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読んだ本の感想をつづったブログです。



日付記事タイトル                                      
2020/05/30『池上彰の世界の見方 イギリスとEU: 揺れる連合王国』
2020/05/27『いやよいやよも旅のうち』
2020/05/25『教養としての「国名の正体」』
2020/05/24『「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける』
2020/05/23『春秋戦国志〈下〉』
2020/05/21『春秋戦国志 (中)』
2020/05/20『魔王さまと行く! ワンランク上の異世界ツアー! !』
2020/05/19『春秋戦国志 (上)』
2020/05/18『高1ですが異世界で城主はじめました』
2020/05/17『古事記物語』
2020/05/16『エルフ嫁と始める異世界領主生活 ―俺の住む島に異世界が来ちゃったんだが―』
2020/05/15マイヤー 電子レンジ圧力鍋
2020/05/13『闇堕ち騎士がダンジョン始めました! !』
2020/05/12『楽しみながらがっちり儲かる 優待バリュー株投資入門』
2020/05/11『ポーション、わが身を助ける 1』
2020/05/10『人の本音が一瞬でわかる本: しぐさとクセから相手を知る心理学』
2020/05/09『チート薬師の異世界旅 1』
2020/05/08『織田信長が実践していた! 野望を実現させる「現代ビジネス戦略」』
2020/05/06『異世界チート魔術師 1』
2020/05/05『人をあやつる』
2020/05/04『異世界食堂 1』
2020/05/03『ローマ人の物語 (22) 危機と克服(中)』
2020/05/02『ローマ人の物語 (21) 危機と克服(上)』



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池上 彰 (著)
小学館 (2019/11/28)


池上彰による、ブレグジットなどを題材にイギリスとEUについて歴史的なところから解説している作品。
都立高校で高校生たちに講義した内容が元になっている。

池上氏のテレビ番組はどんどん考えの押し付けが目立つので見なくなって久しいが、日本との関連が少なければまだ読めなくもなさそうなので読んだ。

内容としてはEUに属することのメリットとデメリット、UKを構成するイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの地域ごとの事情、北アイルランド問題の元となった英国教会の成立、保守党と労働党をはじめとする政党政治の現状、階級社会による影響などが分かりやすく語られていて、不足していた部分の知識を得られたのが良かった。

そして、結局本書でも日本下げ、イギリス上げみたいな考えを語り、「ここからは皆さんで考えていきましょう」と自由に考えてもらうようなスタンスを見せつつ、その前段階で考えに制限を加えるような芸風には引いてしまう。
相手が高校生ということもあり、「池上の毒」みたいな印象を受けた。

軍事のところで「日本は物理的に核兵器を持つのは不可能」と語り、その理由に核拡散防止条約の存在やら原潜がないからとか挙げているが、手段は他にも考えられるわけで、想像力が足りないかミスリードを狙っているかとしか思えない。

知識を得るにはいい作品ではあるが、結論のところでテレビ芸人・池上氏のうっとうしさが存分に出ている作品でもある。





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北大路 公子 (著)
集英社 (2020/4/17)


ビールとテレビが大好きで旅行や運動が嫌いなエッセイストが、集英社から出された「あえて行きたくないところへ苦手なことをしに行く」という企画により、嫌々ながら日本のあちこちを旅行させられた過程を書いているエッセイ集。

著者が住む札幌から、岩手、山梨、三重、香川、沖縄の一道五県に出かけ、犬ぞり、富士急ハイランドの絶叫マシン、青木ヶ原樹海、こんぴらさんへの1368段の石段、沖縄の海でのシュノーケリングと、アクティブな企画は全て「嫌だなあ」と言いつつ編集者の元祖E譲に引っ張られて体験している。

また、レンタルの電動自転車で移動する予定も組まれていて、前回自転車に乗ったのは30年前という著者は「自転車なんか乗ったらぶつかって死ぬ」と言って何とか乗らずに済ませられないかあがいてもいる。

何かあるとすぐに「嫌だなあ」、「帰りたい」、「ホテルでビールを飲んでいたい」、「雨が降って企画が中止になればいいのに」みたいな弱音を吐き、元祖E譲から「楽しいと思いましょう!」みたいにポジティブなことを言われるやり取りが面白い。

また、山梨では曇天の日が多くて最後まで富士山が見えなかったことで「富士山の存在は嘘だな」みたいなことを語ったり、神社で「原稿を書かずに原稿料をもらえますように」と祈るなど、表現のセンスが面白く、50代くらいの年代にしてはけっこう感性が若いように感じる。

イラストレーターの丹下京子さんの挿絵は故・安西水丸氏の作風に近いのも本文とあっていて、随所で笑いながら楽しく読むことができた。





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藤井 青銅 (著)
柏書房 (2019/11/13)


世界各国の国名の由来から、その傾向による分類、日本ではどのような呼び名だったかなどを紹介している作品。

黒い山(ツルナゴーラ=モンテネグロ)のような自然からの命名、オーストリア(東)やアイルランド(西)、ベトナム(南)、北マケドニアのように方角が国名につく事例、アメリカ、コロンビア、ボリビアのように人名に由来した国名など、理にかなっていると思われるものもそうでないものも扱われている。

中には現在その国内にない山や川の名前がついていたり、西インドやニューギニアのように欧米からの「発見者」などから一方的に名付けられた例など、帝国主義時代や領土の変遷などの歴史も多少は知ることができる。
例えばコートジボアールの国名の由来を知ると、複雑な思いになる。

さらに、似た国名の相違や、王国、帝国、共和国、連邦などの国の政体を表す表現の話も興味深かった。

さすがに全部を覚えることはできないが、近年の国名変更(例えばスワジランド王国→エスワティニ王国)やドミニカ共和国とドミニカ国が別に存在することなど、新たに知って印象に残る話もけっこうあった。






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関裕二 (著)
PHP研究所 (2019/2/16)


縄文時代に関する近年の研究結果から、これまでの通説と違う部分、ヤマト建国に及ぼした縄文文化の影響、その後現在に続く日本史に出てくる縄文の思想などについて考察している作品。

かつては縄文時代は未開の文化とされる言説が多かったが、縄文時代がそれまで考えられていたよりも1万年以上という長期にわたっていたらしいことや、縄文時代から弥生時代に急激に変わったわけではないこと、それ以前に縄文時代と弥生時代の区別をつけるのが難しくなっていることなどが語られている。

例えば騎馬民族征服説のように大陸から多くの人々が渡ってきて日本を征服したようなことは遺伝子の研究などから否定されているようで、当時の航海技術を考慮しても短期間の多数の人が日本に来ることは考えにくいこと、そしてそれ以前から住んでいた人々の文化が定着していたらしい話につながっている。

さらに、文化や人の移動は大陸などからの西から東への流ればかりではなく、東から西へと縄文文化を持つ人々が移動する流れも多かったようで、この辺りは少し驚かされた。

そして稲作文化は縄文時代の早い段階から伝わっていたものの、あえて採用しない時期が続いたこと、その理由として「農耕をする社会は戦争ばかりする」という危険性に早くから気づいていたためという話が興味深い。

そこから、著者によるヤマト建国が東海や近江の勢力が大和に集まって北九州の勢力に打ち勝つことで成立したという話につながっている。
つまり、縄文の影響が強い地方の人々が弥生の影響が強い地方に勝利したという構図となる。

この2つの流れはその後も続いていて、好戦的な弥生タイプの代表が藤原氏で、平和的な縄文タイプが蘇我氏、そして時代を下って家康だとしていて、日本では時々縄文の思想が顔を出すという話がなされている。

研究結果のところで少し分かりにくいところもあったが、なかなか興味深い内容だったと思う。





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