読んだ本の感想をつづったブログです。


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唐宋伝奇集(下)――杜子春 他三十九篇 (ワイド版岩波文庫)
唐宋伝奇集(下)――杜子春 他三十九篇 (ワイド版岩波文庫)
今村 与志雄
岩波書店 2014-05-17

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中国の唐代から宋代にかけて書かれた伝奇小説を集めたアンソロジーの下巻で、39編が収録されている。

ショートショートと言える長さの作品が多く、読みやすい。

表題作は国語の教科書で取り扱われることの多い、芥川龍之介の短編『杜子春』の原作である。
大まかなところは同じだが、愛を感じる対象などの細部はそれなりに異なっているのが分かる。

上巻の表題作(「南柯の一夢」)と同様、主人公の杜子春も人生について多くを知ってしまうところで終わるが、こうした人がどのような心境に至るのかが想像しづらい。

また、中島敦の短編『山月記』の元となった「李徴が虎に変身した話」も収録されていて、中島が李徴の心情に関する部分をふくらませて書いているのが分かって面白い。

他にも表題の通り唐代や宋代に書かれたものということで、その後の時代に書かれた『聊斎志異』や『棠陰比事』に使用されたと思われる話がいくつもある。

例えば盗賊を巧妙な手段で検挙する「則天武后の宝物」は『棠陰比事』に似たような話があったし、天に向かってひもを伸ばす話の「嘉興の綱渡り」や麺好きなのにやせたままでいる男が出てくる「麺をとかす虫」なども『聊斎志異』の中で似た話を読んだ。

他にも、
  • みかんの中で仙人たちが将棋をしていた「みかんの中の楽しさ」
  • 運命の赤い糸ならぬ赤い縄が出てくる「赤い縄と月下の老人」
  • 宿屋のおかみに妖術をかけられそうになり、逆に妖術を返してしまう「女将とろば」
  • 難破した先の国で、なぜか若様と遇される「つばめの国の冒険」
などが収録されていて面白い。

話の豊富さや面白さ、後世の様々な文学作品に影響を与えたことなどを考えると、絶版となっているのがつくづく惜しい。
再版が望まれる。



蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
「蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)」
 著者:芥川 龍之介
 出版:新潮社
 発売日:1968-11
 価格:¥ 340
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カッパの飼い方 1 (ヤングジャンプ・コミックス)
カッパの飼い方 1 (ヤングジャンプ・コミックス)
石川 優吾
集英社 2003-10-17

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河童がペットとして飼われている日本という設定で、主人公の”私”が河童の”かぁたん”を飼うことで起こる出来事を描いている漫画。

書店で見つけ、これは以前兵庫県立歴史博物館にて開催されていた特別展「妖怪天国ニッポン-絵巻からマンガまで-」で現代の妖怪もの作品として紹介されていたことを思い出し、購入した。

主人公が”かぁたん”をペットショップで購入するところから始まり、しつけの難しさや河童を飼っている人たちとの交流、社会における河童の活躍などがゆるいタッチで描かれていて心なごむ。

飼ってから日が浅いためか”かぁたん”がやんちゃな行動を取ることも多く、主人公が悩みながらも”かぁたん”を育てることを楽しんでいることが伝わってくる。

特に、河童同士の喧嘩は相撲だったり、野良化した河童が酔っ払いに上手投げをかけるシーンで笑ってしまった。

また、おそらく河童を目立たせるためと思うが、主人公を含めたほとんどの人間はのっぺらぼうに描かれていて、『狂気の沙汰も金次第』などの筒井康隆のエッセイに描かれている、山藤章二による筒井康隆のイラスト(イケメンで描きづらいためのっぺらぼう)を思い起こさせるのもいい。

人間と河童が遊ぶ漫画は、4コマ漫画の『妖怪研究家ヨシムラ 』もあり、本書はほのぼのした感じ、『ヨシムラ』はギャグの傾向が強いなど、それぞれの違いを比べるのも楽しい。




[著者の他の作品]




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唐宋伝奇集(上)――南柯の一夢 他十一篇 (ワイド版岩波文庫)
唐宋伝奇集(上)――南柯の一夢 他十一篇 (ワイド版岩波文庫)
今村 与志雄
岩波書店 2014-04-17

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岩波文庫から出ていた、中国の唐代から宋代にかけて書かれた伝奇小説を集めたアンソロジーの上巻で、11編が収録されている。

副題にある「南柯の一夢」は、夢の中で役人になって出世や失脚など多くの経験をし、実はアリの世界だったという話で、構成や伏線の張り方などが面白い。

また、「邯鄲の夢」として有名な「邯鄲夢の枕」も「南柯の一夢」と似た傾向の話である。
それにしても、夢の中で人生の様々なことを知ってしまった青年がその後どうなったのか少々気になる。

他にも、
  • 狐の美女がかいがいしく尽くしてくれる「妖女任氏の物語」
  • 思い焦がれる娘のドッペルゲンガーと駆け落ちする「離魂記」
  • 湖の主にその娘の苦境を伝え、その娘と結ばれる「竜王の娘」
などが入っていて、先日読んだ『聊斎志異』に近い感じで面白かった。

下巻は39編が収められているとあり、これも読むつもりである。








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現代語訳 江戸怪異草子 (河出文庫)
現代語訳 江戸怪異草子 (河出文庫)
浅井 了意 (著), 富士 正晴 (翻訳)
河出書房新社 2008-08-04

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江戸時代に書かれた怪奇小説である『伽婢子』(おとぎぼうこ)とその続編『狗張子』(いぬはりこ)を現代語訳した作品。
『雨月物語』も『伽婢子』に影響を受けて書かれたという。

解説によると、中国の怪奇小説『剪灯新話』(せんとうしんわ)の話を日本風にアレンジしたものも多く入っているとあり、確かに先日読んだ『聊斎志異』に似たシチュエーションの話もしばしば目につく。
例えば幽霊の美女が夜に訪ねてくる話などである。

ただしあくまで日本風になっているため、冥界で裁判がなされるようなシーンや、仙人、道士などは出てこない。
また、中国では神として関帝(『三国志』に登場する関羽)や李二郎(戦国時代に四川でダムを建設した人物)などが登場するが、本書では聖徳太子が悪ふざけをした神に罰を与えようとしているのが面白い。

話の時代背景は戦国時代から江戸時代初期にかけてのものが多く、武田信玄や上杉謙信、陶晴賢といった戦国武将もしばしば登場する。

上杉謙信などは伝説的な忍者の飛び加藤(加藤段蔵)の訪問を受けたり、些細な理由で殺した重臣の呪いを受けたりしている。

蜷川新右衛門尉親当(にながわしんえもんのじょうちかまさ)という武士が亡霊に会う話も入っている。
どこかで聞いた名前と思っていたら、アニメ『一休さん』に登場する”新右衛門さん”のモデルとなった人物だったのでちょっと笑ってしまった。

1話あたり数ページとコンパクトな構成となっていて読みやすい。
訳文がいまひとつな気もするが、全体としてはまずまず楽しめたと思う。



[江戸時代の怪談について書かれている本]




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