FC2ブログ
読んだ本の感想をつづったブログです。


世界一おもしろい 世界史の授業 (中経の文庫)
世界一おもしろい 世界史の授業 (中経の文庫)
宇山 卓栄
KADOKAWA/中経出版 2014-02-27

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
一冊でわかるイラストでわかる図解世界史―地図・イラストを駆使 超ビジュアル100テーマ (SEIBIDO MOOK)
世界一おもしろい 日本史の授業 (中経の文庫 い 14-1)
イラスト大図解 世界史
経済を読み解くための宗教史
“しくじり”から学ぶ世界史: 古今東西40名の「失敗」から教訓を導く! (知的生きかた文庫)
面白いほど世界がわかる「地理」の本 (知的生きかた文庫)
世界史は99%、経済でつくられる
教科書よりやさしい世界史
ゆげ塾の構造がわかる世界史
時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)


世界史の予備校教師として実績のある人物による、専門用語を最小限に抑えてそれぞれの事件が「どうして起こったのか?」にポイントを置いて世界史を解説している作品。
先日読んだ著者の『「民族」で読み解く世界史 教養として知っておきたい』がなかなか良かったので続けて読んでみた。

専門用語を抑えている部分としては、例えば中国・唐の時代で「節度使」の言葉を使用せずに地方の軍閥に軍権を与えてしまったことでコントロールできなくなったと表現しているのが確かに分かりやすい。

また、「英雄や偉人はいない」(多くは後世の歴史家や作家、政治家による脚色)といった形で断言しているところも面白い。
この話では『三国志』での劉備や関羽は塩の密売グループ、呉の孫家(孫堅・孫策・孫権)は海賊上がりだろうと身も蓋もない。

古来からいくつもあった政治上の対立では、右派と左派の対立という概念を多く使用して解説していて、他にも統制経済VS自由経済、保護貿易VS自由貿易など、中世以前でもこうしたモデルは十分使用できるものだと感心した。

中国の政治は繰り返しが多いことが他の本でしばしば書かれているが、経済に関しては
  • 唐:統制された市場
  • 宋:自由市場
  • 元:グローバルな自由貿易
  • 明:元の反動として農本主義
とそれなりに変化していることが分かるのもいい。

ヨーロッパではまず、英仏百年戦争で英国は大陸側の領土を失って敗戦したように見られるが、実際は戦争目的のひとつだったフランドル地方の毛織物加工業者が戦争を避けるためにロンドンに移住したことで、経済的に勝利したので戦争の目的がなくなった趣旨のことが書かれていることに少し驚く。
一方で「勝利」に浮かれたフランスが経済的に停滞したのもコントラストをなしている。

宗教と政治の関係でも、フランスやスペイン、オーストリアなどが経済界に影響力のあったカルヴァン派を弾圧して経済が停滞し、カルヴァン派を受け入れた英国やオランダが経済発展した話が面白い。

そして絶対君主の思いつきでなされたと思っていた軍事行動もその裏には経済界からの働きかけがあったらしいことも、多く描かれている。

国内での対立はどこでもあるが、ヨーロッパ近代に反対派を処理した方法が以下のように分かれているのが分かりやすい。
  • 英国:議会で決めた
  • プロイセン:ビスマルクが反対派を支援するオーストリアやフランスに戦争で勝利して抑え込んだ(何やら現代の日本でも参考になりそうな部分が多そうな気がする)
  • アメリカ:南北戦争で多くのアメリカ人が戦死

他にも持ち上げられすぎなフランクリン・ルーズヴェルトやチャーチルの問題点、特にルーズヴェルトがソ連に宥和的な政策を取ったことが冷戦を生み出したことなど、ある決断が構成に多く影響を与えた事例が多く書かれている。

思っていた以上に充実した内容の作品だった。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト