能寺の変が発生した時期の掲示板での書き込み、奈良時代に遷都によってWebページが何度も移転するなど、いかにもありそうな感じなのが楽しい。

ただ、全体的には似たサイトを描いたページ数が多すぎて、読んでいて途中で飽きる。
取捨選択をして半分くらいのページ数であれば、もっと売れたのではないか?と思う。




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本郷 和人 (著)
宝島社 (2021/6/10)


東大史料編纂所の教授が、日本史の教科書や定説が研究が進んできたために変わってきた部分を紹介している作品。

著者の作品を何冊か読んでいると重なるものが多いのと、近いテーマでは河合敦氏なども書いているため、本書で初めて知ったことがあまりなかった。

著者としては繰り返し語りたいことなのだろうが、読む側としてはあまり刺さらなかった。





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豊臣秀吉を名乗る人物から刀狩りの連絡がきました。詐欺でしょうか?豊臣秀吉を名乗る人物から刀狩りの連絡がきました。詐欺でしょうか?

スエヒロ
幻冬舎 2016-06-30

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歴史上の人物や事件を、LINEのやり取りやAmazonのレビュー、家電の取扱説明書、イベントのチケット、Yahooの知恵袋など、現代のさまざまな媒体にしたらこんな風になるのでは?というお遊びをしている作品。

壇ノ浦の合戦や大塩平八郎の乱のチケットの座席がひどい目に遭いそうな場所だったり、小早川秀秋の裏切りに際しての西軍武将たちからの寄せ書きの切なさ、地動説やヴァスコ・ダ・ガマの喜望峰ルートのバナー広告のうさん臭さなど、クスッとしたりじわじわくる笑いがあって楽しい。





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本郷 和人 (監修)
学研プラス (2021/10/7)


上杉謙信や家康の資産額、信長が安土城で取った観覧料、新撰組の給料など、歴史上費やされたり蓄えられたお金を現在の価値に換算していくらくらいになるか?を紹介している歴史読み物。

子供向けの作品だが、扱われているテーマが面白いので読んでみた。

戦争にかかる金額の大きさや、身分による給与の格差、物価の変動などが印象に残る。

さすがに物足りなさはあるので、著者が新書で書いている『「お金」で読む日本史』も読んでみたいと思っている。





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