食がわかれば世界経済がわかる | |
榊原 英資 文藝春秋 2006-02-28 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 経済の世界勢力図 (文春文庫) 為替がわかれば世界がわかる (文春文庫) 本物の実力のつけ方 黄金の人生設計図―人生九〇年をどう生きるか 人民元改革と中国経済の近未来 (角川oneテーマ21) |
食が世界経済に及ぼす影響について論じた本。
世界には食を資源ととらえる国(英国、米国、豪州、NZ等アングロサクソン系の国)と文化ととらえる国(日本、中国、フランス、イタリア等前者以外のほとんど)に大別され、植民地支配が世界の大半に及んだ背景として食を資源ととらえる考え方が大きな影響を及ぼしたとしている。
その負の面として、ファストフードの普及による環境破壊や文化の破壊、人体への悪影響、また骨肉粉を飼料としたことによるBSEの発生といった問題が出ている。
近年日本食がヘルシーな食事として脚光を浴びているのも、ファストフードに対するスローフード運動が発生しているのも、食を資源とする考え方に対する反省があるとする。
日本食の人気にはそれだけが理由ではなく、食に対してプライドの強いフランスでも日本食の影響を受けた料理が出ているなど、素材の新鮮さを生かすというコンセプトが受け入れられている。
おそらく新鮮な食材を手に入れられなかった頃はソースや調理法でカバーしていたのだろうが、技術や輸送方法の進歩によって素材を活かすことが外国でも可能となったからであろう。
最初のフランスや中国の料理の紹介のところがややまどろっこしかったような気もするが、まずまずまとまりのいい構成だったとは思う。