読んだ本の感想をつづったブログです。


仏教と資本主義 (新潮新書)
仏教と資本主義 (新潮新書)
長部 日出雄
新潮社 2004-04

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宗教社会主義者であったマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』によれば、プロテスタントの禁欲的な行動原理が資本主義の成立につながったという。
これに対して、本書において日本では奈良時代に宗教改革がなされ、資本主義の精神が誕生したと主張する。

代表的な人物として東大寺の大仏建立に貢献した行基、徳川家の武士から僧に転進した鈴木正三、そして石門心学を興した石田梅岩の業績を紹介して、彼らの思想や仏教信仰の中に資本主義の精神が日本にも根付いていたことを述べている。

そして近現代は資本主義は宗教というたがが外れたことで、人々からすがるべき対象がなくなった結果、拝金主義やオウム真理教のような怪しげな新興宗教の跋扈、ファシズムが発生したことを指摘し、このあたりが資本主義の欠陥であることを述べている。

要するに、資本主義には宗教のような倫理による制限が必要であると言っているようである。
話は分かったが、あまり得意でないキリスト教的な話であったため今ひとつ気が乗らなかった。

社会学の古典のようなものなので、学生時代に『資本主義の・・・』を途中まで読んだが、キリスト教的な知識のなさからつらくなってきたので挫折したことを思い出す。

一番面白かったところは、鈴木正三がしきりに世間がいやになって切腹覚悟で勝手に頭をそったものの、将軍の徳川秀忠から”それは出家でなくて隠居じゃよ”と許された場面である。
秀忠の人柄が感じられる、なかなかいいエピソードだった。


[著者の他の作品]
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「「古事記」の真実 (文春新書)」
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邪馬台国と大和朝廷 (平凡社新書)
邪馬台国と大和朝廷 (平凡社新書)武光 誠

平凡社 2004-05
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邪馬台国はどこにあったのか、そして大和朝廷とはどのような関係にあるのかという、大いに論争が続けられてきた謎について、これまでに出されてきた学説を整理・紹介し、現状の研究成果から著者なりの見解を出している本。

邪馬台国の所在地については畿内説と九州説の2説が有力であり、これは江戸時代の新井白石や本居宣長あたりから続けられてきた。
論拠としては中国側の史料である魏志倭人伝や日本側の古事記や日本書紀、そして吉野ヶ里遺跡や黒塚古墳、纏向古墳といった考古学上の研究成果などがあり、各学者の提唱した説を紹介している。

著者はその上で魏志倭人伝をできるだけそのままの意味で解釈し、当時中国で政権のあった後漢や魏の事情を勘案して、邪馬台国は九州の筑後あたりだとするのが妥当であろうと結論付ける。

また、黒塚古墳で発見された三角縁神獣鏡は邪馬台国畿内説の有力な論拠とされ、これにより考古学界では畿内説がかなり優勢と紹介がなされているが、著者はこの、三角縁神獣鏡が決め手とまではならないと慎重な立場をとっている。

他にも邪馬台国がどんな国であったのか、卑弥呼がどのような人物だったのか、大和朝廷がどのような経緯で形成されたのかといったところが述べられている。
結論としては、邪馬台国は北部九州の小国連合の盟主であり、後発の大和朝廷に征服されたと著者は見ている。

研究成果の紹介で一部素人にはわかりづらい部分もあるものの、全体的によくまとめられていて邪馬台国論争の論点などがあまり偏っていない紹介のされかたで述べられており、入門的な本としてはいいと思った。


[邪馬台国について書かれている本]

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壬申の乱の謎―古代史最大の争乱の真相 (PHP文庫)
壬申の乱の謎―古代史最大の争乱の真相 (PHP文庫)関 裕二

PHP研究所 2003-06
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著者の別の作品である『聖徳太子は蘇我入鹿である』、『天武天皇 隠された正体』が面白かったので、続いて買って読んだ。

天智天皇の死後に起こった大海人皇子(天武天皇)と大友皇子の争いである壬申の乱、これで軍事的に劣勢であった大海人皇子がなぜ圧勝することができたのかという謎について考察している。

本書ではこの時代の東アジアの国際関係と、天武天皇とその背後にあった蘇我氏や尾張氏といった豪族の関係、そして東国と西国の確執について重点を置いて述べられている。

壬申の乱において大海人皇子が東国である美濃に到着し軍勢が集まった時点で大友皇子側は動揺し、蘇我系の重臣たちが相次いで寝返っているが、こうした部分から天武天皇と蘇我氏、そして蘇我氏と同族の尾張氏の関係、そして出雲と越の関係についての考察に発展していく。

今回も日本書紀の歴史歪曲についての記載が出てくる。本書では一見天武天皇を壬申の乱に勝利した勝者として称えているように書いてあるのだが、実際のところ天武天皇の生まれた年や前半生が全く分からないなど、その実像が抹殺されている。
これは天武天皇死後に権力を握った持統天皇(天智天皇の娘)と藤原不比等(中臣鎌足)という天智天皇側の人物の都合により書き換えられたものであるためだという。

最後は天武天皇は蘇我氏出身だったという結論で、細かいところまでは述べていないが、これは上記の2作品においてさらに突っ込んで考察されているので、こちらを読むのがベターだろう。


[壬申の乱について書かれている本]

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会社蘇生 (講談社文庫)
会社蘇生 (講談社文庫)高杉 良

講談社 1988-10
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専門商社の小川商会が多額の負債のために会社更生法を申請し、弁護士の宮野に保全管理人の依頼が持ち込まれ、彼らが再建に向け奮闘する小説。

会社が会社更生法を申請すると当然のことながら信頼を失い所有する営業権益やライセンスなどを狙って競合他社や外資が暗躍する。また、取締役や監査役には責任があるが、これから逃れようとする者も出てくる。
内部的には経営のリストラに伴い多くの従業員を解雇を迫られ、残って欲しい有能な人物ほど自分から辞めてゆく。

このように逆風が吹き荒れる中、保全管理人は裁判所の委託を受けて会社の資産を守り、債権者や取引先と交渉を行い、再建のスポンサーを探すといった多くの仕事があり、ある意味企業の経営者よりも
ハードな仕事となる。それだけにやりがいはあるようで、宮野は苦境の中小川商会を再建に向けて前向きに引っ張ってゆく。
それが感動的ですがすがしい印象だった。

現在ダイエーが会社更生法申請に近いような状態で再建は苦しいだろうが、できるだけいい形で再建がなされることを望んでいる。


[著者による、佐世保重工を題材とした小説]
小説会社再建 (講談社文庫)
「小説会社再建 (講談社文庫)」
 著者:高杉 良
 出版:講談社
 発売日:2008-08-12
 価格:¥ 860
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天武天皇 隠された正体 (ワニ文庫)
天武天皇 隠された正体 (ワニ文庫)
関 裕二 (著)
ベストセラーズ 2000-06

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前著『聖徳太子は蘇我入鹿である』に続く日本古代史の謎に迫る作品。
古代史最大の内戦とされる壬申の乱で大友皇子(弘文天皇)を討ち即位した天武天皇(大海人皇子)。彼は日本書紀の記載では天智天皇(中大兄皇子)の実弟とされているが、前半生についての記載がほとんどないことや実年齢がはっきりしないなどの謎がある。

他にも天皇家の菩提寺において天武天皇の血筋が天皇として認められていない点や、天智天皇の娘が何人も嫁いだ点、後世の史書で天武天皇が天智天皇の兄であると書かれている点など、不自然な点はいくつもある。

これらについて、天武天皇が渡来人であったとか、日本書紀に登場する漢皇子という人物が天武天皇だったのかではないかなどの説が出されているが、ここでは前著との関連から一歩進んで天武天皇が蘇我氏の出身だったという説を立てている。

細かい考証は一読してということで、著者が出した結論としては、天武天皇は蘇我入鹿(=善徳、聖徳太子)の子で天智天皇とは異父兄の関係にあるというものである。

日本書紀に出てくる謎の人物である建皇子、漢皇子は天武天皇のことであり、また天智天皇の異母兄で謀反の疑いで殺害された古人大兄皇子も天武天皇のこととしている。

天武天皇がこうして正体を意図的にぼかされてしまっているのは、日本書紀が完成した時期の権力者が持統天皇(天智天皇の娘)と藤原不比等という天智天皇側の人物であったためで、天武天皇の正体が知られると彼らの祖先である天智天皇の行った悪行(テロによる政敵の暗殺)が知られてしまうからに他ならない。

少し勘ぐりすぎな気もしないでもないが、不自然に考える要素が少ない新説であり、一気に読み進むことができた。




[天武天皇について書かれている本]

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