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読んだ本の感想をつづったブログです。


わしらは怪しい雑魚釣り隊 (新潮文庫)
わしらは怪しい雑魚釣り隊 (新潮文庫)
椎名 誠 (著)
新潮社 2009-04-25

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椎名誠の人気エッセイである、あやしい探検隊シリーズの続編というか最新作。
初期の作品から20年以上が経過しており、キャンプを張っての楽しいバカ騒ぎを繰り広げるところは相変わらずだが、今作からは釣りをひとつの名目として集まっているのが特徴である。

釣りの方向性にしても、あやしい探検隊らしく通常釣り好きが狙うような一般的な魚ではなく、外道として嫌がられる雑魚を狙って鍋の出汁にでもしようという雑魚釣り隊というシチュエーションがゆるくて楽しい。
その割に各メンバーが密かに大物を狙っており、変な雑魚が釣れると他のメンバーは大喜び、本人はうつむくという正直すぎるリアクションがなされているのにも笑ってしまう。

メンバーとしても以前の椎名の学生時代の友人である沢野ひとしや木村晋介、そしてアウトドアのプロである中村征夫や野田知佑などのあやしい探検隊時代のメンバーから様変わりしているが、新たに登場した人々も個性豊かな言動を見せてくれる。

まず、これまで敏腕編集者として椎名とともに世界各地を旅してきたP・タカハシ氏が、貫禄と落ち着きのない長老というキャラにいつの間にか変貌を遂げ、つまらない話を延々と続けるシーンが随所に出てくるのがお約束のようになっている。
雑魚釣り隊から登場した西澤氏も思い切りのいい投げ釣りを好むが釣果はさっぱり、そして数々のおかしなトラブルを引き起こすなどして話を盛り上げてくれる。

あやしい探検隊の頃からいたドレイ(雑用をこなす下働きのようなポジションの若手隊員)もまた新たに登場し、さらにはゲスト的に初期のドレイを務め、現在では雑誌の編集長になり女優の本庄まなみを妻にした沢田康彦氏も参加している。
ただし偉くなっても椎名の前ではドレイに戻ってしまうあたりは当時のままである。

雑魚釣り隊が出かけるのは関東近郊や伊豆諸島、静岡県などで、堤防などでの釣りの他に船釣りを行うなどしていて、当然ハプニングの連続である。
魚群があると聞いたところに行くと昨夜に去ってしまったとか、当たりがあったと思ったら謎の気持ち悪いぐねぐねした塊を釣ってしまったりなど、笑いながら読み進めることができる。

椎名作品では海外への旅行記も面白いが、特に好きなのはやはりあやしい探検隊であり、しばらくぶりにこうした作品を読むことができて良かった。
続編も出ているので、これもぜひ読みたいと思う。




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関連タグ : 椎名誠, あやしい探検隊,



連休中に福岡へ行く用事があり、そのついでに福岡県立美術館で開催されている「大原美術館コレクション展」も観覧した。
行く気になった理由は単によく宣伝されていて気になったからという単純なもので、予備知識もほとんどなかった。

初めて行った福岡県立博物館は天神の中心街から北に少し離れたところにあり、須崎公園という公園に隣接している。
地下鉄天神駅を降りて歩いていくと須崎公園に入る辺りから人々の数が急に増えてきて、けっこう人気があることが分かってきた。

入場料1,200円を払って入ると、まず大原博物館の概要についての説明が書かれており、私のような不勉強なものにとってはありがたい。
ざっと述べると、倉敷の資産家であった大原孫三郎が、援助していた洋画家の児島虎次郎に欧州で集めさせた絵画を元に、1930年に開設されたものだという。
戦争が近づいている暗い世相の中、こうした業績がなされること自体がすごいと思う。

ここから、児島の作品から始まって欧米の画家たちの作品、日本の画家たちの作品、そして近年若手の画家と大原美術館がコラボした作品と続いていく。

正直入る前は知っている有名画家なんて作品がポスターになっているモディリアーニとせいぜいあと2人くらいで、あとはよく知らない作家の作品ばかりだろうと思っていたが、全然違った。
欧米の画家ではピカソやムンク、シャガールやカンディンスキー、日本では棟方志功や岸田劉生といった美術の教科書で目にする画家たちの作品が展示されており、甘く見すぎていたことを痛感した。
さすがは日本で初めて西洋美術を扱った美術館だけあって充実しており、しかも地方都市にある私立の美術館だというのはまさに驚異的である。

それぞれの作品には感じたところはそれぞれあるが、特に印象に残ったのはカンディンスキーの『尖端』で、何を描いているのかはよく分からないが独特のデザインが気に入った。また、古賀春江の『深海の情景』という作品も幻想的な感じがいい。

それにしても現代美術などは変な幾何学模様が描かれているだけにしか見えないものも多かったりしてよく分からないものも多い。
このあたりは入門書を読んだり場数を踏んだりして観る目を養うしかないのだろう。

特に思い入れも何もなく、思いつきで観覧した次第だが、思っていたよりもかなり充実した内容であり観に行って良かったと思う。
あまり西洋美術はよく知らないので、これをきっかけに色々と知ったり楽しんだりできるようになりたいところである。


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「やりたいこと」がわからない人たちへ (PHP文庫)
「やりたいこと」がわからない人たちへ (PHP文庫)
鷲田 小彌太 (著)
PHP研究所 2001-05-01

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自身のやりたいこと、やりたい仕事などが分からない状態でフラフラしがちな人に対して喝というか説教をしているような内容の本。

基調としては、やりたいことは目の前にあることを真剣にこなしていくことで見えてきたり、そうでなくとも少なくとも無駄にはならないというもので、あれこれ例を引いて語っている。

例えば夏目漱石が大学教授が嫌で仕方がなく、念願の小説家になったまでは良かったが、それが徐々に苦しくなる話や、著者自身がゼミの教授からカントを強制されてヘーゲルがやりたくて仕方ない状態になった話など、いつもの調子であちこち脱線しながらの語り口である。
普段もこんな調子で講義をしているのだろうか・・・?

大学教授であるだけに無気力に見えて仕方がない学生たちの相手をしていてこの本を書きたくなったのではないかと思うが、本で読むからさらっと読み通せるからいいようなものの、直にこうした話をされるとムカッときそうである。

自分自身を振り返ると、なりゆきと考えて進んだところがそれぞれあるが、嫌で逃げたものもあれば、それなりに努力したところもちょっと、それから新たに見えてきたものなどがあったりで、多少は身につまされた。





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本当にヤバイ!欧州経済
本当にヤバイ!欧州経済
渡邉 哲也 (著), 三橋 貴明 (監修)
彩図社 2009-10-23

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2ちゃんねるで「代表戸締役」なるハンドルネームで人気のある経済評論家による、出口の見えない危機にはまり込んだ欧州経済の状況について語っている本。

数年来の金融バブルにおいてアメリカからあやしい債権を押し付けられたとも見られる欧州各国だが、債権の証券化や世界各国への販売には英・仏・独などの金融機関も大きく関与しており、事態はそれほど単純なものではないことが分かる。

また、英国、フランス、ドイツ、スペイン、スイスそれからラトビアやハンガリーなど中欧・東欧新興国における各国の経済構造の違いによって危機の訪れるタイミングに差があることで、危機対策の足並みに乱れが生じていることが書かれている。

問題を複雑にしているのが、財政赤字の幅を制限しているマーストリヒト条約と、各国で流通しているにもかかわらず発行主体の責任があいまいになりがちなユーロという通貨の存在である。
通常こうした金融危機に陥った国家では
  • 通貨の供給を増やす
  • 公的資金を投入して金融機関の救済を行う
  • 財源として国債を増発する
  • 金利を引き下げる
などの政策が採られるものだが、各国が勝手な対策を実施することに時間がかかり、問題を拡大させる結果となっている。

また、これまでうまくいってきた欧州内での先進国から新興国への投資というモデルも完全に崩壊しており、欧州の統一という理念も崩壊一歩手前のような状態であることが感じられる。

ある意味最も深刻な状況にあるのがスイスなど秘密口座が存在して資金の逃避地となっていた地域で、これまでは大目に見てきたアメリカがなりふり構わぬ圧力をかけてきたことによって、情報開示や金融政策への規制を強制されるようになってきたことで、経済上の存在意義が薄れている。

ブルームバーグやロイターなど欧州の通信社の記事を掲載して解説をつけていくという構成になっており、ニュースの見方も教えられるようで分かりやすい。
あまり日本のマスコミがきちんと報じてくれないことが書かれていてためになる。

ただ、三橋氏と比べると文章のキレはやや落ちるのと、誤字や変換ミスが目立つのがちょっと難点である。
しばらく売れ続けると思われる内容なので、校正に時間をかけて欲しいところだ。




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関連タグ : 三橋貴明, 渡邉哲也,

野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス
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データスタジアム
宝島社 2008-03-07

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先日とても面白く読んだ『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』で、従来の指標では測れない野球選手の成績などを測る手段としてセイバーメトリクスという分析手法が書かれており、関心を持ったので本書を購入し読んでみた。

基本的には『マネー・ボール』に書かれていたものと同様で、さらに細かな指標が書かれており、意外なデータが浮かび上がってきて面白い。
例えば投手の防御率はバックの守備や球場の環境、運などによって左右されるために年によってばらつく傾向があるのに対し、与四死球や被本塁打などから割り出した指標では投手の能力による部分が大きいために極端な調子の波を除けばあまり変動しないことが分かる。

そして2007年の日本プロ野球のデータをセイバーメトリクスで分析しており、具体的にどの選手が従来の数値以上の働きをしているかが具体的にわかるのが興味深い。
チームで言えば巨人はセイバーメトリクスでも強大な戦力であることや、当時4位だった横浜のデータが従来の指標よりも勝ちにつながらないことが書かれており、その後の横浜の低迷を見るとうなずけるものがある。
選手で言えば当時中日だった福留がカブスと高額の契約を結ぶことができた背景に、出塁率や長打率などを元にした実践的なデータが高かったことがあることや、ダルビッシュの成績が防御率や勝ち数だけでなくいかに勝利に貢献しているかも分かる。

細かく見すぎるほどカルトな趣味はないが、こうした指標を念頭に置くとまた違った野球の見方ができそうで、まあまあ楽しめた。


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