読書-歴史(日本:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史)」 に関する記事を紹介しています。


ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義 (PHPビジネス新書)
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藤野 英人
PHP研究所 2010-12-18

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「ひふみ投信」を運営するレオス・キャピタルワークスの藤野英人氏による、商業の観点から日本史を語っている作品。

日本人には社交的な「ウミヒコ」と内向的な「ヤマヒコ」の性格を併せ持っていて、国際情勢や経済の動向などによってどちらかの性格が強く出ることを繰り返すという歴史観で話を進めている。

シナで農耕民の政権が安定した時代に「ウミヒコ」の性格が出やすく、海上交易、西日本重視、貿易拡大、自由などがキーワードとなる。

それに対してシナで内乱状態に陥ったり遊牧民の政権になった場合は「ヤマヒコ」になり、陸上交易、東日本重視、内需拡大、平等などがキーワードとなる。

当然どちらがいいというわけではなく、それぞれの長所と短所が出ていて、片方が続くと揺り返しが起こっていることがわかる。

そして、歴史上で行われた経済政策に対する批評もなされている。

まず、一部の階層から支持を受けるために実情を無視したおかしな政策、例えば徳政令、金利制限(これをやっている国の方が少ないらしい)、過度な規制、官庁主導による民間企業の合併などを実施すると、商業の基本となる信用が崩れたり、産業構造がいびつになるなどの弊害が大きいことを例を挙げて解説している。

また、貴族や官僚やインテリなど、指導者に当たる人々が経済を理解していない場合は経済が混乱し、民衆がつけを払わされることになるのも理解しやすい。

商業道徳については、海外との貿易が少なくなる「ヤマヒコ」の傾向が強い江戸時代に発達したのは、内向きである分継続的な取り引きが多かったためではないかと思っている。
(「ウミヒコ」の時代は少々あこぎなことをやっても別の取引先を見つけやすい)

著者が重視する中国に関しては世界が広くなったことでむしろアメリカの方を考慮した方がいいような気もするが、分かりやすい対比で話を進めていて、興味深く読むことができた。





お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が「古代~現代史」にガサ入れお金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が「古代~現代史」にガサ入れ

大村 大次郎
KADOKAWA 2016-03-11

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30の都市からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
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金田 章裕
日本経済新聞出版社 2017-02-02

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日本の30都市を選び、その歴史を解説している作品。

東京、大阪、名古屋、京都といった過去も現在も知られている都市、神戸、横浜、札幌、函館、新潟といった比較的新しい都市、十三湊(青森県)、平泉(岩手県)、鞆の浦(広島県)、今井(奈良県)といった現在はそれほどでなくても過去に栄えていた都市と、読んでいくと扱われている理由が分かってくる。

読んでいる人が住んでいる地域によって馴染みがあったりなかったりすると思うので、その土地の話を知ることができ、地理の本として読むこともできる。

地形や地勢についての話も書かれていて、NHKで放送されている教養バラエティ番組「ブラタモリ」で扱われた都市と重なるところも多いので、合わせて読むとより楽しめると思う。

もう少し深く知りたい場合は下に挙げる関連記事で挙げたような本に進むこともできるので、こうしたジャンルの入り口の作品として、興味深く読むことができた。






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「街道」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)
「街道」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)
安藤 優一郎
PHP研究所 2016-11-04

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街道という切り口から日本史における出来事の背景を、20章にわたって解説している作品。
東海道や中山道といった比較的有名な街道から、下田街道や秋葉街道、伊那街道といったローカルな感じがする街道に至るまで多くの街道が幅広く扱われている。

信長、秀吉、家康をはじめとした戦国大名による合戦や江戸時代での交易や観光、明治時代における近代国家建設といった話との関連が分かりやすく書かれていて、興味深く読み進んでいくことができる。
特に下記の話はあまり知らなかったので、特に面白かった。
  • 江戸時代における箱根の関所は厳重なイメージがあるが、旅行者の激増によって厳しい検問ができなくなっていった
  • 伊豆半島南端の下田は江戸時代に港町として栄え、幕府の役人が往来するために天城越えをする下田街道が利用されていた
  • 駿河と相模の間は足柄ルートがメインだったが、富士山の噴火に遭ったことをきっかけに箱根ルートがメインになった
  • 秋葉原の地名は、火伏の神を祀っている遠江の秋葉神社に由来する
  • 中馬(ちゅうま)と呼ばれる、江戸幕府の認可を受けていない運送業者が伊那街道で活動していて、幕府もその影響力を認めざるを得なかった
街道というタイトルからは司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズを連想するが、タイトルを見る限りでは本書で扱われている街道と必ずしも重なっておらず、それぞれ別で楽しめそうである。

読者が楽しめそうな街道のネタは他にも少なくとも1冊分くらいはあると思うので、続編が出ることも期待したい。
また、著者の本は初めてだと思うので、他にも何冊か読んでみようと考えている。






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学校では教えてくれない日本史の授業 謎の真相 (PHP文庫)
学校では教えてくれない日本史の授業 謎の真相 (PHP文庫)
井沢 元彦
PHP研究所 2016-02-03

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井沢元彦による、日本史における謎や知られざる真相などを紹介している作品。

内容としては柿本人麻呂が正史に出てこない謎、親鸞や道元の教えから教団ができた経緯、山本勘助の実在が否定されていた事情、竹中半兵衛と黒田官兵衛の違い、水戸黄門の講談ができた裏話などで、刺激的な話がいくつも扱われている。

まず、柿本人麻呂は歌人として知っていたがその実態には不明な点が多く、江戸時代の賀茂真淵が唱えた説からあまり研究が進んでいなかったらしい。
これに対して哲学者の梅原猛が画期的な新説を出したところ、益田勝実などの国文学者たちからは非論理的な反論がなされたようで、学界の権威が自由な議論を邪魔するといういやな風潮が語られている。

親鸞と道元のところでは親鸞には覚如、道元には瑩山(けいざん)という弟子がイエスにとってのパウロのような人物だったようで、浄土真宗では血縁による権威付け、曹洞宗では民間信仰を取り入れたことによって大衆受けするようになったことが書かれている。

武田信玄が信長と家康の領土へ侵攻したルートは信濃から遠江に南下するもので、信長が支配する東美濃へ直接攻めなかった理由が書かれていてなるほどと思った。
死が近いことを知ったために西への行軍を急いだように書かれているが、死が近いのならば家康にとどめを刺すという選択にならなかったのはなぜなのだろうと疑問に感じた。

他にも山本勘助が肥前松浦藩で書かれた『武功夜話』で貶められた書かれ方になっているのは勘助を持ち上げる甲州流ではなく山鹿流軍学を信奉していたためとか、竹中半兵衛が軍師で黒田官兵衛が副将という性格の分け方、水戸黄門の講談成立には政治的敗者だったという現実だけでなく幕末に水戸斉昭の策謀があったことなど、日本史好きの人が食いつくような話題が多く扱われていて、思っていたより早く読み終えた。






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地名から歴史を読む方法―地名の由来に秘められた意外な日本史 (KAWADE夢新書)
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武光 誠
河出書房新社 1999-01

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先日読んだ『地名の歴史 そんな秘密があったのか----たとえば「飛鳥」と「明日香」の地名の違いとは?』の姉妹編のような作品。

旧国名への愛着から、市名が重なった場合は陸前高田市、河内長野市のように旧国名をつけた市名にする場合が多いことや、一世代が過ぎると新たな市名が定着して旧地名が忘れられがちになる話が印象に残る。

市町村合併で対等合併の場合はどの旧市名・旧町名にしてもしこりが残りがちなため、ひらがなやカタカナ、観光地などに由来する地名が採用される事例が書かれていて、そうした場合に元々あった地名の意味が失われがちだとしている。
そしてそうした事例には、3.11でニュースに取り上げられることが多い福島県飯舘村も扱われていたのに少し驚いた。

地形に由来する地名は川、野原、坂、山、谷、海岸、岬の7種類に大別されることや、地名がなまったりめでたい文字に変更するなどの変化によってちょっと読んだだけでは意味が類推できないものも多いことに気づく。

神聖な動物にちなむ地名として、狼、蛇、鶏、鵜、狐(稲荷)などに関連している地名も多く、ここでは鶏が海の向こうにある常世国の鳥と信じられていたという話が面白い。

他にも奈良時代の官庁や寺院に由来する地名、荘園に関する地名、新田開発に関する地名、企業や職業などに由来する地名などの話が扱われている。

面白い地名の由来、ありきたりに感じてあまり面白くなかった地名の話とばらつきはあるが、まずまず興味深く読んだかと思う。






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