日付 | 記事タイトル |
2013/08/29 | 『ヘンな日本美術史』 |
2013/08/24 | 『脱「ひとり勝ち」文明論』 |
2013/08/23 | 『厚黒学―厚かましくかつ腹黒く生きよ』 |
2013/08/22 | 『中国の歴史(二) 』(中国歴史シリーズ) |
2013/08/21 | 『パシフィック・リム』 |
2013/08/20 | 『日本人の知らない日本語4 海外編』 |
2013/08/18 | 『毒舌訳 哲学者の言葉』 |
2013/08/16 | 『街道をゆく 40 台湾紀行』 |
2013/08/13 | 『さくらえび』 |
2013/08/10 | 『てっぺんとったんで!』 |
2013/08/09 | 『名言で楽しむ日本史』 |
2013/08/07 | 『お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」』 |
2013/08/04 | 『中国の歴史(一) 』(中国歴史シリーズ) |
2013/08/03 | 『神南署安積班』 |
2013/08/02 | 『素材は国家なり ―円高でも日本経済の圧倒的優位は揺るがない』 |
2013/08/01 | 『10秒でこころの悪循環を断ち切る方法』 |

ヘンな日本美術史 | |
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文章も上手い画家による、日本美術のヘンな一面を解説している作品。
このところ書店の美術関連のところで平積みにされていることを多く目にして気になったので、読んでみた。
扱われているのは『鳥獣戯画』や雪舟の作品、『伝・源頼朝像』、『洛中洛外図屏風』などの有名な作品から、河鍋暁斎や月岡芳年といった美術ファンから評価の高そうな絵師の作品、マイナーだが味のある作品など多数で、改めて日本美術の幅広さを感じる。
教科書に載っている絵はどうしても立派な作品という先入観を持ちがちだが、作者が微妙に替わっているところや、遠近法をあえて崩したような感じ、人間の顔のパーツをどれも正面から見たように描いているところなど、知らなかった鑑賞ポイントが書かれていて面白い。
特に印象に残るのは、西洋画の技法が入ってくるまでの日本の絵は見た人の印象に重点が置かれたような描き方だったのが、西洋画の写実的な技法に日本の絵師たちが苦労したエピソードについてである。
近代以降、西洋的な技法と従来の日本画の技法のせめぎ合いみたいなものが感じられ、日本の絵が西洋画を消化するには時間がかかるのかなとも思った。
あまり絵の技法について知らなくても楽しめたが、予備知識があればさらに楽しめる作品となっている。
著者のことも初めて知ったので、絵や著作をこれから見たり読んだりしたい。

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脱「ひとり勝ち」文明論 | |
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太陽電池で走る電池自動車を開発した科学者による、太陽光発電と新型電池、電気自動車などによる新たな文明を提唱している作品。
始めの方で、著者が開発にかかわった電気自動車の写真が掲載されている。
これはタイヤが8本でちょっとフナムシやゴキブリを思わせるシルエットだが、現在の自動車も昔の人が見ればかなりヘンだったはずなので、あまりツッコむのはやめておく。
それよりもタイヤが8本で、しかもタイヤにモーターが仕込まれていることで、車内空間が現在のガソリン型自動車よりも広くとれるのは大きな魅力である。
しかもタイヤが多いことで滑らかな走行を実現しているらしく、タイヤのパンクにも強そうである。
その電気自動車を紹介した上で、環境にやさしい脱「ひとり勝ち」文明を提唱している。
実現には大企業がバリューチェーンに入っていて破壊的イノベーションがしづらい一方で、日本ではゆるやかな改革を成し遂げてきた実績があるともあり、読む人が希望を持てるような内容となっている。
少し気になったのは太陽電池を手放しで褒めているようなところで、太陽電池を製造する際に発生する有害物質などの環境への負荷、それから太陽光発電では製造業にとっては安定供給には厳しいことなどに対してはあまり触れられていないようだったので、この点の考察も欲しかったところである。
本書が書かれたのは民主党政権になる前で、その後太陽電池については菅直人のせいでかなりイメージが下がったような気がする。
それはそれとして、正しい方向に予算をきっちりかければ技術の進歩は比較的容易としていることや、既存の技術を組み合わせることで大きな成果をだせることなどが書かれており、科学技術への期待をさせる内容となっている。
なかなか興味深い1冊で、読んでよかったと思う。
[著者の他の作品]
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厚黒学―厚かましくかつ腹黒く生きよ | |
![]() | 李 宗吾 (著), 尾鷲 卓彦 (翻訳) 徳間書店 1998-07 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 秘密の成功哲学 厚黒学: リーダーとなるためには腹黒く生きよ! 私はなぜ「中国」を捨てたのか (WAC BUNKO) 中国の歴史 リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす |
中国の清末から日中戦争の時期にかけて書かれた、タイトル通り厚かましくかつ腹黒く生きる処世術について書かれた思想書。
部下を操縦したり上司に取り入るなどのテクニックについて、あけすけに書かれている。
これは表向きの儒教の道徳に対してのアンチテーゼという側面が大きいようである。
有名な歴史上の人物を例に挙げていて、厚かましさと腹黒さを兼ね備えていたのが前漢の高祖劉邦、厚かましさだけであれば蜀漢の劉備、腹黒さでのみでは魏の曹操などと書かれていて、『三国志』や『項羽と劉邦』を読んだ記憶から思い当たるところも多い。
また、厚かましさや腹黒さは表向きはカモフラージュしておくべきことや、多くの人の私欲を満足させるための厚黒が望ましいとしているところなどがポイントのようである。
このように書くと刺激的で面白い本のように見えるが、面白かったのは最初の1/4くらいで、その後は著者自身の話や、厚黒学がいかに役立つかという話が続いていて、あまりにつまらない。
時代背景などを知らなければ伝わらないと思われるところも多く、このあたりは訳者による構成がまずかったのだと思う。
題材はなかなか面白そうだっただけに、がっかりさせられた1冊だった。
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中国の歴史(二) (講談社文庫) | |
![]() | 陳 舜臣 講談社 1990-11-08 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 中国の歴史(三) (講談社文庫―中国歴史シリーズ) 中国の歴史(一) (講談社文庫―中国歴史シリーズ) 中国の歴史(四) (講談社文庫―中国歴史シリーズ) 中国の歴史(五) (講談社文庫―中国歴史シリーズ) 中国の歴史(六) (講談社文庫―中国歴史シリーズ) |
作家・陳舜臣による歴史読み物シリーズの第2巻。
戦国時代から秦による天下統一、楚漢戦争を経ての前漢の成立、武帝の全盛期と、その反動で息切れした時期、王莽による簒奪までを扱っている。
おそらくこの時期が中国史上で最も面白く、かつ後世に影響を与えた時代であり、手元にある本は何度も読み返したことでボロボロになっている。
ざっと思いつくだけでも下記のようなトピックがあり、北方異民族による大陸支配(唐、元、清など)や宦官の台頭(これは後漢で出てくる)などを除けば大体この後に発生したことは、その後も似たパターンを繰り返しているように思う。
- 戦国七雄とされる秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓の7大国の勢力争いが、多彩な人材の輩出や地方の開発など活況につながっていたこと
- 諸子百家あるいは百家争鳴と呼ばれる、儒家、法家、道家、墨家、兵家など多くの思想の成立
- 商鞅や李斯による法家主義の統制、張儀の連衡策や范雎の遠交近攻策などの外交、白起や王センといった将軍たちの活躍などによる秦の天下統一
- 始皇帝死後に起こった陳渉・呉広の乱から秦の滅亡、そして項羽と劉邦による楚漢戦争
- 劉邦による前漢の創業と匈奴との屈辱的な和平、劉邦死後の呂氏の専横、文帝による休息の時代、景帝の代に起こった呉楚七国の乱
- 武帝の全盛期に行われた朝鮮半島やベトナムの征服、匈奴との戦い、シルクロードへの進出
- 度重なる外征による経済的な疲弊や、まじない絡みのスキャンダルの多発、外戚の台頭などで衰退する過程
この時代に人による思想書として『孟子』、『荀子』、『荘子』、『呉子』など、そしてこの時代を扱った歴史書では『戦国策』、『史記』、『漢書』、『淮南子』などがあり、よく知られているものが多い。
本書の時代を扱った小説でも、これまで読んだだけでも中島敦の『李陵』、司馬遼太郎の『項羽と劉邦』、宮城谷昌光の『孟嘗君』、塚本青史の『史記游侠外伝 一諾』など数多い。
天下泰平を実現した帝王が封禅の儀式をした山東省にある泰山や、奇跡的に保存状態が良好な女性の遺体(長沙国の重臣の夫人と推定される)が発見された馬王堆の話も面白い。
中国の歴史の中でもまず押さえておきたい時代を丁寧に解説してあり、興味深く読むことができる。
- 本書の前作について書いた記事
- 『中国の歴史(一) 』(中国歴史シリーズ)
[本書で扱われている時代で活躍した人物を描いた歴史小説]
