日付 | 記事タイトル |
2018/08/26 | 『60分で名著快読 マキアヴェッリ『君主論』』 |
2018/08/25 | 『30の発明からよむ日本史』 |
2018/08/21 | 『戦国武将の精神分析』 |
2018/08/20 | 『江戸始図でわかった「江戸城」の真実』 |
2018/08/18 | 『最高の戦略教科書 孫子』 |
2018/08/16 | 『ポンコツ武将列伝』 |
2018/08/14 | 『警視庁公安部・青山望 爆裂通貨』 |
2018/08/09 | 『毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資』 |
2018/08/06 | 『世界一おもしろい 世界史の授業』 |
2018/08/05 | 『食の街道を行く』 |

マキャベリの『君主論』について、マキャベリの生涯や活躍していた中世イタリアの政治状況、『君主論』がその後どのような評価を受けてきたかなども含め、分かりやすく解説している作品。
著者の河島氏は岩波文庫版の『君主論(岩波文庫)』を翻訳していて、これは原文に忠実さを重視したためか少し分かりにくかった記憶がある。
この点を自覚していたり批評を多く受けたりしたのか、本書では国の政体による統治の仕方、君主としてすべきことやしてはならないこと、組織を運営していくに当たっての注意点などを図解を多用してかなり分かりやすく書かれている印象を受けた。
粛清や増税のような不人気な政策は最初に1回で済ませてしまうのが望ましく、恩賞のように人気取りの政策は小出しに出していくというくだりは、先日読んだ行動心理学の本である『不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」』に書かれていた内容と驚くほど通じている部分であり、マキャベリが人間の心理を熟知して書いていることが分かってくる。
本書は思っていた以上に丁寧に書かれていて、現代語訳した作品と合わせて読むことでより理解が深まる1冊だと思う。
- 著者の作品について書いた記事
- 『君主論(岩波文庫)』

日本で発明された30の物や文化の歴史を紹介・解説している作品。
扱われているのは以下の30となっている。
定着しすぎてあまり意識していないもの、日本では気づきにくいが海外で驚くほど評価されているもの、産業の構造に大きく影響を与えたものなど、改めてさまざまな発明が世の中を変えてきたことを認識させられる。縄文土器/漆器/納豆/日本酒/城/かな文字/畳/和紙/着物/扇/日本刀/醤油/忍者/茶道/歌舞伎/浮世絵/握り寿司/ソメイヨシノ/俳句/乾電池/養殖真珠/八木アンテナ/胃カメラ/インスタントラーメン/新幹線/クオーツ時計/光ファイバー/自動改札機/カラオケ/青色発光ダイオード
セイコーのクオーツやミキモトの養殖真珠のようにヨーロッパの既存産業に壊滅的な打撃を与えたり、八木アンテナが肝心の日本で有効性が理解されずに第二次世界大戦で劣勢に陥った一因になったなど、技術がもたらすある種の強力な攻撃力みたいなものを感じたりもした。
関心が持ちやすいもの、持ちにくいものと分かれるが、興味深く読むことができた。

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気鋭の歴史学者と脳科学者が、史料などで伝わっている戦国武将たちの言動を、精神分析の手法であれこれ語っている対談本。
章立てで扱われているのは以下の15人で、彼らと関わりの深かった人物や、通じる部分がある人物などにも話が及んでいる。
サイコパス、ソシオパス、パラノイアといった類型やセロトニン、オキシトシンといった脳内で分泌される物質のような専門用語を用いて武将たちの「そうかもしれない」という心の闇を考察している。斎藤義龍/伊達政宗/徳川家康/淀殿/武田信玄/織田信長/松永久秀/豊臣秀次/細川忠興/島津忠恒/大友宗麟/上杉謙信/豊臣秀吉/毛利元就/石田三成
伝わっている逸話が本当かどうかも分からないわけで、あくまで「このように考えることができる」という話として話半分くらいに楽しむのがいいのかもしれない。
本郷氏が戦国武将たちを他の歴史学者があまり使わないような独特であけすけな表現をしているところも、他の著作同様で楽しむことができる。
例えば、このような部分である。
- 伊達政宗はプレゼンやイメージ戦略はうまかったが、肝心の合戦で快勝したことがほとんどない
- 人質時代に尾張や駿府のような都会で育った家康は(『北斗の拳』のモヒカンみたいな)「ヒャッハー」な三河武士団のノリについていけなかった疑惑
- 島津家はスーパーサイヤ人的な家で日本っぽくないが、バカ殿は出ない
- 島津忠恒、伊達政宗、細川忠興、森長可の4人は戦国DQN四天王
脳科学の用語や概念が消化できないところもあったが、戦国武将を脳科学によるお遊びで扱っている作品と捉えればなかなか面白い作品だと思う。
- 著者(本郷氏)の作品について書いた記事
- 『真説・戦国武将の素顔』
- 『戦国夜話』
- 『戦国武将の明暗』

家康が関ヶ原の合戦後に天下普請として諸大名に築かせた初期の江戸城について、構造や特徴を解説している作品。
江戸城の天守閣は3度建造されていて、初期の頃の図面が詳細が分かっていないところが多かったが、2017年の2月に松江市が発表した「江戸始図」の発見によって判明し、それを語っている。
天守閣に複数の小天守を組み合わせた連立式の天守や、複数の枡形門や丸馬出といった兵を進出させる建造物、外様大名の屋敷から見るとより大きく見えるように計算された石垣の配置など、近世の城の長所を取り入れた形で攻撃・防御ともに優れた上に諸大名に反抗する気をなくさせるような大軍事要塞としての性格が分かってくる。
また、秀吉の時代まで主流だった「黒い城」ではなく、漆喰を多用した美しくて平和をイメージさせる「白い城」ということや、敗戦時の脱出ルートとされてきた半蔵門がそうではないことの説明、江戸の都市計画やインフラ整備など、下部構造の話がいくつも書かれている。
東京となるまでにも何度も変遷を繰り返してきた江戸城や江戸の街について、興味深く読むことができた。

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