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読んだ本の感想をつづったブログです。


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うめぼし博士の 逆(さかさ)・日本史〈武士の時代編〉江戸 戦国 鎌倉 (ノン・ポシェット)
うめぼし博士の 逆(さかさ)・日本史〈武士の時代編〉江戸 戦国 鎌倉 (ノン・ポシェット)
樋口 清之
祥伝社 1995-01

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明治維新が成功したのは江戸時代に何があったためか、江戸時代の成立は戦国時代にどのような経緯があったかといった、原因を逆に日本史をたどっていくシリーズの江戸時代編。

江戸時代の庶民の知的レベルの高さ、商人の経済支配力と武士の困窮ぶりの対比と生き生きと描かれていて面白い。

また、関ヶ原の合戦で島津義弘が戦場から離脱したのは家康と示し合わせてのやらせであったのではないか、とか足利尊氏が京都に幕府を開いたのは吉野の南朝勢力から京都を奪回されるリスクにさらされていたからなど、独自の解釈が随所に盛り込まれていてためになった。

本書の中で鎌倉幕府は”歴史上まれにみる健全な政権”であったと評価し、元寇がなかったならばさらに続いていただろうと評価しているのが印象に残った。



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安楽椅子探偵アーチー (創元推理文庫)
安楽椅子探偵アーチー (創元推理文庫)
松尾 由美
東京創元社 2005-10

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ミステリーのジャンルに、自分は調査に出ずに友人や警察関係者の話を聞くだけで推理を行うという、安楽椅子探偵もの(アームチェア・ディテクティブ)というのがあるが、本書は安楽椅子そのものが意識を持ち、探偵として衛少年との話から推理を行うというミステリー連作である。

筋だけ見るとナンセンスやギャグの予感がするが、実際にはファンタジーや民話のようなテイストに仕上がっている。
時代は現代ではあるものの殺人や詐欺といったとこまでではなく、日常でふと疑問に思った出来事を安楽椅子のアーチーが推理していく・・・

と思ったら、最終話では突然謀略や争いが出て、江戸川乱歩や松本清張のような展開を演じるものの、最後はそれなりの大団円となるところは、少年が登場するだけにジュブナイルのようになっている。

やや軽めのミステリーではあるが、舞台装置や会話のやり取りの持っていき方が絶妙で、面白い作品だった。



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徳川三代の情報戦略 (人物文庫)徳川三代の情報戦略 (人物文庫)

童門 冬二 (著)
学陽書房 2005-10

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徳川家康の家臣に伊賀忍者出身の服部半蔵がいたことはよく知られているが、これに代表されるように家康は忍者を多用していた。そうした戦略を本書では小説の形で述べている。

半蔵は先に述べたように忍者と深い関わりがあるものの、本人は武将としてのアイデンティティが強かったらしく、槍の半蔵という異名があったこと、また半蔵の他には柳生新陰流で知られる大和出身の柳生宗厳も甲賀・伊賀の忍者たちを率いていたことは知らなかった。
あと、関ヶ原の合戦後に伊賀を領地とした藤堂高虎が伊賀忍者を支配したこともあるが、これは高虎の小説で知っていた。

最も印象に残ったのは、甲賀忍者たちが家康のことを”上忍の中の上忍”と呼んだというくだりである。これは上忍が指示を出す忍者で、下忍が指示に従い動く忍者であることから、家康は最強の忍者使いであったという意味のようである。
他の戦国大名で忍者を多用した者に毛利元就や武田信玄、北条氏康などもいるが、大局的な視点から忍者を動かしたという意味からいけばやはり家康が最強にあたるのかな、とそれなりに納得できた。

ただ、明らかなミスがいくつもあった点が難点で、例えば、
  • 性悪説の思想家が荀子であるべきなのが墨子になっていた
  • 関ヶ原で家康に従軍した松平一門は四男の忠吉なのに、家忠になっていた
といったもので、少し歴史をかじった者にはすぐ分かってしまうほどの凡ミスである。
こうして活字になってしまったということは、著者だけでなく編集者側でもチェックできていないということであり、構成の姿勢が問われると感じた。

まあそれはともかく、忍者の華々しい活躍ではなく忍者を利用する側の視点ということでうまくまとまっていたと思う。


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戦国武将の危機突破学 (日経ビジネス人文庫)
戦国武将の危機突破学 (日経ビジネス人文庫)
童門 冬二
日本経済新聞社 2005-08

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信長・秀吉・家康といった天下人の他、伊達政宗、細川幽斎、黒田如水など、戦国武将たちが難局を迎えるにあたってどのような対応を取り、それらがどのように参考になるかを書いている本。

有名な事例だけでなく、あまり知られていない事例も挙げ、登場する戦国武将を人間くさく脚色して描かれているが、その分分かりやすくはある。

内容的には蒲生氏郷が領地替えにあった際の、従来の家臣や引き連れた商人と移転先の住民との間での取り持ちや、秀吉が若い頃に今川の家臣から退職勧告をされた際のやり取りなどがちょっと面白かった。



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