邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫) | |
![]() | 鯨 統一郎 東京創元社 1998-05 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 新・世界の七不思議 (創元推理文庫) 九つの殺人メルヘン (光文社文庫) 千年紀末古事記伝ONOGORO (ハルキ文庫) 浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス) タイムスリップ明治維新 (講談社文庫) |
バーにて行われる歴史の論争を通して、通説からかけ離れた歴史の推理を行っていく6つの歴史ミステリー連作。落語みたいなノリですいすい読み進んでいける。
宮田という謎の青年を通して、多くの資料を駆使して一見荒唐無稽ともとれる仮説を語っていくのだが、説得力があるので本当はそうなのではないかと思わされてしまう。
これほど多くの調査を行い、それでいて型破りな感じの作品を書く作家は私の中では豊田有恒以来のような気がする。
最初に作者が”この作品がフィクションであるという保証はどこにもありません”と書いているところに、思わずニヤリとしてしまった。
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まともな人 (中公新書) | |
![]() | 養老 孟司 中央公論新社 2003-10 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 こまった人 (中公新書) 無思想の発見 (ちくま新書) 死の壁 (新潮新書) かけがえのないもの 養老孟司 ガクモンの壁 (日経ビジネス人文庫) |
『バカの壁』で有名な養老氏のエッセイ集。バカの壁で語られる養老氏の視点で時事問題を斬るとどうなるのかといった部分が書かれている。
議論ばかりするから経済が良くならないんだといったようになるほどと思わされる部分もあったが、バカの壁から考え方が一貫しすぎて単調になっているようにも感じた。
”年寄りの自分にはもうあまり関係ないから”といった書き方が多くて、割り切るというか突き放した感じで書くから全体の流れが単調になるのかと思う。
正直この人はもてはやされすぎているような気がするので、今後この人の作品をあまり読もうという気にはならない。別に嫌いとまではいかないのだが、まあ合わなかったいうことだろう。

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日本文明の謎を解く―21世紀を考えるヒント | |
![]() | 竹村 公太郎 清流出版 2003-12 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 土地の文明 地形とデータで日本の都市の謎を解く 幸せな文明―日本は生き残る 本質を見抜く力―環境・食料・エネルギー (PHP新書 546) (PHP新書 546) 日本文明77の鍵 (文春新書) 日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉) |
著者は長良川河口堰など河川行政に中心的に関わってきた元建設官僚で、地勢と気象の観点から日本の歴史、社会、文化などを分析している。
徳川家康の関東への移封は水浸しの湿地帯という当時どうしようもない土地への左遷だったために家臣たちが激怒したとか、日本は大陸から見ると太平洋への進出をふさぐうっとうしい列島であったなど、これまであまり聞いたことのないことが多く出てきて、日本を考える上で大いに参考になった。
また、諫早湾の干拓が行われた年に有明海でノリ不作になりかなり干拓をマスコミから叩かれたが、その翌年に実はノリが大豊作になったことは全く知らなかったので少なからずショックを受けた。いかにマスコミが都合の悪いこと、自己の失敗を認めるようなことを触れたがらないかということが分かった。
干拓に関連して、干拓には搦(からみ)という工法がよく用いられているということが述べてあり、これは海に大きな杭を連続して打ち込み土砂を堆積させるというものである。この文字が地名にあるところは干拓によってできた土地だそうで、私の住む市にもこの地名があり河口近くの土地なので、ここも干拓によって土地が形成されたのだろう。
この工法がなんとエジプトのピラミッド建設にまで飛躍するというところがあまりにかけ離れており、最初は荒唐無稽に感じた。ピラミッドが実はナイル川が西の砂漠へと移動しないように建設された巨大な”搦”だったというのである。ナイル川の西岸沿いに連続して建設されていることなどから読んでいくうちに納得できるように感じた。現在有力な説は巨大かつ無駄な公共事業だったというもので、吉村作治教授もその説をとなえているという。
しかし本書でも書かれているように、いくらなんでも無駄のために1000年も働き続けることはできないだろうから、からみ説の方がまだ信憑性があると思う。
著者が元建設官僚なので現在の公共事業の縮小論に対して残念に感じていることが随所に出ていて、確かに懸命にやってきた仕事を否定されるのはたまったものではないなと感じた。
このような本を読むと視界が広がる思いがする。

戦国の山城をゆく―信長や秀吉に滅ぼされた世界 (集英社新書) | |
![]() | 安部 龍太郎 集英社 2004-04 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 戦国の城を歩く (ちくまプリマーブックス) 武田信玄の古戦場をゆく―なぜ武田軍団は北へ向かったのか? (集英社新書) 戦国の山城―山城の歴史と縄張を徹底ガイド (歴史群像シリーズ) 血の日本史 (新潮文庫) 戦国の城 (学研新書 (003)) |
著者が中部や畿内の山城をたずねて、その城にまつわる歴史、中でも信長や秀吉に滅ぼされるにいたる物語を語っていく。
これまであまり注目されてこなかった海民からの視点、つまり水運による交易から見た歴史が述べられているので、読んでいて新鮮だった。
特に薩摩から紀伊への交易ルートがあり、このため種子島に伝来した鉄砲が急速に根来や雑賀に伝わって強力な鉄砲隊が編成されて信長や秀吉に頑強に抵抗したという部分については、これまで考えたこともなかったので視野が開けた気がする。
他には朝倉氏の一乗谷城が日本海交易で利益を築いたらしいことや、東美濃にある岩村城の規模が大きい背景には木曾という材木の産地を擁すること、六角氏の居城観音寺城のように城中に建物が造られた城を山岳城ということらしいことなど、これまでの歴史知識にないことがいくつも出てきて、かなり勉強になった。正直本を手に取ったときはあまり期待もせずに読みやすそうという理由で買ったのだが、予想を大きく超えて面白かったので儲かったような気持ちである。
淡路島にある洲本城についても1章割かれており、ここは戦略上の要衝なのだが、これまであまり注目されてこなかった。司馬遼太郎の『播磨灘物語』でも、黒田官兵衛がちょっと出張して淡路を平定してきたように描かれていたが、実際に淡路の重要性はそんなものではないと分かった。
司馬さんは百姓という視点が中心にあったように感じるので、海民の視点はあまり得意でなかったのかもしれない。
著者の安部さんは海民からの視点などこれまでになかった視点からの歴史を述べるようなので今後の著作にも注目していきたい。
本書では近畿およびその周辺の山城ばかりが登場したので、別の作品で九州や中国、関東などの山城についても語ってほしい。

砂の器〈上〉 (新潮文庫) | |
![]() | 松本 清張 新潮社 1973-03 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 砂の器〈下〉 (新潮文庫) ゼロの焦点 (新潮文庫) 点と線 (新潮文庫) 張込み (新潮文庫―傑作短篇集) Dの複合 (新潮文庫) |
この前までTBS系のTVドラマでやっていて、メジャーどころにあまり関心を示さない私としては珍しく原作を読んでみる気になった。
TVの方は最初と途中と最終回と3度くらいしか見ていないので概要をそれほど知っているわけではないが、TVでは犯人が最初に殺人を行うところから始まっていて、読む前から犯人は分かってしまっている。それを知りながら読んだわけだが、これがけっこう面白い。
ドラマでは犯行の手口や細かな人間関係に関してはそれほど詳しくやっていなかったようで、この点に関しては素直に楽しむことができた。特に”カメダ”の謎や中盤で行われる殺人のトリックなどは思いもよらない展開で、面白かった。
ドラマでは事件を追う今西刑事を渡辺謙が、天才音楽家の和賀を中居正広が演じているが、小説を読む限り今西刑事は普通のおじさんなのだが渡辺謙が演じるとあくが強いのでハードボイルド風になってしまい、ミスキャストかな?と思える。
また、繊細なアーティストである和賀が繊細なイメージのない中居くんというのもちと厳しいかな。まあ日曜の21時というゴールデンタイムに放送するドラマの性質上、視聴率の取れそうな有名どころを配するのは仕方のないところか。
・・・小説の書評をするつもりが、ドラマと比較してドラマをあげつらうことばかりになってしまった。
ミステリーは普段あまり読んでこなかったが、この作品が面白かったので今後も松本清張を読むことになりそう。解説にも書いてあったが、松本清張の作品は様々な知識を小説の中にちりばめていくので、読んでいて多くのトリビアを得られるところがいい。
