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読んだ本の感想をつづったブログです。


実伝 黒田官兵衛 (角川文庫)
実伝 黒田官兵衛 (角川文庫)
火坂 雅志
角川学芸出版 2013-05-25

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来年放送予定のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』の主人公である黒田官兵衛(孝高・如水)に関する考察や対談を集めたアンソロジー。
編者の火坂雅志は官兵衛を主人公とした『軍師の門』の著者であり、他にも作家の安部龍太郎や童門冬二、黒部亨などの作家、そして元NHKアナウンサーの松平定知や実業家の村井勉など多くの人の作品が収録されていて、官兵衛が注目される人物であることが再認識される。

秀吉との関係や、荒木村重に囚われた頃の苦難、竹中半兵衛との絆、息子長政との微妙な関係、関ヶ原の合戦時の九州での活躍、キリスト教への帰依と多くのエピソードがあり、様々な角度から語られている。

この中では、九州征伐での活躍や、それにも関わらず警戒されて恩賞が少なかったことへの不満に思っていたと思われることについての話が印象に残る。
また、荒木村重に囚われてしまったことを機に、その謀略に深みや冴えが加わったのではないかという考察には少し考えさせられた。

それから、官兵衛に関する資料として知られるものは、黒田家に伝わる貝原益軒著『黒田家譜』、黒田藩出身で大日本帝国憲法起草に関わった金子堅太郎による『黒田如水伝』、そしてこちらも福岡藩出身で明治時代に活躍したジャーナリストである福本日南の『黒田如水』があるという。
この中でも福本日南の作品を考察した作品が収録されていて面白かった。

大河ドラマに便乗している作品だが、なかなか興味深い一冊だったと思う。



[黒田官兵衛を扱っている作品]


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関連タグ : 火坂雅志, 安部龍太郎, 童門冬二, 黒田官兵衛,

新・井沢式日本史集中講座 1192作ろう鎌倉幕府編
新・井沢式日本史集中講座 1192作ろう鎌倉幕府編
井沢 元彦
徳間書店 2009-03

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『逆説の日本史』シリーズなどで知られる井沢元彦による、鎌倉幕府が成立した経緯や当時の武士たちの事情などについて解説している作品。

まず、源頼朝が征夷大将軍として鎌倉幕府を開いた背景として、地方で実際に農地を開発した武士たちが正式な土地所有権を求めていたことに応えた結果としていて、このあたりは司馬遼太郎の作品などでも読んだことがあった。
なぜ征夷大将軍という蝦夷向けの役職となったかという答えも書かれていて、前線司令官として朝廷の指示を必ずしも受けなくていいからとあり、そういうことかと納得した。

そして源氏の将軍が頼朝・頼家・実朝の三代で絶えたことの裏には、彼らが朝廷に接近したことでないがしろにされたと感じた関東の武士たちの不満、そして有力な氏族間の争いがあったとしている。
中でも、北条氏が比企氏を滅ぼす過程で、比企氏出身の妻から生まれたという理由で頼家の長男・一幡も殺されているあたりはすさまじい。

その直後に発生した承久の乱では、武士政権を倒そうと立ち上がった後鳥羽上皇が頼ったのも武士という限界を語り、鎌倉で朝廷軍を待ち構えるのではなく速やかに京都へ進撃することを決した北条政子や義時、大江広元といった幕府首脳部の戦略は正解だったと評価している。

後半では北条泰時が制定した御成敗式目について語っている。
基本的に鎌倉幕府が土地の所有権を求めた武士たちに支えられていることもあり、土地絡みの争いの解決に関する事項が多い。
その中でも悔還(くいかえし)と呼ばれる、一旦相続者に贈与した土地を取り返すことができるという条項は、世界的にも珍しいらしい。

そこから、御成敗式目や北条泰時の言動などから、日本人の思想と法律について考察している。
他国で法律の根拠となっているのは宗教であることが多いのに対し、日本の場合は宗教よりも皆の納得が優先されることが多く、相続争いに際して泰時が取った行動や大岡裁きを例に挙げている。

泰時や大岡忠相の裁きは厳密に言えば法律違反に当たるが、日本人に支持されていることがそれを裏付けているとあり、山本七平の作品にも似たことが書かれていたことを思い出した。
泰時は武士だけでなく、対立関係にある朝廷や公家からも偉い人物と絶賛されるなど、ほとんど悪い評判が書かれていない人物だったそうで、理想的な日本人を体現した人物だったように感じた。

関心のある時代の一つについて興味深い考察がなされており、楽しんで読むことができた。



[著者の他の作品]


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中国の歴史(四) (講談社文庫―中国歴史シリーズ)
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陳 舜臣
講談社 1991-01-08

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作家・陳舜臣による、中国の歴史を解説したシリーズの第4巻。
隋による天下統一から唐の時代、五代十国と北宋の成立、そして金の侵攻による北宋の滅亡までを扱っている。

隋と唐は王家が鮮卑系ということもあってか、朝鮮半島や西域といった周辺諸国への進出志向が強く、結果として遣唐使で知られるように、世界国家としての性格が強いことが分かる。

また、隋唐では煬帝、李世民、則天武后、玄宗ら、五代十国では朱全忠や李克用、柴栄といった個性豊かな人物が登場する。
鮮卑、突厥、契丹、女真と遊牧民の進出や節度使など地方勢力の台頭、士大夫と宦官の対立、江南の経済力向上などの多くのトピックがあり、この時代のイメージの一端が伝わってくる。

この時代から官僚登用試験である科挙が始まり、皇帝の権力が強まった一方で家臣たちが小粒になってきたような気がするのも興味深い。

この時代を描いた小説では『水滸伝』があるものの、『三国志演義』や『史記』、『春秋』などに比較して日本で知られる史書や小説が少ないように思うが、初めて知ることも多い。



[本書で扱った時代を描いた歴史小説]


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晩夏―東京湾臨海署安積班
晩夏―東京湾臨海署安積班
今野 敏
角川春樹事務所 2013-02-15

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宰領: 隠蔽捜査5
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烈日―東京湾臨海署安積班


今野敏の人気シリーズである安積班ものの1冊。

本作では東京が台風の被害に遭っていた同日に、パーティ会場での毒殺事件と、クルーザーで発生した絞殺事件が描かれている。
そして毒殺事件の会場には安積の親友で交通機動隊の小隊長である速水が出席しており、毒殺されたグラスから速水の指紋が検出されたことから、重要参考人として拘束されてしまう。

強行犯第1係の安積班はクルーザーでの絞殺事件の、そして強行犯第2係の相楽班はパーティ会場での毒殺事件の捜査本部に参加し、安積は捜査一課の矢口という若い刑事と組むことになる。
この矢口がエリート意識と減らず口、ゆとりっぽい言動などで安積を悩ませるが、解放された速水も捜査に参加するに当たり、矢口を厳しく指導していくところが面白い。

今回安積をライバル視する相楽は比較的協力的な一方、相楽の元上司に当たる捜査一課の佐治が安積と口論したり、2つの捜査本部の管理官たちの微妙な関係など、警察小説でよく出る組織での人間関係の難しさも描かれている。

以前読んだ『烈日―東京湾臨海署安積班』のように、速水が大活躍しており、楽しんで読むことができた。



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関連タグ : 今野敏, 安積班シリーズ,