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読んだ本の感想をつづったブログです。



日付記事タイトル                                      
2004/05/31『幹になる男、幹を支える男―この「絆」が歴史を動かした』
2004/05/30『藤堂高虎』
2004/05/26『「道徳」という土なくして「経済」の花は咲かず―日本の復活とアメリカの没落』
2004/05/25『怪盗ニックの事件簿』
2004/05/24『タイムスリップ明治維新』
2004/05/22『長谷川慶太郎の戦争と平和』
2004/05/21『タイムスリップ森鴎外』
2004/05/13福岡・柳川小旅行(下・買い物散策編)
2004/05/08福岡・柳川小旅行(中・柳川川下り編)
2004/05/07福岡・柳川小旅行(上・博多長浜編)
2004/04/29『邪馬台国はどこですか?』
2004/04/25『まともな人』
2004/04/24『日本文明の謎を解く―21世紀を考えるヒント』
2004/04/21『戦国の山城をゆく―信長や秀吉に滅ぼされた世界』
2004/04/20『砂の器〈上〉〈下〉』
2004/04/19『そして日本が勝つ―精神から見た世界史』
2004/04/17『プーチン』
2004/04/12『かえっていく場所』
2004/04/06『神聖ローマ帝国』
2004/04/05『日本政治の決算』
2004/04/04『歴史の使い方』
2004/04/03『立ち上がれ日本人』
2004/04/02『だれも知らない小さな国』
2004/04/01『怪盗ニック登場』
2004/03/30『海外貿易から読む戦国時代』
2004/03/29『東京アウトサイダーズ―東京アンダーワールド〈2〉』
2004/03/21『新しい中世』
2004/03/14『うちの上司はなぜ言うこととやることが違うのか』
2004/03/12『東京アンダーワールド』



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歴史上大きな仕事をする場面において、主役として表に立つ人物と、それを支える人物の係わり合いについていくつかの例を元に述べている。

大きく3部に分かれており、1部が夫を支える女性たちの物語で、2部が後醍醐天皇を支えた楠木正成、3部が幕末の人物たちに思想的に多大な影響を与えた藤田東湖についてのものであった。

1部と2部は比較的よく知られており、あまり目新しいことはなかったが、3部の藤田東湖についてはあまり知らなかったのでこれだけでも読んだ価値はあった。

以前勝海舟の自伝である『氷川清話』を読むと、勝は「藤田東湖はだいきらいだ。浪士たちをけしかけてばかりで正当な手続きを踏まない」と散々にけなしていたのであまりいい印象は持っていなかったが、これは口が悪くさっぱりしたことを好む勝の立場からの発言だったようである。

立場的には水戸藩の家臣で尊皇攘夷派だが、その思想は深いものがあり、尊皇攘夷派・佐幕開国派どちらの重要人物にも大きな影響を与えたことからも只者ではない。
ある意味水戸学のを象徴するような人物だったようで、「朱子学の爆弾」といった感じである。

この本を読んで藤田東湖の人物が大きく感じられるようになったと思う。




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藤堂高虎 (学研M文庫)
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高野 澄
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虎の城 上 乱世疾風編 (1) (祥伝社文庫 ひ 6-14)

藤堂高虎は個人的に興味のあり、わりと好きな人物である。

以前は戦国の世の中で6度くらい主君が変わったので、変わり身の早いゴマすり大名といった評価があったようだが、これは時代の流れであって、高虎を正当に評価したものではない。

今治城、伊賀上野城、安濃津城など築城の名手として知られ、徳川秀忠の娘である和子の入内に尽力をつくすなど、平和な世の中になってから真価を発揮したというイメージがある。
当然、それまでに朝鮮出兵で海軍の総督的な役割を務め、関ヶ原の合戦で西軍の切り崩し工作を担当するなど将軍としても有能さを発揮したのではあるが。

外様に冷たい家康や秀忠から譜代大名並みに信頼されたのであるから、ただのゴマすり大名ではない。そもそも私はゴマすりそのものは悪いことではないと思う。きちんと仕事で実績を挙げればだが。
実績もなくゴマすりだけするのが問題なのである。

以前徳永真一郎や童門冬二の書いた藤堂高虎の小説を読んでいるのである程度どのようなことを行ったのかは分かるが、やはり書き手によって人物の描き方が多少異なってくる。

今作では”計算とか人員配置は苦手なんだよなあ・・・”と愚痴らせたり、家臣から叱られたりするなど、以前のものよりも人間くさく書いてあるところが面白い。
一番面白かったのは、山崎の合戦を前に、家臣から”明智軍はいい場所を占領してますが・・・”と言われて、”確かにいい場所を占領している。だから我らに勝てないのだ”と根拠もあまりないのに答えたところである。戦国武将たるものやはりハッタリも必要だろう。




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関連タグ : 藤堂高虎,


「道徳」という土なくして「経済」の花は咲かず―日本の復活とアメリカの没落
「道徳」という土なくして「経済」の花は咲かず―日本の復活とアメリカの没落
日下 公人

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国の経済力の背景に道徳が深く関わっているという視点から書かれた作品で、道徳の優れた日本は今後発展を続け、冷戦後に独りよがりな行動の目立つアメリカは斜陽の道をたどると多くの例をあげて分析している。

日本の道徳の高さとしてあげているものに労働観や法律に従う能力などがあり、反面アメリカがここ10年以上にわたり道徳が低下した背景には、冷戦の終結でソ連などライバルがいなくなり緊張が薄れたからだとしている。

資本主義精神の元となっているとされているプロテスタンティズム、つまりカルヴィニズムは、日本における二宮尊徳やの勤勉の思想と比べられることがあるが、大きな相違点としてあるものに最後の審判の概念とそれに伴う失敗者の切り捨てがある。マルクス思想でも、プロレタリアがどうなるかと言えば資本家を追い出すという形で終わり、それでは闘争は終わらないだろう。

アマゾンのカスタマーレビューにおいて本書は、楽観的過ぎるとか安直という評価もあり、その根拠として最近の日本における道徳の退廃が挙げられていたが、私はそれほど道徳が退廃しているとは思わない。

年配の人から見ると、道徳なんて昔からずっと退廃し続けていると思いますよ。
古い文献だかにも”最近の若い者は・・・”という愚痴が書いてあるそうだし。

この著者の考えは一貫したものがあり、前向きでありながら普段見落とされがちな視点が多く述べられているので大いに刺激になる。




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怪盗ニックの事件簿 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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エドワード D.ホック(著)、木村 二郎 (訳)
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怪盗ニックシリーズの第3作で、10編の連作。
ニックは2万ドルの報酬で、価値のないものしか盗まないという風変わりな泥棒。おもちゃのねずみ、トラ猫、家族の写真、灰皿、石鹸、古新聞など、依頼があれば様々なものを盗む。
大抵の場合、事件に巻き込まれて解決に至る探偵としても活躍し、結局は報酬もきっちり手に入れる。作を追うごとにミステリーの要素が強くなっているが、それがまた面白い。

普段は恋人とヨット遊びをしていてあまりやる気はないのだが、依頼を受けると職人ぶりを発揮していくので、かなりかっこいい。

今作にてついに恋人に仕事のことがバレてしまい、インフレの影響で報酬が2万5000ドルに値上がりしたりもして、世間の世知辛さが出たのが笑えた。
そもそも仕事に行く時のいいわけが毎回”工場用地の視察”では、10年もやってればバレるのも当然というもの。むしろ危険を心配すること以外は何も言わない恋人のグロリアの態度は大人で、なかなかいいと思う。

ニックの短編は他にもあるようなので、これらも早く翻訳されないかな。


怪盗ニック全仕事(1) (創元推理文庫)怪盗ニック全仕事(1) (創元推理文庫)

エドワード D.ホック(著)、木村 二郎 (訳)
東京創元社 2014-11-28

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