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読書-歴史(日本:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史)」 に関する記事を紹介しています。



竹村 公太郎 (著)
宝島社 (2019/8/9)


元建設官僚の竹村公太郎氏による、地形と水脈から日本史を語っている作品。
他の著書と重なる部分もあるが、水脈というキーワードで語っているところがポイントとなる。

古代に大和盆地にあったと思われる広大な湖が地形変動あるいは長年にわたる亀の瀬からの水抜き工事によって肥沃な耕地に作り替えられた説や、源平の合戦では源氏にも東国の水軍が多く味方していた一方で木曽義仲軍にはろくな水軍がなかったという話、戦国時代に長島の一向一揆が信長に長年敵対できたのは輪中地域という地の利を得ていたという理由、秀吉には大阪への遷都構想があったなど、初めて知ったと思う話がそれなりに書かれていて興味深かった。

NHKで放送中の「ブラタモリ」でも扱われた、信玄堤でお祭りによって堤を踏み固めていた話や、秀吉による京都をお土居で囲んで防御を固めていた話も出てきて、懐かしく思い出したりもした。

地形図がモノクロで分かりにくいとか、もう少し地図があればもっと分かりやすかったと思うなど注文を付けたいところもあることはあるが、なかなか良かったと思う。






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日本史の新常識 (文春新書)
文藝春秋 (編集)
文藝春秋 2018/11/20



古代から明治時代にかけて、通説と異なることが判明した最近の日本史の研究結果について、歴史学者や研究者、歴史作家などが解説している作品。
当ブログで著作をしばしば紹介している、出口治明氏や本郷和人氏も執筆している。

古代では「日出ずる国の天子・・・」と仏教の関連、壬申の乱と唐VS新羅の戦争の関連、平安貴族がしきたりで激務だったこと、光源氏のような貴族が『殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語』にもあるように暴力的だった話などで、貴族が暴力的だったのはしきたりの激務でストレスがたまったこともあるのかもしれない・・・と思ってしまった。

中世以降では信長がけっこう世論を気にしていたことや、「慶安のお触書」が実は慶安時代に全国的に発令されたわけではないという衝撃、明治時代の留守政府がラディカルな改革を次々と断行したのはリーダーシップが弱くて各省庁が頑張りまくったためという話、西郷隆盛がイメージに反して繊細でストレスで何度も体調不良になっていたエピソード、西郷隆盛幻想の危険性などの話が興味深い。

中でもマニアックで印象に残ったのは、姫路藩酒井雅楽頭家の家老として藩の名誉回復に活躍した河合道臣(隼之助)の話である。
道臣のことは小説『財政再建の名家老 河合道臣』で財政再建に成功していたことは知っていたが、酒井雅楽頭家を没落前の状態に再興させた話は初めて知り、前述の小説では彼の業績が多くて書ききれなかったのだろうと思った。
(あるいは、書かれていたけど私が読み飛ばしてしまっていただけかもしれない)

新たに知ることができた日本史の知識が多く、興味深く読むことができた。





世界史の新常識 (文春新書)
文藝春秋 (編集)
文藝春秋 2019/3/20


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AKB48大好きなことでも知られ「あきちゃ教授」と呼ばれたこともある東大史料編纂所教授による、約700年に及ぶ武士の時代における乱や変と名がつく軍事行動を語っている作品。

軍事行動には乱、変、合戦、擾乱、戦争などの名前がついているが、名前がつくはっきりした基準はなく、規模や歴史的な影響、関係者の身分などにより左右されてきたようである。

そして扱われているのは平将門の乱、保元の乱/平治の乱、治承・寿永の乱、承久の乱、足利尊氏の反乱、観応の擾乱、明徳の乱、応仁の乱、本能寺の変、島原の乱と続き、最後の国内戦争とされる西南戦争で締めとなっている。

前半では著者が専門とする中世史で論争の議題となっている「権門体制論」と「東国国家論」を用いて話をしていて、将門あたりで意識されてきた東国国家が頼朝で確立、承久の乱で西国にも影響力を得た上、室町幕府になることで重点が西に移り、足利義満・細川頼之の時代に東国を切り離した・・・といった感じの構図となっている。
著者は東国国家論を支持する立場なのでこうなっているが、例えば京大や日文研などの歴史学者が語るとまた別の歴史になるのだろう。

室町幕府のところでは管領・細川頼之が足利義満の政策のほとんどに影響力を行使していたらしい話や、観応の擾乱から明徳の乱、応仁の乱に至る戦乱は、勝ち組(細川、赤松、京極など)VS負け組(山名、大内、土岐など)という対立軸が続いたことも大きいという話が興味深い。

そして島原の乱は一向一揆から続いてきた平等を求める勢力の最後の抵抗で、勝利したのが信長・秀吉・家康などが乗っかった平和を求める勢力という構図や、指導者の天草四郎は複数人存在してチームだったという「天草四郎AKB48論」を語っているのが印象に残る。
島原の乱に参加した大名家の記録には「天草四郎を捕らえて首をはねた」というものが複数あるとのことで、テレビで話したら地元の議員からクレームがあったのは、イメージが安っぽくなるためだろう。

教科書などで有名な乱や変を一続きの流れで捉えたり、知らなかった視点からの話があったりと、大いに興味深く読むことができた。






考える日本史(河出新書)
本郷和人
河出書房新社 2018/11/21


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『梅干と日本刀』などの著作で知られる考古学者の樋口清之による、火、水、山、植物、微生物、土、石、湿気といった自然と日本人がいかに関わってきたかを紹介している作品。

日本人がWhyを考えるのは後回しにしてHowを追求するのが得意だったり、祟りという概念によって自然保護を実現していたり、薬効や実用性のあるものを縁起物として尊んだなど、それなりに理のある暮らしぶりだったことが伝わってくる。

WhyとHowについては水が水蒸気になることを知っていて蒸留に活かすことまではできたが、分析をおろそかにしたことでさらに踏み込んだ蒸気機関の発明までいかなかったという話が面白い。
江戸時代に石炭を利用した蒸気機関を実現していたらどうなっていただろうか?と考えてしまう。

水に関しては中世の城が山城だったのが鉄砲の普及もあって平地の堀や川といった、古代に遡ったように水に囲まれた城になったことや、水に囲まれた城は敵との戦いだけでなく水害にも強いという話が興味深い。

また、古代の大和盆地には広大な池あるいは湖が広がっていたと思われ、現在も地下に宙水の形で水が蓄えられていることや、古代の住居跡が一定の高さより上にしか発見されない(それより低いところは水で住めなかった)という傍証がある話もなるほどと思う。

他にも、中国で北の遊牧民と南の農耕民の対立で語られる話になるところを、前者を鉄文明、後者を銅文明で表現していて、日本に伝わった製鉄文化は北に由来する話もなかなか良かった。

細かい事例が多くて興味を持ったり持たなかったりというところはあるが、著者の作品は先人たちの知恵が書かれていて興味深いことを再認識できた。





梅干と日本刀 日本人の知恵と独創の歴史(祥伝社新書)梅干と日本刀 日本人の知恵と独創の歴史(祥伝社新書)

樋口清之
祥伝社 2014-06-02

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30の名城からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
安藤 優一郎
日本経済新聞出版社 2018/12/4



日本の名城を30選び、城が築かれた背景や地理的な利点、歴史的事件でどのような役割を果たしたか、その後の変遷などを紹介・解説している作品。
具体的には、以下30の城が扱われていて、古くは坂上田村麻呂による東北遠征、新しくは日清戦争で広島城に大本営が置かれた話などが語られている。

五稜郭、胆沢城、多賀城、会津若松城、江戸城、世田谷城、小田原城、川越城、
宇都宮城、水戸城、浜松城、上田城、金沢城、清洲城・名古屋城、岐阜城、大津城、
二条城、大坂城、千早城、姫路城、赤穂城、備中高松城、広島城、津和野城、
松山城、高知城、名護屋城、原城、熊本城、首里城

メジャーな城ばかりではなく、津和野城や世田谷城、水戸城のように必ずしも歴史の教科書などであまり扱われない城を扱っているのはマニアックでポイントが高い。

城の紹介では山城、平山城、平城の分類は知っていたが、これに加えて本丸などの曲輪の配置によって梯郭式(ていかくしき)、輪郭式(りんかくしき)、連郭式(れんかくしき)といった分類があることを知り、興味深かった。
今後城を訪れた時などにチェックしてみようと思う。

歴史的な話で印象に残ったのは、安土城、八幡山城、聚楽第、岐阜城、名護屋城、原城、大津城などが廃城になったり徹底的な破壊を受けた理由に、前の時代の権力者(例えば信長や秀吉)のイメージが強い城や、敗戦や苦戦など権力者にとっていやな記憶を思い起こさせる城を破壊することでイメージを払拭したかったという話が興味深い。
(新たな城を築くに当たって資材を転用するために解体された例も多いみたいだが)

近年になって唱えられた新説や新たな発見が紹介されていたり、例えば大坂城では冬の陣・夏の陣ではなく大塩平八郎の乱を扱ったように変化球的な話があったりと、なかなか面白かった。
ただひとつ注文を付けると、地勢に関する話があるのだから、やはり周辺の地図はつけておいて欲しい。

日経ビジネス人文庫から出されている『30の〇〇から読む〇〇史』というタイトルの本は基本的に単発のようだが、本書で紹介しきれていない城は例えば仙台城、犬山城、竹田城、松江城、萩城、岡城などいくつもあるので、続編を出してくれたらぜひ読んでみたいところである。





30の神社からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
安藤 優一郎
日本経済新聞出版社 2018/7/3


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