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読んだ本の感想をつづったブログです。



日付記事タイトル                                      
2019/02/26『「明治」という国家〔下〕』
2019/02/25『「明治」という国家〔上〕』
2019/02/23『比べてみると実像が見える 日本の三大武将 信長・秀吉・家康』
2019/02/20『渋沢栄一 100の言葉 日本人に贈る混迷の時代を生き抜く心得』
2019/02/19『誰でも簡単に幸せを感じる方法は アランの『幸福論』に書いてあった』
2019/02/18『本当は危ない『論語』』
2019/02/17パナソニック 口腔洗浄器 ジェットウォッシャー ドルツ 白 EW-DJ61-W
2019/02/16『スリランカの赤い雨 生命は宇宙から飛来するか』
2019/02/14『公立高校教師YouTuberが書いた 一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 』
2019/02/13『明智光秀転生―逆賊から江戸幕府黒幕へ』
2019/02/12『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』
2019/02/11『定年後も安心! 桐谷さんの株主優待生活 50歳から始めてこれだけおトク』
2019/02/10『近江から日本史を読み直す』
2019/02/09『警視庁公安部・青山望 最恐組織』
2019/02/08『プロフェッショナルの原点』
2019/02/07『世界史MAPS』
2019/02/05『室町幕府全将軍・管領列伝』


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司馬遼太郎が明治時代を新興国家に見立てて語っている歴史エッセイの下巻。

明治初期にキリシタン禁制がまだ解かれていない頃に英国公使のパークスと大隈重信が激論を交わした話や、東郷平八郎が10歳くらい年下ということにして英国の船乗りの学校で学んでいた話、勝海舟がオランダの海軍軍人だったカッケンディーテから「国民」の概念を学んだのではないか?という仮説、伊藤博文がプロイセンやオーストリアで憲法の研究をしていた話が書かれている。

大隈がパークスにも負けずに言い返しているところは現在の日本にもそのような人物がいたらいいのにと思ったが、この手の人物は野党から言葉尻を捉えて失言だと騒がれそうな気もした。

伊藤がプロイセンのヴィルヘルム1世から議会に力を与えすぎないように助言を受けたのにあまり従わなかったなど、伊藤とそのスタッフたちが何もないところから大日本帝国憲法を制定したのは時間や労力を考慮するとかなりの成果だと思う。
さすがに統帥権の問題が後で出てくることまでこの段階で防ぐのは難しかっただろう。

本書のあとがきではNHKで1989年に「太郎の国の物語」というタイトルでドキュメンタリー番組として放送されていたそうで、知らなかったので少し驚いた。
本を読んだので内容はほとんど重なるだろうが、少しだけ関心を持った。







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司馬遼太郎が明治時代を新興国家に見立て、「透明なリアリズム」のある時代であることや、それに先立つ幕末の時代背景などを語っている歴史エッセイの上巻。

はじめの方では江戸時代の遺産として小栗上野介による横須賀のドックが日清・日露戦争の勝利に大きく貢献したことが書かれている。
小栗が最後の将軍・徳川慶喜に対して提言した戦術が明治新政府に恐れられたこともあって小栗は逮捕・斬首されたが、生き残ったとしても新政府には仕えなかった可能性が高いように感じた。

中盤では薩長土肥(薩摩・長州・土佐・肥前)のそれぞれの特色が新政府での人材登用に現れた話が興味深い。

そして、明治維新では他国にそのまま参考にできそうな体制がすぐに見つけられなかったこともあり、どのような国家にするという青写真がなかったことが書かれている。
これは歴史のIFとして、佐幕派が勝利しても似たようなことが起こったのではないかと感じた。

このあたりから西郷隆盛が多く出てきて、紀州藩の津田出という人物が実施した改革に感銘を受けたり、廃藩置県に際して薩摩藩で実権を握っていた「藩父」島津久光から安録山と罵られて気に病んでいた話が印象に残る。
頑迷とされる久光も実際は賢い人物だったらしく、それだけに事態がこじれたことが伝わってくる。

他にもマリア・ルス号事件が発生した時の外務卿だった佐賀藩出身の副島種臣が時代背景があったからこうした教養豊かな人物が登場したわけで、もう出てこないと書いているなど、独特な視点からの話が書かれている。

著者の作品では脱線がつき物だが、『街道をゆく』シリーズみたいに読者が興味を持ちようもない著者の近辺の話しなどはせず、あくまで幕末・明治の話の範囲内での脱線なのでそれほど気にならない。

再読という形になるが、改めて興味深い作品であることを再認識している。






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信長・秀吉・家康の3人における家庭環境や趣味嗜好、政策などを比較し、それぞれの特色を分かりやすく解説している作品。

怪しい史料の話や歴史小説からの引用など、分かりやすくするために少し信憑性を犠牲にしている部分もあるが、酒や能、学問、食事のように他の歴史読み物ではあまり出てこない話が扱われているのが興味深い。

例えば宣教師のルイス・フロイスが信長は酒をあまり飲まないと書いているが、宴会で酔っ払って家臣に酒を強要する酒癖の悪さがあることや、芸術家の才能がないイメージのある家康が実は能を極めていた話などは、イメージとわりと異なるので新鮮に感じた。

既に知っていた部分は斜め読みになったが、そこそこ楽しめた。






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渋沢栄一 100の言葉
津本 陽 (監修)
宝島社 2016/6/11



作家の津本陽が監修した、渋沢栄一の言葉100をエピソードとともに紹介している作品。
1つの言葉あたり見開き2ページの構成で、若い頃から晩年にかけての渋沢の写真が豊富に掲載されている。

『渋沢栄一訓言集』、『青淵百話』、『論語と算盤』、『論語講義』などに収録されている言葉が収録されていて、味わい深い。

自分の利益と社会や国家の利益、道徳と利益のように、正しいことと利益を求めることは相反するものではなく、正しく利益を求めることが世の中のためになるという『論語と算盤』でも書かれていることや、自立した生き方の重要性、貧富の差に対しては自助努力を助ける方向を勧めていることなど、渋沢の考え方を知ることができる。

若者が「やりたい仕事をさせてもらえない」と言う風潮は明治時代にもあったようで、これに対しては「仕事を引き付ける能力がないのではないか」と手厳しいがその通りと思える言葉を残している。

どこからでも印象深い言葉を読むことができ、いい作品だと思う。






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