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読んだ本の感想をつづったブログです。



喜瀬 雅則 (著)
光文社 (2020/4/14)


福岡ソフトバンク・ホークスの3軍システムがどのような経緯で始められ、結果を出してきたかを取材しているスポーツノンフィクション。

王貞治会長をはじめとして小林至、永井智浩、小川一夫、三笠杉彦、山本省吾、瀬戸山隆三といった現場やフロントの人々、そして千賀滉大、甲斐拓哉、牧原大成、石川柊太、大竹耕太郎、周東佑京といったソフトバンクの育成指名からのし上がった選手たちから聞いたコメントが多く収録されていて読みごたえがある。

特に、「杉内俊哉投手に心無い言葉をかけて巨人にFA移籍された残念なフロント責任者」というイメージがある小林氏がかなりの業績を上げてきたことには少し驚かされる。
癖がある人柄なのもコメントから伝わってきたが・・・

これまでもロッテなどで独立リーグの球団を買収して育成選手を派遣するとか、独立リーグに3軍が参加するなどの話が出ていたようだが、「する球団としない球団で不公平になる」などの抵抗もあり、うまくいかなかったケースも多かったようである。
そうした中でさまざまな課題をクリアしてソフトバンクの3軍の運営がなされるようになったことが書かれていて、大変だったことが伝わってくる。

スカウトからすると大学や社会人でドラフト1位になる選手をそれ以前に見抜けないことが痛恨のことのようで、それなら母数を増やすことと、試合による経験を積んだり課題を見つけて解決するなどして成功する数を増やしていくというロジックで書かれている。

3軍のシステムにより試合を組んだり、海の中道の近くの雁の巣や西戸崎にあった二軍施設が手狭だったり老朽化していたため、移転先を公募して筑後市に広大な二軍施設を建設した話も書かれている。
移転先候補には福岡市のアイランドシティや北九州市、宮若市などが上がっていた話も面白い。

そしてこうした構想には前身のダイエー時代に基礎を築いた故・根本陸夫氏の影響が随所で書かれていて、業績の大きさや先進的なビジョンには驚かされる。

さまざまな困難を乗り越えて結果を出してきた3軍や育成のシステムも、結果を出したら出したでアマチュア側からも警戒を受けたり、ヤクルトが支配下で獲得した元ソフトバンク育成の長谷川宙輝投手のように他球団の動きも出ていて、競い合ってプロ野球の裾野が広がっていけばいいと思う。
例えば横浜DeNAベイスターズで二軍施設を充実させたり神奈川の独立リーグ球団との提携などがなされているので、こうした他球団の動きについての本も出たら読んでみたい。

充実した内容の作品で、興味深く読むことができた。




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