『逆説の日本史』シリーズ等で知られる井沢元彦による世界と日本の各宗教の教えと、宗教と戦争のかかわりについて書かれた本。
日本的な和の世界から始まり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、神道、儒教と各章に続いていく。
井沢作品ではお馴染みの概念である、和の弊害や怨霊信仰そして言霊信仰などが日本的な宗教概念として登場するのはやや食傷気味だが、他の宗教、中でも一神教に関しては改めて気付くところも多かった。
特に、欧米的な民主主義は絶対神に対しては人間なんて神に作られたちりのような存在であるため大した違いはないというキリスト教的な考えから生まれたとするのは何となく納得した。
逆に、親への孝行を第一義に考える儒教では上下関係がはっきりしていて1人1票という欧米的な民主主義はそのままではなじまないようだ。
それぞれの宗教の考えの違いによる軋轢は日本人の想像を超えるもののようで、世界が平和にやっていくことは実に難しいと改めて感じた。

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戦国秘譚 神々に告ぐ〈下〉 (角川文庫) | |
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近衛前嗣が活躍する歴史小説の下編。
上編では割と通常に史実を描いた歴史小説として進んでいくが、その終盤あたりから前嗣が読心能力に目覚めるあたりから話が変調をきたし、下編になると怨霊やオカルト系の話に変わっていく。
敵役のボスも松永久秀から怨霊にとりつかれた祥子内親王へチェンジして単にいやらしい謀略をしかけるだけでなく、儀式の場で怨霊が巫女に<乗り移って呪いを吐くなど結末へはよれよれした展開になってしまう。
舞台としては長慶が病死し義輝が暗殺される少し前のことで興味深く、長尾景虎(上杉謙信)や織田信長も登場して華やかなのだが、それを完全に生かしきっていないような気がした。
ただ、近衛前嗣は後に前久と改名して信長と緊迫した駆け引きを行う公家としか認識していなかったが、鉄砲にも馬にも熟達し行動力もある面白い人物だったようである。
本書を読んだ限りでは、このような天才タイプの公家であれば、本能寺の変で黒幕説が出るのも納得がいくというもの。

戦国秘譚 神々に告ぐ〈上〉 (角川文庫) | |
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戦国時代、都を追われた室町幕府将軍足利義輝と、傀儡の足利義維を担いで幕府の実権を握ろうとする三好長慶の対立の中で、公家の近衛前嗣が活躍する歴史小説。
前嗣は義輝と従兄弟であることもあり、他の大名を動かして三好氏を除こうと画策するが、長慶の重臣である松永久秀が立ちはだかり虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。
上編としては義輝軍と長慶軍の激突で終わるが、他の印象については下編で。

長期投資として評価の高いさわかみ投信の澤上氏と、ファンド・オブ・ファンズであるありがとう投信の村山氏による、ファンド・オブ・ファンズ(複数の投資信託に投資する投資信託)についてと、それを利用した長期投資を勧めている本。
ファンド・オブ・ファンズに関してはこれまで”信託報酬がかさみそう・・・”とか、”いくつか投資信託を分けて買った方が安く上がるのでは?”と思っていたが、どうやら必ずしもコスト高になるとは限らないようだ。
また、ファンド・オブ・ファンズといえばヘッジファンドを組み込んでいるというイメージがあるらしいが、本書で意図組み込みがされているの投資信託は、確固とした運用哲学があること、投資家の理解を得ていること、良好な実績を出していることという3つの条件を満たすこととしている。
こうしたファンドが増えると、それらをまとめるファンド・オブ・ファンズが脚光を浴びることになるとする。
おそらく現在の日本では大したファンドがないため、そこまで至っていないのだろう。
ファンドを運用している人が書いているためにポジショントークになるのを割り引くとしても今後良好な投信が多く出てくるという条件をつけると、割と納得できる内容であった。
また、準備編のところで”とりあえずネット証券で口座を開いたお金を振り込んだものの、どこに投資したらいいかで悩む者がいる”といった記載があり、現在まさにこれに近い状態であったため痛いところを突かれた。
あと、澤上氏は日本郵政公社は投資信託の売り込みに熱心になっている件について、販売手数料を稼ごうとしているようだが、ノーロード(販売手数料無料)の投信が出ている現状では時代に逆行するものだと批判的な見方をしていたが、これについては全くその通りと思った。
今は投信についての理解がそれほどでないため、そこそこは売れるだろうが、証券会社等でノーロード投信が販売されていることが浸透すると厳しいだろう。

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第二次大戦後の占領や冷戦後の「グローバル化」のためアメリカの影響が強くなっている日本だが、弊害も多いため、明治に学んだヨーロッパの良さを再認識したほうがいいとしている本。
各国の政治や社会事情、歴史、そして文化や観光、食事に関しても書かれているため、ヨーロッパに関心があればかなり実用的でもあり面白いと思う。
一例として、西洋料理のイメージとしてライスをフォークの背に乗せて食べることやスプーンやフォークを皿ごとにわけることがあるが、これらはヨーロッパ一般のものではなく、イギリスのマナーということであった。
実はこのマナーは馬鹿馬鹿しいと思って実行したことはないが、料理がまずいとされる国のマナーと知り、ますます実行する必要はないと感じた。
明治時代の日本はヨーロッパ各国のいいとこ取りをしていたために起こっている現象ではあるが、それが独立国であるためにできたことでもある。
ヨーロッパからは必要なものは全て学んだという論調が一部あるが、明治以降にもヨーロッパだって良くも悪くも変化してきたわけであるので、学ぶことや協力していくことは重要であると思う。
ややヨーロッパかぶれの傾向がなくもないが、知識としては豊富に書かれているので役に立つ本だと感じた。
