読んだ本の感想をつづったブログです。


10倍の大国に日本はなぜ勝ったか―日露戦争が遺した九つの戦略10倍の大国に日本はなぜ勝ったか―日露戦争が遺した九つの戦略

滝沢 中 (著)
中経出版 2004-10

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日露戦争では、司馬遼太郎『坂の上の雲』に出て来る東郷平八郎元帥や秋山好古・真之兄弟など将軍や参謀の活躍ばかりが取り上げられがちであるが、本書では技術者や政治家、諜報員など裏方の活躍を描いている。

例えばロシアで反政府勢力とかく乱工作を行った明石元二郎大佐、あるいは従来よりも破壊力のある火薬を発明した下瀬雅允、さらには財政や外交における活躍をした陸奥宗光や高橋是清、彼らのトップにいた伊藤や山県、大山、松方など日本がロシアに判定勝ちしたのは総力戦の結果であったということが実感される。

山県や井上が汚職をしたり、西郷や江藤が反乱を起こすことに代表されるよう内輪もめも多かったが、明治時代の指導者たちは大きな舵取りを誤らずによく日本の独立を堅持することができていたと思う。
天皇の絶対化を行いすぎた点にその後の問題の根があったという見方もあるが致し方ない面もあっただろう。

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
「坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)」
 著者:司馬 遼太郎
 出版:文藝春秋
 発売日:1999-01
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[本書の文庫版]
日本はなぜ日露戦争に勝てたのか (中経の文庫)
「日本はなぜ日露戦争に勝てたのか (中経の文庫)」
 著者:瀧澤 中
 出版:中経出版
 発売日:2008-11-24
 価格:¥ 600
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文明の技術史観―アジア発展の可能性 (中公新書)
文明の技術史観―アジア発展の可能性 (中公新書)
森谷 正規
中央公論社 1998-06

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関連商品
カンブリア紀の怪物たち―進化はなぜ大爆発したか シリーズ「生命の歴史」〈1〉 (講談社現代新書)
新帝国主義論―この繁栄はいつまで続くか
不確実性のマネジメント 新薬創出のR&Dの「解」

産業革命以降の世界史的な技術の流れを、組織と人という観点から論じている本。

産業の勃興はアマチュアによる発明が続出した英国で、大規模な工業発展は大規模な組織が機能したドイツや消費者を拡大したアメリカによってなされた。
そして本格的な技術の大衆化を成し遂げたのは日本という流れで書かれている。

そして技術は一通りの完成をして成熟に入ったとし、現在技術は資源や人口に恵まれたアジアに流れているという。
その後技術はどの方向に向かうかは答えは得られていないが、アジアが重要なキーとなっていくという。

技術発展が組織と人の視点から述べられていたのを読むのは初めてで、勉強になった。

[著者の他の作品]

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謀略の首―織田信長推理帳 (講談社文庫)
謀略の首―織田信長推理帳 (講談社文庫)井沢 元彦

講談社 1995-09
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関連商品
明智光秀の密書 (ノン・ポシェット)
一千年の陰謀―平将門の呪縛 (角川文庫)
野望〈下〉―信濃戦雲録 第1部 (祥伝社文庫)
顔の無い神々 (ハルキ文庫)
覇者〈下〉―信濃戦雲録第二部 (祥伝社文庫)

鉄甲船建造の最中に行われた連続殺人をめぐって織田信長と、毛利元就三男の小早川隆景との虚々実々の駆け引きがなされる歴史ミステリー。
信長が本願寺の包囲戦において、信長方の九鬼嘉隆率いる水軍が毛利の村上水軍に惨敗するところからストーリーは始まる。

江戸川乱歩作品における小林少年か名探偵コナンのような感じの助手である森蘭丸の助けを得て、信長が隆景の陰謀を暴いていく。

信長方は蘭丸、嘉隆、滝川一益ら、それに対する本能寺・毛利方は隆景、顕如、下間頼廉ら有名な人物が登場し、それらしい言動をするので面白かった。


[著者による他の歴史ミステリー]

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悪魔の星 (創元SF文庫)
悪魔の星 (創元SF文庫)ジェイムズ・ブリッシュ

東京創元社 1967-07
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分解された男 (創元SF文庫)

異星における文化の違いと、キリスト教的な神学をテーマとしているハードSF。

爬虫類から進化した住民のいる惑星リチアで、地球から調査に赴いた4人の科学者が植民するかどうかで激論を交わす。
中でも生物学者兼神父のラモンは、高度に理性的なリチア人に神という概念のないことに苦悩する。
そして後半では地球で育ったリチア人が地球において騒動を巻き起こす。

キリスト教神父がラモンが主人公としてかなり理屈っぽい悩み方をするが、正直そのような絶対神を信じていない日本人の私としてはピンとこないものがあった。
また、後半で出てくる地球育ちのリチア人であるエグトヴェルチが群集をアジって暴動を起こさせるが、閉鎖的な地下核シェルター社会という設定とはいえ、永井豪の「デビルマン」のような展開は安易な感じを受けた。

また、科学者の1人であるクリーヴァーはリチアを核兵器の貯蔵基地として使用を企てるが、かなり勝手極まりない話であり、このような考え方をする連中が近世で植民地を作り搾取を行ったのかと思った。

とはいえ、1967年と割と古い作品である割には舞台設定がしっかりしており、ヒューゴー賞作品であるだけのことはある。


[他のヒューゴー賞受賞作品]

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信長の棺
信長の棺加藤 廣
日本経済新聞社 2005-05-25

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秀吉の枷 (上)
秀吉の枷 (下)
明智左馬助の恋
謎手本忠臣蔵 上
謎手本忠臣蔵 下

信長の右筆として『信長公記』を著した太田和泉守牛一が、本能寺の変の後で事件の真相と、発見されなかった信長の遺体の行方を追う歴史ミステリー。

本能寺の変前後の信長や光秀、秀吉、家康らの不審な行動の他、
  • 信長は正室の子ではなかったのでは?
  • 桶狭間の合戦でなぜ今川軍はおけはざま山などという交通の便が悪い上に敵から見つかりやすい小山に陣を敷いたのか?
  • 秀吉と山の民の関わり
など、牛一によって少しずつ明らかにされていく。

これまでも本能寺がらみの小説をいくつか読み、ある程度出揃ったような気もしていたが、またいくつか新しい解釈があった。
本能寺関連の作品を読むほどに、明智光秀は悪人ではなく謀略にはめられた、もしくは犠牲を買って出た気の毒な人物だったと思わざるを得なくなる。

多くの著書では公家の近衛前久と南蛮寺がキーワードとして出てくるが、今回も重要な場面で登場する。

「小泉首相も愛読!」というキャッチコピーが果たして売れ行きに効果があるのかは甚だしく疑問ではあるが、細かい部分にも考察がなされている面白い作品だった。


[本書の文庫版]

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