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警視庁科学捜査最前線 (新潮新書)
警視庁科学捜査最前線 (新潮新書)
今井 良
新潮社 2014-06-16

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警視庁担当記者を務めてきた人物による、現在の警視庁における科学捜査の実態の一端を解説している作品。

現在、物品が大量に流通して証拠品からの操作が難しくなったり、地域内での人のつながりが薄くなっているという背景、そしてインターネットなど犯罪に使用されうる技術が進んだことなどから、従来の地取り、鑑取りといった捜査手法のみでは事件解決が難しくなったという現実があり、それに対して科学捜査の手法がいくつも開発されてきたことを語っている。

組織としてはドラマでよく登場する鑑識や科学捜査研究所(科捜研)の他に、捜査支援分析センター(SSBC:Sousa Shien Bunseki Center)という部署が組織されていることが書かれていて、防犯カメラの画像分析やNシステムの記録を活用した事件を解決したエピソードが紹介されているのが分かりやすい。

最近で有名な事件では「黒子のバスケ脅迫事件」や「パソコン遠隔操作事件」も扱われていて、犯人逮捕に向けた警察の執念が伝わってくる。特に「パソコン遠隔操作事件」では犯人に面子をつぶされた警察の怒りも相当なものだったと思う。

また、それぞれの組織における課や係の役割や捜査手法、使用している機材や技術についても語られている。
このあたりを知っておくと、警察小説を読む時により楽しめそうである。

ITやマーケティングの分野ではビッグデータの活用ということがしばしば語られるが警察においてもそれは同様で、指紋や掌紋、声紋、DNA、犯行の手口や事件現場といったデータの蓄積があり、それらをいかに有効に活用していったかが書かれている。

漠然と捜査に持っていたイメージとの違いがあったり、思っていた以上に進んだ捜査手法があったりと、興味深く読むことができたと思う。




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