ハリウッドの映画プロデューサーによる、海外生活の長かった経験から日本の良さを語っているエッセイ。
著者は高校生の頃に西海岸へ移り、数年前に奥さんの地元である宮崎に移住してきたことで、Iターン者とか今浦島といった表現で自身を表現している。
アメリカ生活が長かったこともあり、一般の日本人があまり意識しない日本の良さを語る。
他人を思いやる丁寧な対応や、和風ハンバーグ、カキフライ、豚のしょうが焼きといった和風洋食のように、日本風にアレンジしてしまう力など、古い日本から新しい日本までさまざまな事例を挙げている。
また、和風洋食のおいしさに驚いたり、通勤ラッシュのひどさに憔悴したりと著者の友人である外国人たちが日本のディープさに驚かされているエピソードが面白い。
いかにも観光向けではない普段通りの日本を扱っている部分が多い。
小姑的な文化すら、単なるダメだしではなくこうすればいいという前向きなアドバイスがついているのが他国と異なると書いていて、へえと思う。
平和ボケという言葉も、四六時中気をつけなければならない環境でないからこそで、これはどちらかといえば感謝すべきことだともある。
本書が書かれたのは先だっての大震災が発生する前のようだが、日本人はこうした事態でも暴動は起こさないし、必ず復興へ向けて着実に取り組んでいくと書いている。
日本に生まれたことへの感謝や日本という国に自信を持つことなど、元気付けられる一冊だと思う。