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黒田官兵衛目薬伝説  目の神、鉄の神、足なえの神黒田官兵衛目薬伝説 目の神、鉄の神、足なえの神

奥沢康正 浦上宏 芝本満 神崎勝 芥田博司 宝賀寿男 長谷川博美 石瀧豊美 蒲池明弘
桃山堂 2014-09-25

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今年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』の主人公である黒田官兵衛(孝高、如水)について、その家系や関連のある土地にまつわる伝承について、鉄にまつわる産業という視点から紹介している作品。

本書では伝承に対して検証を行う形ではなく、伝承が生まれた由来を眼科、製鉄、郷土史などの専門家たちがそれぞれに論じている。

福岡藩黒田家の公式資料では黒田家は近江の佐々木(京極)氏から分かれていて備前福岡へ移住し、祖父の代に播磨の姫路に移って家伝の目薬販売で財産を築いて小寺家の家老になったとされているが、祖父の代以前の史料での裏づけがなく、姫路以前の経歴を否定する歴史学者も多い。

別の資料では官兵衛の家系は赤松氏から分かれた播磨の黒田庄を本拠とした黒田氏で、官兵衛が仕えた小寺氏や、尼子の忠臣として知られる山中鹿之介、鹿之介の息子とされる鴻池家(後の旧三和銀行)の始祖とも親族に当たることが書かれていたり、官兵衛には(公式史料に出てこない)兄がいて、備前で宇喜多氏の家臣になっていたことなど、これまで聞いたことのない様々な伝承が残されていることに驚く。

また、官兵衛は荒木村重に有岡城に1年間幽閉されたために足がなえたとされているが、これもまた史料によって裏付けられたものではないとあり、ここでも驚く。
足を崩しているポーズをしている官兵衛の肖像画や、多くの歴史小説やドラマで杖を突いて歩く官兵衛のイメージが強いこと、秀吉が陰口で×××(歩行困難な人のことを差別した表現のため自粛)と呼んでいたことなどから確定した史実だと思い込んでいた。

これらの伝承のあった土地では製鉄や刀剣製造といった鉄に縁の深いところが多く、鉄産業があったところでは一つ目の神や足なえの神(例えばヤマトタケルノミコト)が信仰されることが多いことから、官兵衛の伝承との関連を考察している。

各地に残る伝承なので当然整合性は取れていなくて話が様々な方向に飛んだりもするが、ある種の傾向が見出されてくることに知的な刺激を受ける。

官兵衛に限らず伝承というものは調べていくとかなりの広がりがあることを認識させてくれる1冊だと感じた。




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