FC2ブログ

読書-歴史(日本:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史)」 に関する記事を紹介しています。


日本の歴史 本当は何がすごいのか
日本の歴史 本当は何がすごいのか
田中 英道
扶桑社 2012-08-25

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
日本の文化 本当は何がすごいのか
世界史の中の日本 本当は何がすごいのか
美しい「形」の日本
英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄(祥伝社新書)
いま本当に伝えたい感動的な「日本」の力



美術や文化の視点を中心に、日本のすごさを解説している作品。

政治や経済の記載で少し古いと思われるところもあるが、他の本で書かれていない話が多くて興味深い。

例えば遣唐使の時代にはそれ以上の頻度で唐や新羅、渤海といった周辺国から「遣日使」が来日していた話や、伊達政宗が支倉常長らを派遣した慶長遣欧使節団は徳川幕府もスポンサーを務めた海外視察を目的とした外交使節だった話、「中世」という概念は西欧から輸入されて日本に合わないので室町時代は「近代初期」とでも解釈するのが妥当などで、なかなか刺激的な内容となっている。

司馬遼太郎の『坂の上の雲』は実は達成されていたことだったと斬っていたり、日清戦争や日露戦争に至る原因は元はと言えばイギリスとロシアのグレートゲームによるものと自虐史観を払っているなど、日本への誇りを思い起こさせてくれるのもいい。

他の著作とも共通する爽快さを持って読むことができる、いい作品だと思う。





にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト





本郷 和人 (著)
扶桑社 (2019/12/27)


史料が残っていなかったり、当時の人々が当たり前すぎて記録しようと思わなかった事柄、限られた階級の人々しか記録を残していなかった時代の民衆のこと、史料に書かれていてもいいはずなのに書かれていないことなど、日本史における空白の部分に着目し、自身の見解も含めて書かれている作品。

テーマとしては神話から読み解く古代国家や皇室の話、三種の神器に関連した多くの逸話、史料に残らないことが多い民衆の生活を推定する手法、地政学から行動を読み解く話、タブー視されて進んでいない軍事史、男女や家族の関係が時代によって大きく変化していて「伝統の…」が意外と新しかったりすることなど、歴史読み物などで扱われないことが多くて興味深い。

この中では、『吾妻鏡』に書かれていない上総介広常の死や、北条氏・後北条氏が利根川の向こうの下総や上総に進出しなかった理由、三種の神器の話のややこしさ、史料書かれているから事実とは限らないなどの話が特に印象に残った。

これらについて著者の見解や、先達の方々の研究結果、扱われた空白の部分に抱かれることが多いイメージなどが書かれていて、研究で分かっていること・分かっていないことなどの一部も知ることができるのもいい。

他の歴史読み物を読む場合に参考になる話が多く書かれていて、なかなか良かったと思う。





にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 本郷和人,


遠山 美都男 (著), 山本 博文 (著), 関 幸彦 (著)
新潮社 (2008/3/28)


古代・中世・戦国・近世の4つの時代で、人事の良否やそれらに振り回された人々などのことを語っている作品。

通説でとは異なる話も書かれていて、乙巳の変(大化の改新)の首謀者は中大兄皇子(天智天皇)ではなく軽皇子(孝徳天皇)だったとか、菅原道真が失脚したのは藤原時平ら藤原氏によるものではなく宇多天皇と醍醐天皇の父子対立や他の学閥からの攻撃によるものだったのでは?などの話が興味深い。

また、徳川吉宗による人材抜擢のための制度とされる「足高の制」だが、これは抜擢を目指したものではなく、これまでは役職を上げると給与を代々上げていたのが財源不足のため、役職についている間だけ給与を上げるという財政上の理由と書かれていて、ちょっとがっかりする感じがした。

登場する人物では、源義経、長谷川平蔵(鬼平)、大久保彦左衛門、水野忠邦、新井白石、荻原重秀などはこの手の人事に関する本では毎回のように登場するような気がしていて、それだけ分かりやすい題材なのだろう。

朝廷での官位と官職、企業での職位(課長など)と資格(主事など)の二本立ての人事は律令制に由来するもののようで、例えば欧米などではないらしいなど、日本的な人事システムということにも考えさせられる。

話題によって面白い・面白くないは出てくるが、全体的にはまずまず興味深く読むことができたかと思う。





にほんブログ村 本ブログへ


柘植 久慶 (著)
PHP研究所 (2015/10/3)


軍事ジャーナリストでもある作家による、日本の55の城での攻城戦エピソードを解説している作品。
時期は南北朝時代から西南戦争の時期まで、場所は北が函館から南が熊本城までと幅広い範囲を扱っている。

単に誰と誰が戦ったとか状況の推移だけでなく、軍事ジャーナリストとして籠城してみたい城とか、指揮官たちの采配の良否など、軍事的な見地からの話が書かれているのも興味深い。

例えば毛利軍が伝統的に動きが鈍いとか、河井継之助は自身でガトリング砲を使ったという指揮官としての失敗、徳川秀忠軍は上田城をそこまで本気で攻めていなかったのではという疑惑、関ケ原の合戦での石田三成がやってしまったと思われる戦略的な失策など、マニアックな感じが非常にいい。

地方のあまり有名でないと思われる城や合戦も紹介されていて、なかなか良かったと思う。





にほんブログ村 本ブログへ


古市 憲寿 (著)
新潮社 (2020/9/17)


テレビ出演の多い社会学者の古市氏が、日本史が苦手になる理由は覚えることが多すぎるからだと分析し、できるだけ固有名詞を使わずにざっくりした形で理解できる日本史を語っている作品。

例えば時代区分を古代(まとまる)→中世(崩壊する)→近代(再びまとまる)といったように大きく分け、第1部の通史を150ページ以内に収めている。
また、後半の第2部では農耕や神話、土地、家族、未来、戦争と平和、歴史語りといったテーマごとの日本史を語っている。

読んでいくと「日本の伝統」とされるものが意外と新しかったり、未来予測や歴史著述はそれぞれの時代によって大きく違ってくること、土地と所有についてドラえもんの『のび太と日本誕生』を用いて説明するなど、他の作品であまり読んだことがない視点やイメージが書かれているのが面白い。

著者はテレビで観る空気の読めない感じが少し苦手なのだが、本書は意外と抵抗なく・興味深く読むことができたと思う。





にほんブログ村 本ブログへ