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街道をゆく 25 中国・びんのみち (朝日文庫)
街道をゆく 25 中国・びんのみち (朝日文庫)
司馬 遼太郎
朝日新聞出版 2009-02-06

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街道をゆくシリーズの第25作で、古来閩(びん)と呼ばれてきた福建省への旅を描いている。

今回は作家の陳舜臣、考古学者の森浩一、民族学者の松原正毅らの諸氏も同行するかなり豪華な一行で、福州、徳化、泉州、アモイ(廈門)といったところを訪れている。

この福建という地域は山地が大半を占めるために華北の影響を受けにくかったことや、天然の良港が多いことで海に出ての活動が盛んなこと、そして言葉や習俗において日本と共通する部分が多いことなどが背景として語られていく。

そして言葉や窯業、鉄、船、焼畑、棚田といった文化的な話がなされ、中でも中国で何千年も使用されているジャンクと呼ばれる帆船の話が面白い。

一般にイメージする船では底がとがっているものだが、ジャンクでは平底の箱型となっている。
これは一見航行に不利に見えるが、浅瀬に乗り上げても倒れないという長所や、浜で横倒しにすれば底の修理が容易にできること、船底に障壁が設けられていて衝突にも強いことなど、長く使われるだけの利点があることが分かってくる。

他にも馴染みの中国人ガイドの故郷の近くである徳化を訪れる話や、明代の海禁(日本で言う鎖国)政策が原因で俗に倭寇と呼ばれる福建海賊が活躍するようになった話、元寇や鄭成功、さらには『西遊記』の話まで、福建と日本にまつわる数々の歴史的エピソードが出てきて面白い。

著者も語っているように、世界各地で海での交易が盛んになった16世紀、中国の明ではよりにもよって海禁をしてしまったのはつくづくつまらないと思う。
永楽帝が鄭和に大航海をさせたように、明が海上貿易を盛んにやっていたら世界史はどのように動いたかというのはひとつの歴史のifとして興味深い。

先日読んだ『江南のみち』『蜀と雲南のみち』とともに中国の地域を通して中国のみならず日本の歴史も考えることができ、かなり楽しむことができた。



『街道をゆく』シリーズについて書いた記事
  • 『 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか』
  • 『20 中国・蜀と雲南のみち』
  • 『 4 郡上・白川街道、堺・紀州街道ほか』
  • 『32 阿波紀行、紀ノ川流域』
  • 『 7 甲賀と伊賀のみち、砂鉄のみちほか』
  • 『43 濃尾参州記』
  • 『19 中国・江南のみち』


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