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読んだ本の感想をつづったブログです。


海外貿易から読む戦国時代 PHP新書 (PHP新書)
海外貿易から読む戦国時代 PHP新書 (PHP新書)
武光 誠
PHP研究所 2004-03-15

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この本は、昨日書評を書いた『東京アウトサイダーズ』という第二次大戦後の東京で活躍したヤクザや不良外国人が出てくる本の直後に読んだので、お互いに出てくる人物がオーバーラップして感じられた。

戦国時代に倭寇の頭目として活躍した明の王直は、政府の摘発を避けるために貿易港の博多ではなく、五島や種子島で密貿易を行い、ポルトガル人の商人はマスケット銃を日本で売りさばいたために日本は欧州よりも高性能の銃を量産するようになってしまった。
(結果としてヨーロッパ人の大失敗)

これは言ってみれば、ヤクザや不良外国人が法の網を逃れて東京で麻薬や拳銃の闇取引を行っているのと全く変わらない。
違いと言えば、狭い世界になっている分だけ現代の方が政府や政治家とヤミの勢力が癒着していることか。

400年ほど時代に違いがあるが、人間のやっていることは本質的には変わってませんねえ。
このようなひねくれた見方から読んでいったので、非常に面白く読むことができた。




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関連タグ : 武光誠,

東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉 (角川文庫)
東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉 (角川文庫)
Robert Whiting(著)、 松井 みどり(訳)
角川書店 2004-01

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戦後の東京における闇社会を描いたノンフィクション。
前作のニック・ザペッティのように東京のヤミ社会で大儲けをした人物の活躍が次々と描かれている。

テレビで紹介されていたアメリカ空軍のエースパイロット”ジョナサン・クヒオ”を名乗って結婚詐欺を働いた日本人のおじさんや、湘南の資産家の息子にイギリス人女性が殺害されたルーシー・ブラックマン事件も出ており、前作よりも身近な事件も多く取り上げられていて面白かった。
(”クヒオ”は熱狂的巨人ファンで、巨人が負けててあまりに荒れてるのを怪しまれて素性がバレた。笑える)

東京が悪徳に満ちているから不良外人が多く来るのか、不良外人が多く来た結果として東京が悪徳に満ちた街になったのかという卵と鶏の関係のような問題だが、これについては筆者が断じているように、どうも前者のようである。
筆者によると、失われた10年の不況は”ヤクザ不況”であるらしい。ヤクザの懐具合がアメリカの株式と連動していると言うのがおかしいような腹立たしいような・・・

ただ、ニックという主人公を中心としている分、前作の方が面白いと思う。今作は話のまとまりという点でいまいちかな。




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新しい中世―相互依存深まる世界システム (日経ビジネス人文庫)
新しい中世―相互依存深まる世界システム (日経ビジネス人文庫)
田中 明彦
日本経済新聞社 2003-04

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冷戦後の世界、アメリカの覇権衰退後の世界システムについて、今後は中世ヨーロッパのような世界になるとの説が述べられている。

具体的には、国家以外の主体が前面に出て、相互の関係がより緊密化する世界ということなのだが、急に進むわけではなく大きく3つに分けて新中世圏(先進国)、近代圏(中進国)、混沌圏(内戦や無政府状態にある国)となる。
この中では、各地域に対してそれぞれにあった外交や政治が必要というものである。

久しぶりに世界システムに関する本だったので少し読むのに時間がかかったが、わりと納得の出来る内容だったと思う。




[著者の他の作品]


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うちの上司はなぜ言うこととやることが違うのか (日経ビジネス人文庫)
うちの上司はなぜ言うこととやることが違うのか (日経ビジネス人文庫)斉藤 勇

日本経済新聞社 2003-09
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上司が以前言っていたことと、違う指示を出されて戸惑うことは多いと思う。
それを多くの事例や実験結果を元に分析している。

主に心理学や人間科学の面から分析がなされているのだが、分かったかどうかはともかくとして
ひとこと説明があるかどうかで指示を受ける側の印象はまったく違うものらしい。

上司は部下がきちんと分かっているものとして指示を出すのだが、部下がそうでない場合に食い違いが発生して不満がたまる。

とりあえず、以前言ったことと違うことを言う場合には理由にならなくても、伝わるかどうかはともかくとして言い訳をすればいいようなので、今後少しだけやってみようと思う。

あとは、人は面と向かって頼まれる場合が一番断りづらいので頼み事は面と向かって頼むのがいいかとも思う反面、忘れられる場合もあるので、メールを出せば証拠として残るので場合によって使い分けるのがいいんだろうな。




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東京アンダーワールド (角川文庫)
東京アンダーワールド (角川文庫)
Robert Whiting(著)、 松井 みどり(訳)

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終戦直後に連合軍のGIとして日本に来て、「東京のマフィア・ボス」と呼ばれるまでに東京の裏社会を牛耳ったニコラ・ザペッティ(通称ニック)の生涯を描いたノンフィクション。

戦後の混乱期からバブル期まで、政治家や企業のような表社会とやくざなどの裏社会の関わりが次々とニックの視点を通して述べられていく。
関わった人物も力道山にハマコー、田中角栄といった大物が登場し次から次に事件が起こっていく。

ニックが基本的に儲けたのは終戦直後に六本木で開いた”ニコラス”というピザ専門店の経営だったが、作家の椎名誠が若い頃バイトしていたのがそのニコラスだったと思う。
ま、安全でうまい料理を適正な値段で食わせてくれれば少々経営者が問題のある人物でも文句はないかな。

印象的なのは、抱えている裁判を有利に進めるために米国籍を捨てて(前科だらけなのに裏口を使って)日本国籍を取得したこと、しかも何のためらいもなしに。
米国に戻るときの入国手続きを「単なる事務手続き」と言い切ってしまうあたりニックはさすが大物だと思った。




[椎名誠がニコラスでアルバイトしていたことが書かれている作品]

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