読んだ本の感想をつづったブログです。


おなかがすいたハラペコだ。②―おかわりもういっぱい
おなかがすいたハラペコだ。②―おかわりもういっぱい
椎名 誠
新日本出版社 2018-05-31

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椎名誠が食べ物について語っているエッセイ集の第2集。
日本共産党中央委員会が発行している『女性のひろば』という雑誌に連載したものだそうで、著者がいかに多種多様な雑誌に連載しているかが分かる。

店で出される冷やし中華やそうめんが期間限定だったりショボかったりすることへの不満や、キャンプで皆が盛り上がる野外料理、自宅で作った創作料理など、前作の『おなかがすいたハラペコだ。』と同様の話が書かれている。

週刊ポストで連載している『わしらは怪しい雑魚釣り隊』のエピソードや、『岳物語』などでも描かれた家族との話、特に孫との話なども描かれていて、他の椎名作品にもつながっている。
また、『哀愁の街に霧が降るのだ』でも書かれていた、ピザ料理店で皿洗いのアルバイトをしていた頃の話も興味深い。

年齢や時代ということもあって少し文章のキレは落ちているように感じるが、ここまで長く・多く書き続けて読者を楽しませ続けてくれていることに感謝している。
著者には体調に気をつけ、ほどほどのペースでこれからも楽しませてほしい。






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「民族」で読み解く世界史
「民族」で読み解く世界史
宇山 卓栄
日本実業出版社 2018-01-25

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それぞれの民族の移動や活動、政策、対立などを、世界史の中で解説している作品。

定説とされる話にもしばしば疑問を呈していて、例えば本当に氷河期にシベリアからアメリカまで渡ることができたのか?としていたり、白人による黄禍論のようなプロパガンダへの批判、中国で漢民族の王朝とされるものでも王家は北方の遊牧民出身の可能性が高い場合が多いなど、幅広い見解を紹介している。

隋の揚氏や唐の李氏が鮮卑(モンゴル系?)の出身という説が有力なのは知っていたが、宋の趙氏もトルコ系(突厥の沙陀族)という話もされていて、前の王朝である五代の後唐や後晋も沙陀族の王朝だったことを考えればそう違和感もない。

中国のところでは古代から中世にかけての民族や王朝がモンゴル系なのかトルコ系なのかで見解が分かれそうなところも多いが、大枠は納得しやすい。

それにしても近世・近代におけるヨーロッパの列強による黒人奴隷の扱いやネイティブ・アメリカンの虐殺、強制的な増殖政策による「ブラック・インディアン」の増加など、ひどい所業の数々には言葉が出なくなる。
戦国時代の日本人が奴隷貿易をやっていたポルトガル人を「あいつらは人間じゃない」と言っていた記録があるのも分かるような気がするし、アメリカ大統領だったフランクリン・ルーズベルトのクソさもさらに強く印象付けられた。

著者の見解に異論があるところもそれなりにあるが、見解が分かれやすい題材なので当然と言えば当然なのかもしれない。
重いが重要なテーマから世界史を語っていて、興味深く読むことができた。






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銀の世界史 (ちくま新書)
銀の世界史 (ちくま新書)
祝田 秀全
筑摩書房 2016-09-05

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大航海時代前後から金本位制が成立する時期にかけて、銀が交易や外交、戦争などにおいて果たしてきた役割を解説している作品。
銀だけでなく、香辛料、茶、毛織物、綿製品、穀物、木材、奴隷、砂糖、アヘン、生糸、鉛など、多くの交易品目が登場する。

まずはスペインがペルーのポトシ銀山からヨーロッパに持ち込んだ大量の銀が与えた影響の話がなされている。
ただしスペインはイギリス、フランス、オランダ、オスマン帝国などとの度重なる戦争のために財政が破綻状態になり、交戦国なのに穀物や木材の輸入先だったオランダに流れ込み、オランダがバルト海貿易もあって覇権を握る過程が描かれている。

そのオランダも銀の調達先だった日本が銀の輸出禁止をしたことやイギリスの航海条例や英蘭戦争などもあってトップの座から陥落し、国債発行による戦費の調達力のあるイギリスがフランスを破って次に繁栄していく話に移っている。

イギリスは東インド会社を活用することもあり、大西洋では奴隷や綿花、サトウキビ、インドではキャラコ(綿布)、中国(清朝)からは陶磁器や茶など、多くの品目を扱って利益を上げていく。
ただしインドや中国との貿易では輸入超過で銀が流出していったため、インドでは地方太守から徴税権を取り上げたり、中国に対してはインドで栽培したアヘンを密輸するなど、銀を還流させるシステムを作る悪賢さはすごい。

終盤では明治時代の日本が日清戦争を戦った前後の時期における、銀の取り扱いについての話にもなっている。
下関条約ではこれまでのパターンで行くと賠償金は銀で支払われたであろうところを、日本が仮想敵国のロシアとの対立などをにらんでロンドンでポンドでの支払いを求めたことや、金本位制への移行などが語られている。

教科書の記述に出てこない交易の話が多く出てきて、非常に興味深く読むことができる。
ただし、交易される品目が多くて交易ルートや貿易のやり方がいくつも出てきて、文章だけで理解しようとするとちょっとついていくのが難しい。
このあたりを図解を多用した作品に仕上げてもらえば、さらに売れるのではないかと思っている。






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天下分け目の関ヶ原の合戦はなかった: 一次史料が伝える“通説を根底から覆す"真実とは
天下分け目の関ヶ原の合戦はなかった: 一次史料が伝える“通説を根底から覆す
乃至政彦 高橋陽介
河出書房新社 2018-04-23

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一次資料(当事者たちの手紙や命令書、同時代人の日記など)から、通説として知られているのとは大きく異なる関ヶ原の合戦に際しての大名たちの動きを推察している作品。
BS-TBSで放送されている『諸説あり』でも扱われていた内容だったので読んでみた。

まず、現在の定説は江戸時代に書かれた軍記物(今で言う歴史小説)や戦前の日本陸軍による研究資料、そして司馬遼太郎の『関ヶ原』などの歴史小説などに影響を受けた部分が多く、一次資料では見つけられないものが多いという。

そこから一次資料でこれまで見過ごされがちだった内容を集め、新たな秀吉没後から関ヶ原の合戦に至る時期の歴史を組み立てている。

いくつも驚かされる話があるが、まずは秀吉が後を五大老・五奉行ではなく家康に代行を託していて、さらには家康と淀殿の結婚話までなされていたことにインパクトがある。
これには(秀吉の指示とはいえ)淀殿や大野治長らが猛反発したらしく、家康暗殺計画につながったようである。

次に、ボンボンのイメージが強い毛利輝元は反家康の策謀を繰り返していて、関ヶ原の合戦の首謀者は石田三成ではなく、輝元、増田長盛、長束正家、揺甫恵瓊(安国寺恵瓊)あたりだったことも書かれている。
大坂城で全体の指揮を執ったらしいのが長盛で、戦場の指揮官が正家と恵瓊というのは見栄えだけでなく能力もいまいちだったみたいで、石田三成が不満を述べた書状が残しているのも分かる気がする。

さらには上杉征伐時の上杉景勝が単独で戦う気満々だったらしいことや、関ヶ原や大垣、岐阜、赤坂といった美濃に布陣していた武将たちの布陣は大きく異なること(例えば家康は赤坂にいて桃配山にはいなかった)、土壇場で寝返ったとされる小早川秀秋は早い段階で東軍として動いていたなど、通説で語られるのとは異なる歴史が語られていく。

石田三成や小早川秀秋らのキャラクターが作られていったのは、さまざまな交渉の結果として生き延びた毛利輝元を守るためだったり、死んだ人物にあれこれ押し付けるのが都合が良かったのだろうと感じられる。

確かに本書で書かれていた形で歴史小説が書かれたとしても少し盛り上がりに欠けたと思うので、現在イメージされる関ヶ原に関する定説は、300年以上かけて日本人が好まれる形に作り上げられていったのだろう。

大きく刺激を受ける1冊で、さらに研究が進んでいくことを期待している。






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知っておきたい電子マネーと仮想通貨 (マイナビ新書)
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マイナビ出版 2018-02-26

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電子マネー、仮想通貨、地域通貨、ブロックチェーンといった多様さを増している通貨や決済手段について、現金払いやクレジットカード、プリペイドカードといった従来の決済手段と対比させつつ解説している作品。
先日読んだ『初心者でもこれなら安心 ビットコイン 知識ゼロでもビットコインの相場がわかるようになる!』で多少知ったものの、もう少し知識を増やしたいと思って読んだ。

日本だとATMやクレジットカード端末が整備されていることが新たな決済手段の普及を妨げている一因となっている一方で、アメリカだと小切手がよく利用されていたりクレジットカードを持つための条件(ローンで沢山払うこと)が厳しかったり、中国のように信用やインフラの面で問題があるためにかえって仮想通貨のような新たな決済手段が普及しやすいという話は示唆に富む。

原理はよく分からないながらも仮想通貨は「暗号通貨」と呼んでもいいくらい暗号化の技術が使われているらしいことや、仮想通貨がらみの事件では仮想通貨の技術的な欠陥を疲れたのではなくてあくまで取引所のセキュリティに問題があったという話、ブロックチェーンの技術は仮想通貨のために生み出されたことなど、あまり知らなかった話が多く出てくる。

限られたページ数の中にタイトルとの関連が怪しい地域通貨の話が出てくるなど、少し範囲を広げすぎて薄くなった気もするが、決済手段というくくりで理解を深めることはできたかと思う。






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