読んだ本の感想をつづったブログです。


捨てられる銀行2 非産運用 (講談社現代新書)
捨てられる銀行2 非産運用 (講談社現代新書)
橋本 卓典
講談社 2017-04-19

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
捨てられる銀行 (講談社現代新書)
ドキュメント 金融庁vs.地銀 生き残る銀行はどこか (光文社新書)
銀行員 大失職
週刊ダイヤモンド 2017年 7/22 号 [雑誌] (あなたのおカネの味方はどっち!? 金融庁vs銀行)
フィデューシャリー・デューティー -顧客本位の業務運営とは何か
地方銀行消滅 (朝日新書)
銀行はこれからどうなるのか
2020年 消える金融
週刊東洋経済 2017年3/25号 [雑誌](大再編、金融庁、フィンテック 銀行マンの運命)
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)


銀行などの金融業界での問題と、現在起こっている変化を解説している作品の第2作。
前作は地方銀行と地域の中小企業について書かれていたが、本作では証券業務も可能となった銀行と、顧客をめぐる資産運用に関する問題を扱っている。

サブタイトルは金融機関が力を入れて販売している金融商品が「資産運用とは言えない」もので、「悲惨な運用」になってしまうという意味のようである。

90年代になされた金融ビッグバンで銀行、証券、保険といった業種の垣根が低くなったことや再編でメガバンクができたこともあり、資産運用会社が販売会社(銀行や保険会社)の系列にあることの弊害として、顧客のためになる金融商品ではなく手数料を稼げる金融商品を作って大々的に販売することを重大な問題として挙げられている。

具体的には毎月分配型の投資信託、一時払い生命保険、ファンドラップなどで、特に大して資産があるわけでもないのに資産配分に手数料を払うファンドラップはあまり意義を感じない。
このあたりは山崎元氏や竹川美奈子氏などの著作を読んで知っていて、金融機関なんてそんなものと感じていた。

前作でも登場した金融庁の森信親長官は「フィデューシャリー・デューティー」という概念を政策の方針にしていて、これは顧客のためだけに働くこと、利益背反をしないことなどの意味があり、医師や弁護士のような義務のイメージのようである。
アメリカなどでは信託においてこの概念が前提となっているそうで、日本でもこれを掲げる企業が出てきているとはいえ、実現には時間がかかりそうである。

年金基金がETFなどを購入して大株主となる現象についても書かれていて、ピーター・ドラッカーは「見えない革命」と呼んだそうである。
これはいい面もあれば悪い面もあり、前者は安定した企業経営ができることや敵対的な買収への障壁となりうること、後者は株主としてのチェック機能が働かない恐れがあることや規模が大きくて売買が市場に影響を与えてしまうことが挙げられている。

日本でもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がETFに投資して損失が出た時はマスコミで叩かれたが、けっこう利益を出している現在はできるだけ扱わないようにしていて、マスコミのダメさ加減を感じたりもしている。

後ろの方ではTOPIXや日経平均のような指数の問題についても書かれている。
TOPIXは定量的な指数なので日本株のインデックスファンドの指数になっているわけだが、これのパフォーマンスがいまいちなのは業績のよくない大企業を含んでいるために指数としてあまりよろしくないのでは?という趣旨のことが書かれていて少し衝撃を受けた。

だからインデックスがダメというわけではなく、もっと金融商品を購入する顧客のためになる指数に連動したインデックスファンドやETFが開発・販売されるべきなのでは?という流れで語られており、そうしたものが普及することを期待したいところである。

資産運用に関する本は数十冊読んでいてある程度知っているつもりだったが、まだまだ知らないことが多いことを気づかせてくれる1冊だった。
これからも精進に励み、よりよい資産運用を考えたいと思う。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト