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読書-歴史(世界:通史・テーマ別):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史・テーマ別)」 に関する記事を紹介しています。



玉木 俊明(著)
東洋経済新報社 2023年09月13日


近代に国家レベルの戦争を遂行するために国債・公債を発行する財政システムが成立した経緯と、その後社会保障費も国債で賄うようになり、経済成長が止まると破綻してしまうのでは?という話をしている作品。

著者の他の作品である『手数料と物流の経済全史』『逆転の世界史 覇権争奪の5000年』『〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史』などと重なる部分も多く、オランダで公債を募集するシステムができたが公権力が弱かったために国外に投資が流れ、いち早く議会が国債の支払いを保証するシステムを作り上げたイギリスが強大化することにつながったことが書かれている。

そして、本書のポイントとして、戦費を国債で支払うシステムが各国で作られたことと、20世紀以降に戦争が少なくなった後も社会保障費が国債に占める割合が増えている話に重点を置いて書かれている。

他の著作と同様に、順を追って丁寧に書かれているのがいい。

ただ、それまでの時代と比較して現代の話では研究が消化しきれていないのか、データを用いて傾向を語っているまででとどまっていて、その背景などに踏み込んだ話にまで進んでいないような印象も受けた。
このあたりは、次作以降に期待ということになるのかもしれない。





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村山秀太郎
実業之日本社 2017年07月


海の地政学の観点から、歴史上大きな役割を果たしてきたさまざまな国を紹介している作品。

古代のアテネやカルタゴ、ローマなど、中世のハンザ同盟やヴェネチア共和国、大航海時代のスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスなど、現代のアメリカや中国など、それぞれが支配した海域や交易の手法などが書かれている。

1項目当たり数ページで書かれているのは分かりやすいが、既に知っている話も多くて私には物足りなかった。

この手の入門的な本はほどほどにして、もう少し読みごたえのある本に絞った読書をした方がいいのかもしれない・・・と思うようになっている。




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大宮 理
PHP研究所 2022年02月03日


予備校で人気の化学講師による、化学上の発明がどのように歴史に影響を与えているかを紹介している作品。

火の利用から顔料や染料、香辛料、火薬、石油製品、肥料などと続き、第二次世界大戦で使用された原子爆弾に至るまでが書かれている。

あまりに数が多いのと、化学は苦手で分子結合や化学式のところはよく分からなかったりして消化できなかったところも多いが、例えば石油はそのままでは燃料として効率が悪く、触媒を加えるなどしてガソリンとして効率を高める話など、知らなくて興味深い話もけっこうあった。

それぞれを発見したり実用化に成功した人々が必ずしも報われたとは限らないところも、人間社会の常なのだろう。

もう少し内容を絞って、それぞれにページを割いた方が良かったのかもしれない。
少し前に読んだ『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』が、そのような構成になっていたことを思い出す。




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玉木 俊明(著)
日経プレミアシリーズ
2020年09月10日


人々を引き付けるダイヤモンドと、それに関わってきた人々の歴史を解説している作品。

中世くらいまではインドでしかダイヤモンドは発掘されておらず、ヨーロッパとは地中海で採取されたサンゴと交換する形で交易がなされてきたこと、こうした交易にはセファルディム(イベリア半島出身のユダヤ人)やアルメニア人の商人が関わることが多かった話などがなされている。

そして大航海時代になるとポルトガル人が喜望峰周りでインドへの航路を開いてダイヤモンド貿易に入ってきたこと、アシュケナージ(東欧出身のユダヤ人)がアントウェルペン(アントワープ)やアムステルダムでダイヤモンドの貿易や加工に携わるようになった話、ブラジルでもダイヤモンドが発見されてポルトガルの国営事業になった話と続く。

ここから帝国主義時代に入り、南アフリカなどでもダイヤモンドが発見されると、イギリス人のセシル・ローズが現代に続くデビアス社を結成し、大英帝国の軍隊と組んで各地を侵略してダイヤモンドのカルテルを作り上げ、小売価格が一定以上になる仕組みにしている話となり、ダイヤモンドが必需品ではなくぜいたく品だから各国からこの時期はまだ潰されなかったのかもしれないと思った。

その後はソ連領のシベリアでもダイヤモンドが大量に産出されるようになったり、GMが合成ダイヤモンドの精製に成功したこと、ソ連崩壊でロシアの企業がデビアスの指示を聞かなくなったこと、アメリカ政府から反トラスト法で罰金を科されたことなどから、デビアス社も価格管理ができなくなった話に続いている。

アフリカのように紛争が多い地域で産出されがちということで、紛争ダイヤモンドと呼ばれる闇ルートで流通するダイヤモンドが多いことも書かれている。

ダイヤモンドは炭素でできていて合成も可能、思っていた以上に少ないわけでもないということで、あくまで美しさから貴重・高価なものでなければならないという考えから、このような扱いを受けてきた物質なのだということが伝わってきた。
欲望や人が美しいと感じるという要素を外してしまえば、硬さから工業に必要ということ以外はちょっと変わった堅い石ころということなのかもしれない。





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玉木 俊明 (著)
河出書房新社 (2023/8/29)


古代文明の時代から現代にかけ、遠距離の地域をつないださまざまな中間商人たちが果たしてきた役割を解説している作品で、11章から構成されている。

セファルディムやアルメニア人のように著者の他の作品で読んだ話もあるが、ローマと漢の間で大儲けしたパルティアの商人や唐の政治にも影響力があったソグド商人、日本企業の海外での発展を支えた領事と総合商社、大英帝国とタックスヘイブンの結びつきなど、著者の作品であまり読んだ記憶がない話も多く収録されている。

パルティアは塩野七生著『ローマ人の物語』シリーズでローマ帝国が何度も苦戦を強いられる強敵として描かれているが、パルティアから見てもローマはかなりの脅威で、ローマと漢が直接取引をして強大化しないように努めていた話が印象に残る。

世界史が専門の著者の作品ではあまり読んだことがない、日本の総合商社の話は特に印象に残る。

開国して列強から不平等条約を結ばされた状態から輸出を増やさなければならない事情から、まずは各国に置かれた領事が地域ごとの情報を収集して日本企業に提供を始めた話、次いで三井物産や三菱商事のような総合商社がさまざまな取引の仲介を続けた話が書かれている。

総合商社は近年では投資銀行のようなコミッション収入だけにとどまらず、事業会社への出資や運営まで手を広げてきたことなどが書かれていて、他国では少ない日本的な業態なのだろうと感じた。

各章がコンパクトにまとまった形で書かれていて読みやすく、興味深く読むことができた。





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