読んだ本の感想をつづったブログです。


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完全黙秘―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)
完全黙秘―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2011-09-02

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警視庁公安部の係長である青山望(あおやまのぞみ)警部が活躍するシリーズの第1作。

序盤に福岡で開かれた会合において財務大臣が衆人環視の中で刺殺される事件が発生する。
すぐに犯人は逮捕されたが、完全に黙秘を貫いていてその素性すら判明せず、警察の威信を問われる事件となってしまう。

そのため福岡県警だけでなく警視庁も捜査に乗り出して特捜部が設立され、青山も公安の担当として捜査に当たることとなる。
また、青山には同期の係長として大和田(組対四課=マル暴)、藤中(捜査一課=強行犯)、龍(捜査二課=知能犯)がおり、それぞれが担当の部署で能力を発揮していく。

事件はヤクザ、政界、芸能界と徐々に規模が大きいことが判明し、公安では情報戦を仕掛けたり刑事部ではとてもできない捜査を行っていく。
非合法な手段で得た情報を合法な手続きによる捜査資料で補強していくというやり方が書かれていて、国家を守ることがいかにきれいごとでは済まないかがわかってくる。

最初は警察組織の階級や部署を理解するのに時間がかかったが、途中からはそれらの情報が活きてきてより面白くなっていく。
また、著者が警察時代に悩まされたと思われる政治家たちがモデルになったと思われる記述が多いのも興味深い。

思っていた以上に面白かったので、続編も読んでいくつもりである。




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山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)
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市川宏雄
メディアファクトリー 2012-08-29

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JR東日本が山手線の品川と田町の間に新駅を造るという構想が発表され、それに伴う都市計画のビジョンについて解説している作品。
著者の『リニアが日本を改造する本当の理由』が興味深かったので本作も読んでみた。

新駅ができる背景に上野止まりだった常磐線を東京駅まで延伸して東海道線とつなげる計画があり、これによって品川駅の東側にある車両基地の広大なスペースが不要となることから、おそらく東京最後の大規模な再開発の舞台となるだろうとしている。

この場所は東京、神奈川、羽田空港をつなぐ要所にあることや、水辺に近くて水運もいいこと、そしてリニア新幹線の発着駅となる予定であることなどから、かなりのポテンシャルを秘めていることが書かれている。

その上で羽田空港と成田空港を短時間で結ぶ交通機関の開設や、湘南新宿ラインのように山手線の一部を通る路線が山手線の混雑を緩和する効果があること、規制緩和による新たな街の創設など、魅力的な都市計画を語っている。

他にも鉄道会社の営業戦略によって新駅を開設する事情や、西日暮里駅のように乗り換えのため駅の存在など、多くの話題が扱われている。

興味深く読むとともに、東京圏のさらなる発展を期待したくなる1冊だったと思う。



東京五輪で日本はどこまで復活するのか (メディアファクトリー新書)東京五輪で日本はどこまで復活するのか (メディアファクトリー新書)

市川 宏雄
KADOKAWA/メディアファクトリー 2013-12-27

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[新訳]日暮硯  藩政改革のバイブルに学ぶ人の動かし方[新訳]日暮硯 藩政改革のバイブルに学ぶ人の動かし方

河合 敦
PHP研究所 2013-10-12

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江戸時代に真田家の松代藩において、家老の恩田木工(おんだもく)が行った藩政改革の逸話をまとめた作品である『日暮硯』(ひぐらしすずり)を現代語訳した作品。
本書のエピソードは池波正太郎の歴史小説『真田騒動-恩田木工』でも扱われている。

当時の松代藩では様々な要因によって財政危機に陥っており、幕府からの借金や領民から年貢の前借り、商人に献金を強要するなどでしのいでいる有様だった。
そのため前藩主の真田信安は原八郎五郎や田村半右衛門を担当者にして藩政改革に当たらせたが、性急だったことなどで反発され、足軽のストライキや一揆が起こったことで失敗していた。

そして信安の後継者である幸弘は親類の大名たちと相談の上、木工を藩政改革の担当者に任じることとなる。
木工はまず「うそをつかない」という公約したが、身内が守らなければ意味がないということで親族には縁切り、家来は解雇を言い渡し、そうしない代わりにうそをつかないことを約束させるところから始めた。

財政改革では支出の切り詰めや増税などがスタンダードなのは今も昔も同じなのだが、木工がやった改革は領民との信頼関係を築いてそれを前提とするところで、信頼に基づく社会がいかにコストが安くつくかが分かる。

最初に厳しい建前論を言った後に、「かく申すは理屈なり」と言って必ずしも公正でないかもしれないが現実的なことを話していくスタイルがいいテンポを生んでいる。
そして「慰みならば博打はOK」とした上での対策や、悪徳役人を「器量がなくてはできぬもの」として取り立てるなど、かなり人情に通じたと思われる政策を打ち出していく。

責任者に高い倫理観が求められてどの社会でも実現できるとは限らないが、ひとつの方法として示唆に富む内容となっている。
現代語訳で読むことができてよかった。



日暮硯 (岩波文庫)日暮硯 (岩波文庫)

笠谷 和比古
岩波書店 1988-04-18

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真田騒動―恩田木工 (新潮文庫)真田騒動―恩田木工 (新潮文庫)

池波 正太郎
新潮社 1984-09-27

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天を裂く: 水野勝成放浪記
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大塚 卓嗣
学研パブリッシング 2013-07-16

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徳川家康の母方の従兄弟に当たり、波瀾万丈の生涯を送った水野藤十郎勝成の活躍を描いた歴史小説。
水野家は「風狂」と呼ばれるほど好戦的なことで知られ、家康にも”水野を下に使うこと自体馬鹿げている”と言わせるほど強烈な人物が出ている。

主人公の勝成も例にもれず「風流を尽くす」ことにこだわる人物で、小牧・長久手の合戦で父・忠重と大喧嘩をした挙句、仲裁に入った家臣を殴り殺してしまったことで忠重から追放および奉公構え(他家での仕官禁止)を言い渡されてしまう。
行くあてのない勝成を見かねた家康は京都に隠棲するある人物に紹介状を書き、勝成は西国で活躍の場を求めて奮闘していくことになる。

家康や忠重の他にも親友の井伊直政や、その後出会う多くの人物との軽妙なやり取りやくだけた感じの会話、テンポ良い展開などもあってどんどん読み進んでいくことができる。
味方だけでなく有名な武将との一騎打ちのシーンも随所に出てきて飽きさせない。

勝成については藤堂高虎を描いた安部龍太郎の『下天を謀る(上・下)』に重要な役として出ていたのが印象に残っているが、それ以外ではあまり歴史小説などで読んだことがなかったので、思っていた以上に面白かった。
著者は新人作家なのか他に著作が出ていないので、今後に期待したいところである。




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