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読んだ本の感想をつづったブログです。



渡邉哲也 (著)
徳間書店 (2020/3/27)


現在も被害が拡大している、中国・武漢を感染源とする新型コロナウイルスによる、今後の政治や経済に及ぼす影響について解説している作品。
著者の作品は変に煽り立てたりする度合いが低くて比較的信用できそうなので、いち早く出た感のある本書を読んでみた。

基調としては少し前からトランプ政権による米中貿易戦争の傾向がさらに強まり、先進国を中心に脱中国の動きが加速していくというものである。
グローバリズムにただ乗りして先進国の技術や資本を得、GAFAのようなグローバル企業も利用して国際社会の支配を狙ってきた中国が、それまでの問題に加えて今回の新型コロナウイルスの対応で非難を浴びる状況となっている。

また、電子機器のような防衛に直結する製品や現在品薄のマスクのような必需品の供給を中国に依存するリスクを各国が認識したわけで、中国に依存しないか、できれば中国を外したサプライチェーンの構築がなされていくという見立てが書かれていて、実際そうなっていくと考えている。

また、アメリカで中国に対して強硬なのはトランプ大統領よりもさまざまな中国を制裁する法律を成立させた議会という話や、日本でも中国からの悪影響を取り除くための法律が制定されているなど、本来メディアで報道されるべき話が多く書かれている。

日本については野党で政策を立案する能力がないという弊害、取材や報道の名のもとにある意味最もコンプライアンスを守っていないメディア業界の凋落、今回の問題でパンダハガーと呼ばれる政財官での親中派が力を失っていくことなどが書かれていて、これもまたメディアで報道しない自由を行使されがちなことだと感じる。

ただ、自民党は良くも悪くも危機に強いことや、政治家がやろうと思えば強力な権限を行使できる「普段使われない法律」の存在、財政投融資の活用案など、コロナ恐慌に対する提言というかやれる方策が書かれているのは少しだけ希望が持てる。

そして、最もコロナの被害を食い止めることに成功した台湾との関係を良くすべきことなど、今回の問題を契機にこれまでできなかった対応が可能になるかもしれないという話もなるほどと思う。

きちんとした見通しがついた本書を読むと、コメンテーターと称する人々の思い付きのコメント、政権批判や日本下げ・中韓上げという結論ありきの論調ばかりが流れるテレビのワイドショーなどは馬鹿馬鹿しくて見る気がなくなる。

感情を煽る報道に左右されることなく、できるだけ冷静な視点を持ちたいものである。




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