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読書-歴史(日本:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史)」 に関する記事を紹介しています。





メディアに出ることが多い東大の史料編纂所教授による、軍事のリアルさから日本史を語っている作品。
戦前は軍部による精神主義的な考え方の押し付け、戦後は敗戦による軍事を忌避する傾向によって歴史学で真っ向から軍事について語られることが少ないことを問題提起し、本書は書かれている。

軍事の前提として戦術、戦略、兵站、兵力、装備、大義名分の6要素のどれもが重要であり、戦術で他の不利を逆転しようという考え方は邪道だとバッサリ切り捨てている。

大抵の場合は兵力や装備が優れた側が勝つわけだし兵站が続かなければ戦争できないわけで、それらを準備するための経済力を備えることを、石高当たりどれくらいの兵力が出せるか?という話につなげている。

兵隊にしてもプロの軍人でない徴兵された一般大衆は戦争なんて行きたくもないし殺すのは怖いという感覚を持つのは当然であるとして、彼らを戦わせるための装備の工夫や煽るための大義名分などにも話が及んでいる。

戦国武将の話では近畿を支配したことで共通する信長と三好長慶でも動員した兵力に大きく差があるとしていたり、武田信玄の戦略的な微妙さ、秀吉が実施した戦争における革命的手法、家康の哲学が「江戸」の地名を変えなかったのではないかという話など、興味深い部分が多かった。

あまり歴史学で語られないところがきちんと書かれているように感じていて、興味深く読むことができた。






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関連タグ : 本郷和人,



近江(滋賀県)における日本史にまつわる人物の話や史跡などについて解説している作品。
産経新聞関西版で連載していたものを、単行本用に再編成したものとのことである。

越前(福井県)の三国出身とされている継体天皇が近江の出身とする説や古代の天皇家の外戚として知られる息長氏の地盤が近江だったらしいこと、遣隋使の小野妹子も近江出身など、古代では知らなかった話が多くて興味深い。

その後は比叡山を擁している事で最澄、円仁、円珍といった天台宗や、比叡山で学んだ鎌倉新仏教の開祖たち、近江の南部や頭部で布教活動をして比叡山から迫害に遭った一向宗の蓮如の話も出てくる。

中世から近世にかけては浅井長政の小谷城、信長の安土城や秀吉の長浜城、家康が本能寺の変後に甲賀を経由して落ち延びた話、石田三成の佐和山城、豊臣秀次の八幡山城、京極高次の大津城など、比較的有名な話が多く出てくる。

江戸時代では中江藤樹、松尾芭蕉、井伊直弼などの話、明治では琵琶湖疏水や大津事件が扱われている。

東西の交通の要地で琵琶湖を要する物流の拠点、そして古代は穀倉地帯だったこともあり、歴史上の人物や史跡が多い場所であることを再認識させられる。

それはそれとして、全体を通すと「テーマはいいが編成がまずい」という印象を受けた。
バサラ大名の佐々木道誉や蒲生氏郷、藤堂高虎といった近江出身の人物があまり扱われていないのはページ数の都合上や著者のチョイスということもあって仕方ないかもしれないが、書き方によってはもっと面白い作品になったはずだとも思う。





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北陸から見た日本史 (歴史新書)
Posted with Amakuri
読売新聞北陸支社 2015/2/18
洋泉社


読売新聞の北陸地方版で連載されていた、北陸からの歴史を語った作品をまとめている本。
福井県・石川県・富山県のことがメインで、新潟県はあまり扱われていない。

執筆者には本郷和人、呉座勇一、磯田道史、千田嘉博、鈴木浩三と、過去に著作を読んだことがあって第一線で活躍している歴史学者が名を連ねているのがなかなか豪華な企画だったのだと思う。

扱われているのは古くから日本海での交易が盛んだったという考古学の研究結果、木曽義仲を支えた北陸の武士たちの勢力、「平家にあらずんば人にあらず」の言葉で知られる平時忠が能登に流されて時国家の祖となった話、南北朝の時代に越前で一時的に天皇として振舞った恒良親王と新田義貞らの活躍、前田利家に始まる前田家における他の大名や徳川幕府とのやり取りなどが扱われていて、特に中世以降が面白い。

兼六園、一乗谷朝倉氏遺跡、金沢城、高岡城、七尾城など、史跡や名勝の話もなされていて、特に兼六園の由来や規模が拡大した過程、明治以降の扱いの変化などはほとんど知らなかったので興味深かった。

欲を言えば越前から大和に迎えられた継体天皇のことや江戸時代の西廻り航路、加賀の一向一揆などの話ももっと書かれていると良かったが、あまり求めすぎてもいけないか。

必ずしも大きな扱いをされるとは言えない地域の歴史が書かれていて、興味深く読むことができた。






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お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が「古代~現代史」にガサ入れ (中経の文庫)
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元国税調査官による、お金の流れから日本の歴史を解説している作品。

著者の作品では『お金の流れで見る戦国時代 歴戦の武将も、そろばんには勝てない』などの戦国時代をお金の観点から解説した作品を読んでいたために重なる部分も多いが、古代や近世以降についてもお金の面で歴史上の事件の観方が変わってくるので興味深い。

特に、マルクス主義史観や薩長中心の明治時代から見た江戸時代は立場上問題の多い暗黒時代であったかのように語られることが多いが、町人というほとんどの商工業者はほぼ無税、農民も意外なほどに税負担が軽かったという話には驚かされる。
このように税金が安かったから公務員に当たる武士階級の生活が苦しかったというのも納得がいく。

明治時代も思われていたほど税率が高かったわけでもなく、日清戦争でも酒税と国内での債券を財源とした軍隊で勝利することができた話がなされていて、かなり驚いた。
日露戦争で高橋是清らがヨーロッパで公債を募集した話は有名なので、こちらはそれほど目新しくはなかった。

第二次世界大戦に至る伏線としてはインド市場における日本とイギリスの経済摩擦や、経済的に持ちつ持たれつの関係だったのに満州をめぐってアメリカと戦わなければならなくなった悲劇、国内での経済格差が誤った方向に進んだ要因となった話などが書かれている。
アメリカにしてもイギリスにしても、日本のしぶとさに手を焼かされたというのは間違いないようである。

その後は日本の経済成長や産業の発達における背景として、旧日本軍の遺産が無視できないレベルで重要だったことが書かれている。
このあたりは日教組の教師が歴史の授業で語りたがらないところと思われるので、留意しておきたいところである。

著者の現代の経済政策についての考え方が妥当なのかどうかは分からないが、歴史をお金から分析している話は他の著作と同様に興味深く読むことができた。






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日本史を天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の7つのテーマを用い、一連の流れとして分かりやすく解説している作品。

律令制が教科書で書かれているほどには実施されていなかったのでは?という話や、「職の体系」と実際の土地管理のギャップが武士階級の出現につながったこと、戦略目標を達成できたかどうかで見ると(南北朝時代の)青野原の合戦、川中島の合戦、関ヶ原の合戦などの構造が理解しやすくなるなど、時代によって対象のテーマが変化する話が面白い。

平易に書かれている分だけとがったところは少なくなっている気もするが、著者がタコツボ的な歴史学界の弊害に問題意識を持って本書を書いた話などの書いていたり、通説での記述では漏れてしまいがちな話が多く書かれていて、興味深く読むことができた。






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