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読んだ本の感想をつづったブログです。


宇宙にとって人間とは何か―小松左京箴言集 (PHP新書)
宇宙にとって人間とは何か―小松左京箴言集 (PHP新書)
小松 左京
PHP研究所 2010-12-15

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日本を代表するSF作家・小松左京がこれまでにインタビューやエッセイで語ったり小説の中で登場人物に語らせたりした中から、7つの章ごとに名言を紹介している作品。

通常の箴言集では4行かそこらのものがほとんどの場合が多いが、本書では3ページくらいになるような、まとまった分量の箴言が目立つ。

各章の終わりには、川勝平太、小池百合子、瀬名秀明、小川一水らの各氏が寄稿し、小松氏の作品やそれに流れる思想の魅力について語っている。

以前読んだ小松氏のエッセイである『SF魂』にもあったように宇宙や宗教観、SFの意義なども当然多いが、知性や愛、日本と世界の関係など幅広い内容を語っていて、以下のように感じの知らなかった部分がいくつも書かれている。
  • 科学技術とひとくくりにされるが、科学と技術は別物
    現在は技術ばかりが進んで、科学が追いついていない
  • 人類が分不相応に精神だけが発達したとすれば、自然からの呪いとも取れる
  • 人間同士が結ばれるのは、愛よりも”魂”に対する相互の敬意による
  • 生命という点で人類は尊重すべきもので、また他の生命においても同等に言える

これまであまり読んだことのなかった歴史や哲学についての記載も多く、下記のような部分にははっと気づかされたりした。
  • 聖徳太子が「日出ずる国・・・」という挑戦的な国書を隋に出した背景には、鮮卑族が皇帝となっている隋に敬意を払う必要はないと見下していたからではないか
  • 中国で皇帝が行ったという封禅という儀式は元々土を盛るということに由来し、思われている以上に日本にも影響があったのでは?
  • 大陸の文化や思想には、遊牧の影響が強いものが多い
  • 日本では矛盾した要素をそれぞれ平気で受け入れるところがあり、天皇が続く理由になっているように感じる
  • 日本が戦争に負けたのはある意味ラッキー。勝っていたら軍人が今も威張っていただろうから
  • アメリカにおける熾烈な競争と同様に、日本では職場での雑談が大きな効果を発揮している

前向きさが感じられ、やさしさや思いやりといった部分がキーワードとして頻出するのも好感が持てる。

原典もそれぞれの言葉の後ろに記載されていて、読んでみたいものもいくつかあった。
ハルキ文庫から小説は再版されているものもあるので、いずれ読んでみたい。

また、まえがきを小松左京事務所の担当者が書いていた。
現在小松氏は健康なものの、以前のように本を読んだり原稿を書けなくなっているということだった。
無理をせず、長生きして時々鋭い意見を語ってくれたらと思う。



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遙かなる地球の歌 (ハヤカワ文庫SF)
遙かなる地球の歌 (ハヤカワ文庫SF)
アーサー・C. クラーク (著), 山高 昭 (翻訳)
早川書房 1996-03

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アーサー・C. クラークによる壮大なスケールのSF。

職場で回覧されていた『KANRIN』(咸臨)という専門誌に本書の書評が掲載されていたのを読んで興味を惹かれ、図書館で借りて読んだ。

ストーリーとしては、太陽の超新星化で滅亡した地球を逃れて植民先の惑星に向かう移民団が、その途上で人類撒種計画で定着した、遺伝子コードから人工的に生み出された人類の住む惑星を訪れるというものである。

宇宙船の名はマゼラン号、惑星の名はサラッサで、対衝撃シールドのメンテナンスを実施する間にマゼラン号乗組員とサラッサ住民の間でさまざまな交流がなされる。

サラッサは地表のほとんどが海で陸地が少ないため、人口を制限していて技術レベルもほどほどでとどまっている。
宇宙のあちこちで活動する時代になっても人口制限をしなければならないのは、現実的かもしれないが楽しくない。

またサラッサの住民は神や宗教の影響を受けなかったこともあり、理性的かつ奔放という性格付けがなされている。

また、マゼラン号の人々の間では”宇宙に生物が存在する確率は極めて少ないので、生物が存在する惑星に植民するのはやめよう”という超法律などという違和感が強い価値観があるなど思想的な面についても多く触れられている。

また、以下のような技術が登場するのも興味深い。
  • 真空から量子エネルギーを取り出して進む宇宙船
  • 遺伝子コードからの人類撒種
  • 冷凍睡眠
  • 脳や肉体の損傷頻度が軽微であれば蘇生が可能な医療技術の進歩
  • 冷凍機器と宇宙エレベーターを利用した、凍結させた海水を材料とする対衝撃シールドの作成

基本的な舞台設定は好きなSF作品であるジェイムズ・P・ホーガン著『断絶への航海』に似ていて、クラークとホーガンの違いとして読み比べるのもいい。
好みとしては『断絶への航海』の方だが。

持って回った文章なので最初の1/3くらいは少し入り込みにくいが、読み進めていくことでスケールの大きさや叙情的な内容に馴染んでくる。

本書の位置付けはクラークSFの集大成ということらしく、確かにそれだけの内容だと思う。

本書ではファンタジーじみた未知の存在が登場しないこともあり、これまで読んだ著者の『2001年宇宙の旅』、『幼年期の終わり』、『宇宙のランデブー』などよりも好きな作品だった。
絶版となっているのは少々惜しい。



[本書と舞台設定が似ている作品]
断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)
「断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)」
 著者:ジェイムズ・P. ホーガン
 出版:早川書房
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[著者の傑作短編集]

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[新訳]大学・中庸
[新訳]大学・中庸守屋 洋
PHP研究所 2008-12-20

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[決定版]菜根譚
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孟子 不安と混迷の時代だからこそ―現代活学講話選集〈3〉 (PHP文庫)


儒教のバイブルに当たる四書五経から『大学』と『中庸』、加えて『易経』、『礼記』、『書経』、『左伝』から200の名言を抄訳・解説している本。
それぞれ原典のどの部分から採ったかも書かれているので、これらを読む場合の助けにもなる。

『論語』と前後して書かれたものが多いようで、自身の心構えや対人関係について触れられた言葉が多い。

著者も解説の中で指摘しているように、孝を中心に実行することや修身・斉家・治国・平天下と呼ばれる徳治主義が儒教の本質で、現実に合わないところもしばしば見られる。
どの思想でもそうだが原理主義を唱える人は必ず出てくるので、こうした理想をいかに現実と調整するかがポイントのように感じた。

『左伝』の部分を読んでいて思ったのは、他よりも面白そうだしボリュームもあるので別に1冊分けたほうがいいのではないかということだった。
『史記』や『戦国策』の現代語訳の本はそれなりにあるのに『左伝』ものが少ないことに不満に感じている。

また、『左伝』では道徳的な言葉までが紹介されていてその後あるべきオチがなかったので物足りない。
特に申生の話など、家来のアドバイスに従って正しい行動を心がけたものの結局は陥れられて自殺する羽目になったことが書かれていない。
この結末が報われていない話を知っている人はけっこういるはずなので、他の言葉にした方が良かったのでは?と思っている。



著者の作品について書いた記事
  • 『孫子に学ぶ12章』
  • 『右手に「論語」左手に「韓非子」』
  • 『司馬法・尉繚子・李衛公問対』
  • 『「韓非子」を見よ!』
  • 『兵法三十六計』
  • 『実践・老荘思想入門』
  • 『戦国策(徳間文庫)』
  • 『“中国古典”役に立つ兵法120』

  • [PHP研究所から出ているシリーズの作品]
    [新訳]一日一言
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    [渡邊 誠]

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    やさぐれぱんだとペンギン (小学館文庫 さ 5-3)
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    山賊
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    やさぐれぱんだとうさぎとかめ (小学館文庫)
    やさぐれぱんだ〈2〉 (小学館文庫)
    やさぐれぱんだ〈1〉 (小学館文庫)
    やさぐれぱんだ3 (小学館文庫)
    やさぐれぱんだ ビッグコミックス編 (ビッグコミックススペシャル)


    普段は青年とパンダがかけあいをする短編という形式の漫画だが、本作ではその枠組みを飛び出して旅をする形となっている。
    著者によると、普段やらない長い話で作画が大変だったので”大長編”とつけているらしいが、1ページあたり2コマとなので早く読み終えることができる。

    青年がパンダにロマンを語り、パンダが突然ロマンのある場所を探しに出かける場面から始まっている。
    書置きに”探してください”と書かれていたので、青年もしぶしぶパンダを探しに出かけ、その途中でペンギンと出会う。
    そこから他の濃いキャラクターも続々登場し、奇妙に笑え味わいのやり取りがなされていく。

    青年とパンダとペンギンが空腹になった際、愛と勇気だけが友達のあのヒーローが後姿の一部として登場し、青年がいろいろな問題があるのでフレームに入らないよう頼んでいたあたりは特に笑ってしまった。

    ゆるい笑いや毒のあるストレートな突っ込み、そして間の絶妙さなどが好きな作品だった。
    ぜひ他のシリーズも読みたい。


    [著者の他の作品]
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    幕末 維新の暗号
    幕末 維新の暗号加治 将一
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    舞い降りた天皇(下)


    幕末から明治初めに撮影されたとされるいわくつきの写真の話から、明治維新の際に極めて大規模な陰謀が実行されたのではないかという謎に挑んでいる歴史ミステリー。

    主人公は本書の続編『舞い降りた天皇』と同様に著者の分身と思われる望月で、闇の勢力による脅迫と戦いながら調査を進めていく。

    写真というのはフルベッキ写真と呼ばれる集合写真で、一般的にはフルベッキという宣教師とその教え子たちとされているが、実際に写っているのは西郷隆盛、坂本龍馬、伊藤博文・・・といった幕末から明治に活躍した大物たちばかりだという説がある。

    望月は助手のユカと写真に写っている人物の真偽を調査していくうちに、以下のような不自然な事例がいくつもあることを知り、吉野、柳井、佐賀、長崎、鹿児島、田布施などを訪れることになる。
    • フルベッキ、アーネスト・サトウ、トーマス・グラバーの倒幕における暗躍
    • 彼らに見え隠れするフリーメーソンの影
    • 岩倉遣欧使節団のあまりに異常な滞在期間
    • 明治政府における異常なまでの南朝への肩入れ
    • 江藤新平らによる佐賀の乱鎮圧時における大久保利通の言動の異常さ
    • 横井小楠の過激思想
    そして、当時行われた陰謀は当初思われていたよりも大規模なものであることが徐々に判明していく。

    これ以上はネタバレになるし、少々恐れ多い事柄でもあるので書かないことにするが、『舞い降りた天皇』よりも時代が近いためにかなりの衝撃を受ける。
    特に中盤以降は謎解きの内容に引き込まれ、ついつい夜更かしをしながら読み進んでしまった。

    最近読んだこの手の歴史ミステリーでは、最も面白かったと思う。



    [本書の文庫版]
    幕末 維新の暗号(下) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)
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     著者:加治 将一
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