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水の城―いまだ落城せず (祥伝社文庫)
水の城―いまだ落城せず (祥伝社文庫)
風野 真知雄 (著)
祥伝社 2008-04-11

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戦国時代、武蔵の忍城(おしじょう)において、少数の兵で石田三成率いる豊臣の大軍相手に見事な籠城戦を続けた成田長親の活躍を描いた歴史小説。
このところ漫画化されるなどして売れまくっている『のぼうの城』と同じ人物を題材にしていると言った方が分かりやすいかもしれない。

秀吉軍に攻め込まれた北条氏のそれぞれの城では、城主が本城の小田原城に詰めて残った家臣たちが城を守る形で対応していた。忍城でも城主の成田氏長が小田原へ出陣し、留守はいろいろあって一族の成田長親が城代として守ることになった。
長親はとぼけた感じのおじさん然とした人物で、武勇や知略はたいして持ち合わせていないが領民に親しく話しかけたりして人望は厚い。城代になってからのあいさつでも、”まあ、やるだけやって、後は野となれじゃ”とやり天然ぶりを発揮している。

忍城に攻めてきた大軍を率いるのは、軍事は不得手というイメージ打破に燃える石田三成で、力攻めや水攻めなどで攻略を試みるが、なかなか攻め落とすことができない。
忍城そのものは沼、深田、森に囲まれる地形を生かした要害ではあるが、守るのは領民を合わせてもせいぜい三千程度の兵で条件はかなり不利である。それでも城内の支持を集めた長親は城兵や領民と協力してなんだかんだで守っていく。

少数の兵で大軍から城を守るというシチュエーションだけで言えば昨年読んだ『風は山河より』に似ていなくもないが、これが比較的正統的なタイプの主人公が登場したのに対して、本書では長親の脱力系のキャラクターや周囲の活躍、領民たちの土地を守る戦いなどがよく描かれていたと思う。

歴史小説が苦手な人がつまずきそうなところもあまりなく、明るい雰囲気で楽しく読み進んでいくことができる。




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