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応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
呉座 勇一
中央公論新社 2016-10-19

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知名度の割りにどのような合戦だったのかが分かりにくい、応仁の乱を丁寧に解説している作品。
大和の守護とも言える興福寺のトップを務めた、経覚と尋尊という公家出身の2人の僧侶が書いた日記を中心とした視点から書かれている。

日本史の教科書では8代将軍・足利義政の後継者問題(弟・義視と長男・義尚)をメインとして東軍に細川勝元、西軍に山名宗全を中心とした大名が戦ったという書き方をされているが、実際にはさらにさまざまな対立が絡んで発生したことが書かれている。

大和で筒井、越智、古市といった国人間の対立による内乱が発生したり、応仁の乱では畠山氏の家督争い(義就VS政長)が発端となった部分が大きかったこと、斯波氏の家督争い(義廉VS義敏)や細川氏と大内氏の貿易利権をめぐる争い、嘉吉の乱が元となった山名氏と赤松氏の対立、旧南朝勢力が復権を企てるなど、さまざまな勢力が東軍と西軍についたことで戦乱が長期化したことが分かる。

東軍は正統性や政治力、西軍は周防から大内政弘の大軍を京都に引き入れるなどの実力行使といった手段を用いるが、どちらも相手を屈服させるまでは至らない。
途中では足利義政がなんども停戦工作を試みたり、細川勝元と山名宗全が手打ちをしようとしていたが、畠山義就や大内政弘のような主戦派の大名が反対をしたため、ぐだぐだした状態で戦闘が続いていることが書かれている。

大名としては細川、畠山、斯波、山名、赤松、一色、京極、土岐、六角、武田、大内、富樫などそうそうたる顔ぶれであり、中でも政治力は高くなさそうだが軍才がある畠山義就が河内地方に独立政権を築くような動きを見せているのが目を引く。

そして斯波氏から越前の実質的な支配権を奪った朝倉孝景や土岐氏の家臣ながら戦局に大きな影響を与えた斎藤妙椿のような大名の家来たちが実権を握っていく過程も興味深い。

寺社や公家が荘園から年貢が入らなくなってさまざまな手を打つ過程や、戦争で高い役職が割に合わなくて誰もやりたがらなくなるなど、合戦以外の話も随所で語られているのも面白い。

登場人物が多くてついていくのに少し苦労するが、これはテーマとなった合戦自体が複雑なためで、本書ではむしろよくここまで丁寧に分かりやすく書かれていることがすごいと思う。
少しマイナーなテーマなのにベストセラーになっているのは不思議な気もするが、読み応えのあるしっかりした内容であることは間違いない。






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