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読んだ本の感想をつづったブログです。


日本SF短篇50 I (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)
日本SF短篇50 I (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)
日本SF作家クラブ(編)
早川書房 2013-02-22

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日本SF短篇50 II (日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー)
日本SF短篇50 III: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫JA)
日本SF短篇50 IV 1993-2002―日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA)
日本SF短篇50 V: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA ニ 3-5)
SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫SF)


日本SF作家クラブの創立50周年を記念して編纂されたアンソロジーの第1作。
1963~72年の10年間に書かれた作品の中から、それぞれの年に1冊ずつ、合わせて10作が収録されている。

福島正実や石川喬司など、作家としてよりも編集者や評論家としての評価や知名度が高そうな人物の作品も入っていて、作品の面白さよりも日本SF作家クラブへの貢献度などを考慮して選ばれたのではないかと思った。
言い換えると、あまり面白く感じなかった。

一方で光瀬龍、豊田有恒、星新一、半村良、筒井康隆といった、日本SFのレジェンドとも言える作家たちの作品は文句なしに面白く、古い作品ということもあまり気にならない。

この中では半村良によるタイムとラベルものである「およね平吉時穴道行」が最も印象に残った。
これは江戸時代に活躍した山東京伝に傾倒した主人公がある奇書を手に入れたことから展開していく作品で、時代考証などの作りこまれた設定が活かされているので引き込まれる。

そして筒井康隆の「おれに関する噂」では、マスコミが報道価値があると判断すれば人の迷惑を顧みずにニュースにしていく一方、マスコミ自身のことなど都合の悪いことについては「報道しない自由」を行使する傾向がある部分を痛烈に描いていて、この時期からあまり変わっていないなと感じた。

時代を感じたのは小道具の他、テレビ番組のスタッフや広告代理店の社員、コピーライターなどが主人公となっている作品が目立つところで、この時期がテレビに影響力があって威勢が良かったのだろうとも思った。

思っていた以上に楽しく読むことができたので、続編も読んでみるつもりである。





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関連タグ : 星新一, 筒井康隆, 半村良,

漫画・日本霊異記 (メディアファクトリー新書)
漫画・日本霊異記 (メディアファクトリー新書)
ichida
メディアファクトリー 2013-04-26

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日本霊異記(上) 全訳注 (講談社学術文庫)
日本霊異記 下 (講談社学術文庫 337)
日本霊異記(中) 全訳注 (講談社学術文庫)
日本霊異記 (平凡社ライブラリー)
井口清満の心霊事件簿 拝み屋 (ダイトコミックス 419)


仏教による因果応報を語り、日本人の道徳心に大きな影響を与えたとされる怪奇譚である『日本霊異記』を漫画化している作品。
語り手は世の中の乱れを憂いて出家した景戒という人物で、妻や子供に対してさまざまな話をするという形となっている。

臨死体験をした人物が地獄で家族が苦しんでいるのを見て、生き返った後に写経をすることで苦しみを軽減することができた話や、殺した狐にとりつかれて死んでから犬に生まれ変わって復讐した男の話、親不孝をした人物が祟りを受けた話など、自分の行いが生きているうちだけでなく死んだ後や生まれ変わった後にも影響する話が多い。

ちょっとグロテスクな話やシュールな話などもあり、それらを少し現代風にアレンジした描写で描かれていて、もっと知られていてもいい作品なのではないかと思った。

けっこう気になるないようだったので、そのうちに現代語訳のものも読んでみようかとも考えている。




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街道をゆく 11 肥前の諸街道 (朝日文庫)
街道をゆく 11 肥前の諸街道 (朝日文庫)
司馬 遼太郎
朝日新聞出版 2008-10-07

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街道をゆく〈17〉島原・天草の諸道 (朝日文庫)
街道をゆく (10) (朝日文芸文庫 (し1-11))
街道をゆく 13 壱岐・対馬の道 (朝日文庫)
街道をゆく 12 十津川街道 (朝日文庫)
街道をゆく (8) (朝日文芸文庫)


『街道をゆく』シリーズにおける、福岡から玄界灘沿いに唐津、平戸、そして長崎への旅を扱っている作品。

糸島市の今津あたりで元寇にまつわる蒙古塚という史跡を探して通りかかった人に聞いたところ、その人が実は郷土史家だったという偶然があったり、唐津で朝鮮征伐にまつわる史跡をめぐっていると宿に着く頃に真っ暗になったなど、多くのエピソードを交えて各地の歴史を語っている。

平戸では吉田松陰が山鹿流兵法を学びに訪れた話や、戦国時代に松浦隆信が倭寇の頭目だった王直に自分の屋敷を譲ったり、ポルトガル商船を招致しながらキリシタンへの改宗を拒否した話、江戸時代初期にオランダ商館やイギリス商館が営業していた話などが扱われている。
そして平戸城の近くに文化会館があって景観を損ねていることに愚痴を言っていたりもする。

その後は佐世保、ポルトガル商船が一時期来ていた西海市の横瀬を訪れている。
この横瀬は松浦氏との交渉を諦めたポルトガルが大村純忠に招かれて寄航していたが、純忠の義弟だった後藤貴明らの勢力によって焼き打ちにあい、その後寄港地が長崎近郊の福田、その後長崎に移っていることが書かれていて、知らなかったことが多い。

そしてポルトガル側から良港と評価された長崎の話になる。
この地は長崎甚左衛門という豪族の領地だったが、純忠の指示で大村領となり、その後対立する龍造寺氏の攻撃を防ぐためにイエズス会に寄進され、秀吉がこれを知ってキリシタン弾圧につながるという数奇な歴史をたどる。

室町時代から江戸時代初期にかけての、この地方における海外との交易についての話が分かりやすく書かれているのと、ところどころでちょっと変で魅力的な人々とのエピソードが入っていたりして、興味深く読むことができた。





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関連タグ : 司馬遼太郎, 街道をゆく,

世界の未来は日本次第
世界の未来は日本次第
長谷川 慶太郎 渡邉 哲也
PHP研究所 2015-02-21

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日経平均2万5000円超え時代の日本経済
中国大減速の末路
アジアの覇権国家「日本」の誕生
株価上昇はまだまだ続く!: 30年に一度のチャンス
大波乱: 長谷川慶太郎の大局を読む緊急版


長谷川慶太郎と、『本当にヤバイ!欧州経済』で読んだことのある渡邉哲也による、世界情勢と日本の現状についての分析を語り合っている対談本。

まずはアベノミクスの是非を問うた昨年末の選挙について、野党からは反対意見だけで対案がないので選びようがないと厳しいことを話している。

そして韓国については、円安による価格競争力の低下と中国に品質で追いつかれた話や、サムスンに引き抜かれた後に解雇された日本人技術者は日本企業に採用してもらえないことに触れていて、韓国と関わることはかなりリスキーだと改めて感じる。

中国では香港での民主化デモを弾圧した件をきっかけに、香港返還に関するイギリスとの条約を無効にすると一方的に通告したことで、イギリスや国際金融資本を怒らせたことが今後効いてくるとしている。
まず造船業についてはシッピングローンが組めなくなって中国の造船会社で倒産が続いていたり、貿易でもイギリスが主導権を握っている決済でも報復が考えられるなど、スマートな嫌がらせを得意とするイギリスの行動に注目したい。

長谷川氏が得意とする産業や技術についての話も多く触れられていて、日本とドイツが戦前から使用していた8階建てのビルくらいの巨大なプレス機をアメリカもソ連も使いこなせずにスクラップにしてしまい悔やんだ話や、トヨタの田原工場で発生した鉄くずを対岸の東京製鐵の電炉でリサイクルされているという効率のいいシステムの話が面白かった。

日本にはオンリーワンの技術を多数保有しているのにこれまで安売りしていたのが問題とし、こうした優位性を活かして世界をどのようにリードしていくかが重要になってくるということで、本書のタイトルにつながってくる。

具体的で刺激的なエピソードを多く紹介した上で話を進めていて、興味深く読むことができた。
渡邉氏の作品ももう少し読んでみようと思う。




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関連タグ : 長谷川慶太郎, 渡邉哲也,

家康、真骨頂: 「狸おやじ」のすすめ
家康、真骨頂: 「狸おやじ」のすすめ
小林 一哉
平凡社 2014-05-24

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徳川家康: 没後四百年 (別冊太陽 日本のこころ 228)
家康の仕事術―徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話 (文春文庫)
誰も書かなかった 徳川家の経営戦略 (中経の文庫)
徳川家康の経営学―激動の時代を生き抜く (人物文庫)


家康には暴君、腹黒、狡猾、強欲、頑固といった悪いイメージで書かれたり語られることがあるが、そう思われた言動の背景や危機に対して家康が取ってきた行動などを語っている作品。

他の4つのフレーズは豊臣家を滅ぼしたところなど、家康が悪役に書かれる歴史小説で出てきて連想しやすいが、もう1つの暴君というのは、スペインやポルトガルの使節や宣教師が手紙の中で語っている。
これは貿易とキリスト教の布教をセットにし、さらに植民地化するというスペインやポルトガルの戦略、そして側近の大久保長安や息子の忠輝、さらに伊達政宗らによるクーデター計画を察知した上で家康がとった行動であり、あくまで敢然と立ち向かったことが伝わってくる。

それ以外の悪評に対しても、イギリス人のウィリアム・アダムズを幕府の顧問にしたことや、関ヶ原の合戦で戦った石田三成の家老だった島左近の兜が久能山に収蔵されていることから密かに家康に仕えたのではないか?という可能性、方広寺鐘銘事件の別な真相、貨幣制度の確立に尽力したことや軍縮の意義など、これまで語られることの少なかった家康像が語られていて驚く。

また、家康の黒くて大黒様の頭巾を模した兜がついた具足がアンチ家康から「腹黒具足」と呼ばれていたり、表紙の左側にあるやせた中年の人物像も家康を描いたものという意外性など、有名な人物であるにも関わらず、まだまだ家康について知られていないことは多いと感じた。

家康の魅力や業績の偉大さを感じることができる1冊で、読んでよかった。
家康について評している作品の中でも、なかなかいい方の作品だと思う。




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