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読書-宗教:雨読夜話

ここでは、「読書-宗教」 に関する記事を紹介しています。



橋爪大三郎 (著)
光文社 (2022/5/11)


宗教に関する慶応大学での講義6回を書籍化した作品。

著者による『シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 世界は四大文明でできている』と近い内容で、キリスト教が2回(カトリックとアメリカなどのプロテスタント)、イスラム教、ヒンドゥー教とインド文明、中国の儒教と道教、日本での信仰についてがそれぞれ各1回で構成されている。

アメリカで金銭的な成功者がキリスト教の正当な加護を受けていると見なされているという考え方や、イスラム教のコーランをはじめとする教典についての解釈が分かれにくさが他の宗教と異なるという話、インドではヒンドゥー教が仏教は取り込めてもイスラム教は取り込めない理由と、あまり学校などで習った記憶がない話が多く刺激的である。

また、中国の話では儒教よりも仏教の話が面白い。
出家するという部分が中国の価値観に合わなくて国家の保護を与える形で受容していたのが、国家が保護をやめたら独立採算でやっていた禅宗以外は廃れたという話や、その禅宗が元々あった戒律を守る必要がないとする中国的な教えという話が印象に残る。

そして、日本の話ではカミの捉え方、神仏習合、日蓮宗や浄土真宗の受け入れられ方、江戸幕府が体制と本質的に合わない部分が多い朱子学をどのように受け入れたか、日本人の勤勉さを支える思想、近代の国家神道などを語っている。

必ずしも理解できた話ばかりとは言えないものの、さまざまな考え方があることを知るだけでも読む価値は大いにあると感じた。




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植西 聰 (著)
三笠書房 (2012/12/26)


ブッダの言葉を分かりやすい現代語訳にし、実際の生活や仕事で応用できる形に解説している作品。
前作の『「いいこと」がいっぱい起こる!ブッダの言葉』がなかなか良かったように覚えていたので、続けて読んだ。

基本的には執着から離れること、人の気持ちを考えた行動をすることなど、ブッダの本意とどれくらい合っているのかは分からないが、受け入れやすい形で書かれている。

ただ、2冊目となると少し著者の語り口に飽きたというか、目新しさが少なくなったように感じた。

面白い部分もあり、『蛇の章・犀の角』という書物から引用された言葉では全て「ただ犀の角のように、ただ独り歩め」という言葉で結ばれていて、ブッダ本人か編者(?)がよほど気に入ったフレーズだったのだろうと考えてしまった。




超訳 仏陀の言葉
白取 春彦
幻冬舎 2012/10/12



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関連タグ : 植西聰, ,


森本 あんり (著)
NHK出版 (2017/11/8)


新しくて合理的なイメージがあるアメリカで、アメリカ的なキリスト教による影響の強さをトランプ大統領当選などを例に挙げて解説している作品。

アメリカでのキリスト教はプロテスタントやカルヴァン派の流れを汲みつつもアメリカ的に変化した「福音派」というものらしく、現世で成功している者が救われているという考え方のようである。
富と名誉を追求する傾向が強くてあくまで前進するみたいなイメージで、現世での負けは自己責任みたいな扱いで宗教的な救いへの言及があまりないらしい。

また、最近ニュースなどでたまに見るようになってきた反知性主義という言葉のことも書かれていて、これは教会による支配、エリートによる支配への反発する考え方のようである。
アメリカでは教会の支配から離れて伝道師というか宣教師があちこちを歩き回って布教するスタイルが多いらしく、説教も教会ではなく野外の広場で行う事例が語られている。
国家や教会の保護を受けずに活動することとなるわけで、大衆を扇動・動員するテクニックも発達したことも書かれている。

トランプみたいなエリートっぽくないタイプの大統領はこれまでにも何人も登場していて、アイゼンハワーやブッシュJr.などもそうだが、意外とこうした大統領の時の方がうまくいっているように見えるのも面白い。

後半では正統とかポピュリズムに関する話が書かれているが、分かりにくくてあまり理解できなかった。
話自体が難しいのか、著者の語り方がまずいのか、著者も理解を整理できていないのかは分からないが、政治の話にからめると話に切れがなくなっているようにも感じた。

キリスト教でローマ教会、プロテスタント、東方教会などがあるところまでは知っていても、アメリカでのキリスト教がどのようか教えになるかはあまり知らず、アメリカ関連のニュースに役立つような話を多く知ることができてためになった。




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怒らない 禅の作法 (河出文庫)
枡野 俊明
河出書房新社 2016/4/6



庭園デザイナーとしても活躍している曹洞宗の僧侶による、日常発生しがちな怒りをいかに抑え、落ち着いた生き方ができるかのヒントを紹介している作品。

先日読んだ著者の『禅が教えるビジネス思考法』がなかなか良かったので、続けて読んだ。

僧侶としての行動や庭園デザイナーとして活動してきた経験からの気づきもあるが、あくまで普通の人向けということで、分かりやすくて比較的実践が容易と思われることが書かれている。

他人や周囲の環境に対しての怒りについてだけでなく、過去の失敗を悔いて自分自身を苦しめる感情や、整理できない感情でイライラしてしまうことなどについても書かれていて、禅宗が果たしている役割を考えさせてもくれる。
考え方もそうだが、行動や習慣が感情や考え方を変えてくれるというくだりが印象に残る。

それぞれの項目はほとんどが2~3ページという構成になっていて読みやすいところも長所である。

自身の感情や行動について、再認識させられること、気づかされることが多くて役立った。








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庭園デザイナーとしても評価が高い禅僧の枡野氏による、仕事上の悩みを禅宗の考え方や行動によって解決するヒントを語っている作品。

著者は庭園デザイナーとして個性の強い職人の方々と仕事をすることも多く、そうしたビジネス上の経験を踏まえて書かれている分、説得力があるように感じる。

職場での人間関係での悩みや、過去にやってしまった失敗をその後も引きずってしまうことなど、書かれている悩みが仕事上ほとんどの人が経験しているであろうことが書かれていて、具体的なものとなっている。

悩みや不安は自身の心が作り出すものということや、まずは目の前のことを着実に実行することで周囲からの評価を上げること、継続した行動によって自分の心も変えていくことなど、禅宗らしい話につなげていて、受け入れやすい語り口となっている。

折に触れて読み返し、不安や苦悩を少しでも軽減する役に立てられればと思っている。








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