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読んだ本の感想をつづったブログです。



岡田 英弘 (著)
講談社 (2004/12/18)


中国文明を「秦による統一から日清戦争まで」と規定し、それぞれの時代による変遷を民族の動きや言葉の違いなどとともに解説している作品。

中国文明の時期を大きく下記の3つに分け、第2期では匈奴、鮮卑、トルコ系、キタイなど、第3期ではモンゴルやタングート、女直といった北方の遊牧民が中国に入ってきて、漢民族とされる人々の構成は随時代わっていることが分かる。
  • 第1期:『三国志』などにも登場する戦乱でそれまでの漢民族の人口が1/10以下に激減し、絶滅と言ってもいい時期まで
  • 第2期:元が南宋を滅ぼし、著者が言う『世界史の誕生』まで
  • 第3期:日清戦争で清が日本に敗北し、中華思想のプライドを打ち砕かれるまで

第1期末の『三国志』の魏では人口が減りすぎて民間人を河南省周辺に集めて立てこもるという表現がされていて、伝染病や異星人の侵略などで人類が追い込まれるSF小説みたいな事態が起こっていたことに色々と考えさせられる。

発音や言葉もこうした民族の移動によって変化を重ねてきたことも語られていて、中国語が文字では通じるものの地方によって話し言葉が通じないというのも納得しやすい。

どうしても中華史観だと司馬遷の『史記』とか中国四千年の歴史だとかで変なバイアスがかかるが、そうした要素を排除して書かれているようなところに好感が持てる。

そして日清戦争から現代は、西欧文明と日本文明に影響を受けている時代だとしていて、中華、人民、共和国のように、西欧の概念は日本で翻訳された言葉が多く入っていたり、日本の軍制を取り入れていたなどの事例から説明していて分かりやすい。
現在の中国の問題点は、中国文明と西欧文明と日本文明の悪いところが組み合わさった点にあるのでは?と思っている。

全体的には人物や戦争などの話を少な目にし、シンプルな構成で大まかな流れをつかみやすい形で書かれていて、興味深く読むことができた。
元や清のところではカタカナの名称が多く出てあまり消化できなかったので、類書を読んで予備知識を得たいと思う。




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