読書-歴史(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本)」 に関する記事を紹介しています。


「街道」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)
「街道」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)
安藤 優一郎
PHP研究所 2016-11-04

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街道という切り口から日本史における出来事の背景を、20章にわたって解説している作品。
東海道や中山道といった比較的有名な街道から、下田街道や秋葉街道、伊那街道といったローカルな感じがする街道に至るまで多くの街道が幅広く扱われている。

信長、秀吉、家康をはじめとした戦国大名による合戦や江戸時代での交易や観光、明治時代における近代国家建設といった話との関連が分かりやすく書かれていて、興味深く読み進んでいくことができる。
特に下記の話はあまり知らなかったので、特に面白かった。
  • 江戸時代における箱根の関所は厳重なイメージがあるが、旅行者の激増によって厳しい検問ができなくなっていった
  • 伊豆半島南端の下田は江戸時代に港町として栄え、幕府の役人が往来するために天城越えをする下田街道が利用されていた
  • 駿河と相模の間は足柄ルートがメインだったが、富士山の噴火に遭ったことをきっかけに箱根ルートがメインになった
  • 秋葉原の地名は、火伏の神を祀っている遠江の秋葉神社に由来する
  • 中馬(ちゅうま)と呼ばれる、江戸幕府の認可を受けていない運送業者が伊那街道で活動していて、幕府もその影響力を認めざるを得なかった
街道というタイトルからは司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズを連想するが、タイトルを見る限りでは本書で扱われている街道と必ずしも重なっておらず、それぞれ別で楽しめそうである。

読者が楽しめそうな街道のネタは他にも少なくとも1冊分くらいはあると思うので、続編が出ることも期待したい。
また、著者の本は初めてだと思うので、他にも何冊か読んでみようと考えている。






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なぜ家康の家臣団は最強組織になったのか (竹書房新書)
なぜ家康の家臣団は最強組織になったのか (竹書房新書)
小野 雅彦
竹書房 2014-08-28

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家康とその家臣団が、どのような経験を積んで江戸幕府を安定させるに至ったのかを、家康の生涯を追いながら解説している作品。

人質時代に人間の洞察力を磨いたり、三河一向一揆で一度は一揆軍に加担した家臣の帰参を認めたり今川・武田・北条などの旧臣を受け入れた包容力、長所と短所や愛称などを把握して絶妙な人事を行ったことなど、家康による家臣に対する見事な対応が印象に残る。

このあたりは宮城谷昌光の『古城の風景〈2〉一向一揆の城 徳川の城 今川の城』にもあったように、家康とともに戦っていったことで本多忠勝や榊原康政、井伊直政のように若い頃から仕えていた武将が成長していった部分も大きい。

信長のように能力本意だけに偏らず、そして秀吉のように利益で釣るタイプでもなく、利益だけでなく名誉や役割の充実感なども合わせて人間の心理を読み取ったようなマネジメントが家康から伝わってくる。

そして家康だけの話でもなく、慈悲深い大将だったと評される祖父の清康のような一族の遺徳や、家康のために成果を出してきた家臣たちの働きについても書かれていて、さまざまな要素が重なって成功したのだということが感じられた。

時系列に沿って分かりやすく書かれていて、興味深く読むことができた。





徳川家臣団の謎 (角川選書)徳川家臣団の謎 (角川選書)

菊地 浩之
KADOKAWA 2016-09-28

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関連タグ : 徳川家康,

信長はイエズス会に爆殺され、家康は摩り替えられた
信長はイエズス会に爆殺され、家康は摩り替えられた
副島 隆彦
PHP研究所 2015-12-17

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少し前にベストセラーとなった明智憲三郎著『本能寺の変 431年目の真実』と、八切止夫著『信長殺し、光秀ではない』などを元に、著者独自の調査や推論を加えて歴史の闇を探っている作品。

桶狭間の合戦、本能寺の変、関ヶ原の合戦という3つの事件を中心に、信長と家康、そして彼らに関係する人々のことを語っている。

まず、本能寺の変は下記の構図で犯行がなされ、殺害方法は本能寺の床下に仕掛けた黒色火薬による爆殺としている。
  • 主犯 : イエズス会のヴァリリャーノ、オルガンティーノ、信長の小姓となった黒人(?)のヤスケなど
  • 従犯 : 明智光秀、細川藤孝、高山右近などのキリシタン大名と隠れキリシタン大名
  • 関与はしていないが、犯行計画は知っていた : 秀吉、家康
このあたりは、これまで上記の本を読んでいたので流れが分かりやすかった。
そして『信長殺し、光秀ではない』は読みにくくて頭に入っていない部分も多かったので理解が進んだ。

ルイス・フロイスら宣教師たちの書簡などからも信長がイエズス会の策略に乗らず、相容れない敵だという認識が形成されてきた記述があったようで、イエズス会のようなキリスト教勢力の力は恐ろしいと感じた。
おそらくバチカン市国には、公開されてはまずい史料も多く収められているのではないかと思う。

はたして普段から信長の家来が多く常駐していると思われる本能寺に、気づかれないように大量の火薬を仕掛けることが可能なのか?という部分には大いに疑問があるが、動機などからはありそうに思えてくる。

そして、家康については八切止夫著『徳川家康は二人だった』や村岡素一郎著『史疑徳川家康』に書かれている摩り替り説を採っている。

家康のおじとされる水野信元・忠重兄弟が忍者だったとか、三方ヶ原の合戦で実際は浜松城は武田軍が攻略して徳川兵を皆殺しにしたとか、(新)家康は桶狭間の合戦直後からずっと岡崎城ではなく浜松城を本拠としていたなど、通説と大きく異なる説を語っている。
そして関ヶ原の合戦では、ある新兵器が勝敗を決定付けたとしている。

全体的には非常に面白い話だったと思うが、決め付けている割に根拠付けが少ないので、もう少し材料を示してほしいところではある。
それと、人名ミス、漢字の変換ミスが多いのが読むリズムを悪くした。

そうした欠点はあるが、刺激的な話が多くて興味深く読むことができた。






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関連タグ : 織田信長,

「桶狭間」は経済戦争だった (青春新書インテリジェンス)
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武田 知弘
青春出版社 2014-06-03

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信長と他の大名の経済的なセンスの差から、戦国時代を解説している作品。
以前読んだ『織田信長のマネー革命 経済戦争としての戦国時代』の続編のような位置づけとなっている。

桶狭間の合戦で今川義元は上洛ではなく知多半島における交易の利権を狙って侵攻したと思われることや、駿河・遠江・三河の生産力では通説ほどの軍勢は集められないはずで、『信長公記』などで話が盛られた可能性が高いという。

そして地図上では面積が狭い印象のある尾張は肥沃な上に伊勢湾交易で農業生産と匹敵するくらいの利益を出していて、織田軍と今川軍の差はせいぜい2倍かそこらだったのではないかとしている。

その時期に信長の居城だった清須城の遺構からはイメージされるよりも巨大な城だったことから、多数の常備軍を収容していて活用していたことが推定されるという話に驚く。

生産に関わらない常備軍を運営するには当然多額の金がかかるが、それを実現できるほどに豊かだったということでもある。

そして義元の他に、信長と武田信玄、毛利元就、上杉謙信との比較もしている。

まず信玄の場合、領国が生産高が低い上に経済封鎖を受けやすい内陸国という悪条件があり、、そんな中で治水事業や金鉱の開発、重税などによって強大な勢力を組織したことを評価すべきだという。

三方ヶ原の合戦で家康が武田軍に攻めかかったのは面子の問題もあったのだろうが、武田軍の装備が遅れていて甘く見ていたのではないかと書かれているのに驚く。
浜松城を攻めなかったのも短期間で攻略できる自信がなかったためとしていて、その理由なら納得しやすい。

それでは鉱山や港湾の利権を握っていて経済的に豊かだった元就や謙信の場合はなぜ信長に勝てなかったのか?という話に移る。

これは寺社勢力や国人層の権益に手をつけられなかったことや、収益を政治や軍事に十分に活用できなかったこと、そもそも天下統一への意識がなかったことなどを原因に挙げている。

戦国時代を経済的な背景から分かりやすく解説していて、前作同様に興味深く読むことができた。






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関連タグ : 織田信長,

学校では教えてくれない日本史の授業 謎の真相 (PHP文庫)
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井沢 元彦
PHP研究所 2016-02-03

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井沢元彦による、日本史における謎や知られざる真相などを紹介している作品。

内容としては柿本人麻呂が正史に出てこない謎、親鸞や道元の教えから教団ができた経緯、山本勘助の実在が否定されていた事情、竹中半兵衛と黒田官兵衛の違い、水戸黄門の講談ができた裏話などで、刺激的な話がいくつも扱われている。

まず、柿本人麻呂は歌人として知っていたがその実態には不明な点が多く、江戸時代の賀茂真淵が唱えた説からあまり研究が進んでいなかったらしい。
これに対して哲学者の梅原猛が画期的な新説を出したところ、益田勝実などの国文学者たちからは非論理的な反論がなされたようで、学界の権威が自由な議論を邪魔するといういやな風潮が語られている。

親鸞と道元のところでは親鸞には覚如、道元には瑩山(けいざん)という弟子がイエスにとってのパウロのような人物だったようで、浄土真宗では血縁による権威付け、曹洞宗では民間信仰を取り入れたことによって大衆受けするようになったことが書かれている。

武田信玄が信長と家康の領土へ侵攻したルートは信濃から遠江に南下するもので、信長が支配する東美濃へ直接攻めなかった理由が書かれていてなるほどと思った。
死が近いことを知ったために西への行軍を急いだように書かれているが、死が近いのならば家康にとどめを刺すという選択にならなかったのはなぜなのだろうと疑問に感じた。

他にも山本勘助が肥前松浦藩で書かれた『武功夜話』で貶められた書かれ方になっているのは勘助を持ち上げる甲州流ではなく山鹿流軍学を信奉していたためとか、竹中半兵衛が軍師で黒田官兵衛が副将という性格の分け方、水戸黄門の講談成立には政治的敗者だったという現実だけでなく幕末に水戸斉昭の策謀があったことなど、日本史好きの人が食いつくような話題が多く扱われていて、思っていたより早く読み終えた。






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