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読んだ本の感想をつづったブログです。


虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2) (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)
虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2) (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)
アルフレッド・ベスター (著), 寺田克也 (イラスト), 中田 耕治 (翻訳)
早川書房 2008-02-22

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テレポート能力が普及した結果として治安が悪化してしまっている時代、宇宙で難破して通りかかった船に見捨てられた主人公が復讐に燃えるという設定の長編SF。

宇宙船ノーマッド号の乗組員だったフォイルは敵国にノーマッド号を撃墜され、奇跡的に生き残り船の残骸から救助を待つことになった。
やがてヴォーガ号がフォイルの出した信号に気付き近づいてきたものの、結局見捨てられてしまいフォイルは何としても生き延びてヴォーガ号関係者に復讐することを決意する。その後小惑星帯の住人たちに拾われるが、そこで虎のような文様の奇怪な刺青をされてしまう。
結局そこからも逃げ出すことに成功したフォイルは、フォーマイルと名を変えて復讐への向けた活躍をしていくことになる。

かなり狂った感じの世界やキャラクター設定はアクが強くてあまり好みではないが、テンポの良いストーリー展開や読者を無理やり引き込む何かがあって独特の魅力を出している。

50年以上前に書かれた古典であるが、使用した道具がジョウントと呼ばれるテレポートやテレパシー、テレキネシスといった超能力であったためか驚くほど古びておらず現代でも十分通用するものになっている。

石ノ森章太郎の『仮面ライダー』や『サイボーグ009』でも刺青や加速装置といった設定を使っていることやこの作品に影響を受けたと公言するSF作家が多いこと、多分椎名誠のSFにも本書に似た感じの設定が見られることなどからも国内外のSFに与えた影響は大きかったようである。



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日本文明・世界最強の秘密
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増田 悦佐
PHP研究所 2008-02-21

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日本の先行きが明るいことを、都市と鉄道網の視点から語っている本。
著者が以前書いた 『国家破綻はありえない』 『大阪経済大復活』 が面白かったのでこれも読んでみた。

論旨としては、欧米では立派だが無駄が多く利便性の低い頭端駅が主流となったために鉄道が衰退してクルマ社会となったことで、都市の発展が頭打ちからジリ貧になっているのに対して、日本では見てくれは良くないが利便性の高い通過駅を主流にしたために大都市での鉄道が発展し、都市がまだまだ成長を続けるためにこれからも期待ができるというもので、さまざまな文献やデータを引用し論じている。

単に鉄道がエネルギー効率がいいとか省スペースだとかいうことだけではなく、それを最大限に活かすことの出来る大都市と相互作用をなしていることがポイントとしており、徳川幕府が実現した江戸という大都市圏と明治政府が行った鉄道政策がいかに重要な意味を持っているかがよく分かった。

また、鉄道が最も大事にすべきことは少しのトラブルを吸収できる余裕を持った上での発着時刻の正確さであり一部のテッチャン(鉄道オタク)が主張するようなスピードへの固執には注意すべきであること、陸上貨物の主役である自動車での渋滞は道路構造を工夫することで改善が可能であることなどについても主張しており、中身の濃い内容となっている。

少々他の論客に対しての批判が過激で心配なところもあるが、それだけに論旨が明快で面白い。



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スタープレックス (ハヤカワ文庫SF)
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ロバート・J. ソウヤー (著), 内田 昌之 (翻訳)
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著者の別の作品である 『さよならダイノサウルス』 がかなり面白かったので、今度はSFの王道と言う感じの宇宙船で探検をするストーリーの本書を読んだが、これも期待を裏切らない内容のものだった。

宇宙でショートカットと呼ばれる瞬間移動を可能とする謎のルートを発見されて異種族との交流もなされている時代に、人類、イルカ、ウォルダフード族、イブ族の4種族の科学者たちが宇宙船スタープレックス号で探検をするというストーリーである。

主人公は地球人の社会学者として船長を務めるキースで、巨大な暗黒物質やショートカットから出現する恒星との遭遇をしていくうち、銀河の成り立ちや生命誕生の背景といった壮大な事柄を発見することになっていく。

船内では異常に功名心が強いウォルダフード族(見た目は6本足の豚)や7つの生命体が合体して知性を持つイブ族、そしてコミュニケーションを取れるようになったイルカと人間とのやり取りや、キースと妻のリサ、そして他のスタッフたちとのやり取りといったところが活き活きと描かれていて物語に厚みを持たせている。

次から次へとスケールの大きな事象やアイデアが登場し、ハードSFっぽいのにエンターテイメントとしてもいいという作品で、SFらしいSFを楽しむことが出来た。



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第三の買収
第三の買収牛島 信

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企業のMBO(経営陣による企業買収)やTOB(敵対的買収)について書かれた企業法律小説。

龍神商事の社長である大日向はMBOを実施することを決定し、監査役の狭間と法務室長の日夏にその調査や遂行を命じるところから始まる。
そこで狭間と日夏はとりあえず顧問弁護士の大木に相談したところ、コンフリクト・オブ・インタレスト(利益相反)と龍神商事に社外取締役がいない点がネックになりうることを指摘され、完全に納得しないもののそのままMBOを進めていくことになる。

やがて取締役会を経てMBOの公示を行うに至るが、ここから龍神商事に透明性の欠けていると思われる点などの不備をマスコミで大々的に報じられたり、この機に乗じて買収を仕掛けようとする海外の投資ファンドが現われたり、常務があやしい動きをするなどトラブルが拡大していく。
その中で狭間と日夏は大木の指摘した点が重くのしかかっていることを痛感する。

著者の他の作品よりも企業とは誰のものかという視点が強く、現代の企業や法律を理解するための小説としてはまずまず面白かった。


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老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))
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小川 一水
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特殊な環境を舞台とした4作からなるSF短編集。

冒頭の人間不信に陥るよう設計された迷宮へ放り込まれた主人公が社会を作り出そうと奮闘する「ギャルナフカの迷宮」で引き込まれ、木星型の惑星に住む知性体の物語である表題作、ファーストコンタクトを扱った「幸せになる箱庭」に、海だけだが陸地のない惑星に不時着した主人公が助けが来ないが通信はできるという特殊な環境でのやり取りを描いた「漂った男」と、どの作品も一定以上のレベルで面白かった。

舞台設定はとんでもなく型破りというわけではないが、その中での主人公たちの環境や他者との関わりがよく描かれている点、人の力を信頼しているウエットな感じが各作品に共通した印象だった。
また、SFで時折見られるわけのわからない用語や理論を出したりということもなく読みやすい。

この著者の作品は長編が多いようなので、どれか読んでみることになると思う。



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