fc2ブログ
読んだ本の感想をつづったブログです。


スポンサーサイト





橙乃 ままれ (著), ハラカズヒロ (イラスト)
KADOKAWA/エンターブレイン (2015/3/27)


ライトノベル『ログ・ホライズン』シリーズの第9巻。
シロエの追憶にしばしば登場してきた「カナミ」が本作で登場する。

ビッグアップル(ニューヨーク)サーバで活動していたが混乱ぶりに嫌気がさした冒険者のレオナルドは、転移ゲートに入ったところ中央アジアエリアに飛ばされてしまい、東への旅を続けてきたカナミ、エリアス、コッペリアの一行と出会う。

カナミはゲームをやっていた頃に日本だけでは飽き足らず海外のサーバへも出かけていて、「大災害」発生時にヨーロッパエリアにいたようで、その間にエリアスとコッペリアを仲間にしている。

また、白澤(中国神話に登場する人語を話す聖獣)とも出会うが、実はカナミと旧知の間柄にあったKRという人物が憑依していて、レオナルドとさまざまな話をしているところも重要なポイントとなっている。

これまではゲームの設定による制限があったため見通しがつけやすかった部分があったが、ゲームによる制限から外れた事件が発生し、後半では戦いをしていく展開になっている。

語り手は蛙ニンジャの格好をした暗殺者のレオナルドで、他のメンバーと同様にカナミの底抜けの前向きさに引っ張られていくところが面白い。

また、シロエが属するアキバの勢力とライバル関係にあって敵役のイメージが強かったミナミの勢力に属するKRが自身のことを語っているため、ミナミの勢力側から見た視点も得ることができるのもいい。

読む前は購入していたのが本作までで、7巻や8巻の展開がスローだったこともあって発売されているうちで残っている10巻と11巻を読むのはしばらく先かなと思っていた。
しかし本作が思っていた以上に面白かったので、続きを読むのは早くなるかもしれない。





にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 橙乃ままれ,


米谷 仁 (著), 生田 尚之 (著)
プレジデント社 (2019/3/13)


SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)について語られた、元環境省官僚の米谷氏と、SDGsを実践している企業の経営者の生田氏による対談本。

現在福岡市博物館で「みんなのSDGs展2020」(2020年10月3日~2020年10月25日)が開催されているという話を知り、ほとんど知らない言葉だったので読んでみた。

SDGsは現在欧米で盛んらしく、米谷氏によるとリーマンショックでこれまでの利益至上主義への反省がきっかけらしく、それに比べて日本人は反省していないと語っている。
そうは言っても、そもそも90年代からゼロ年代の金融バブルは欧米の人が主体となって儲けていたもので、それほどいい思いをできなかった日本人に反省を求めるのはおかしいと感じる。

それはそれとして、生田氏が経営するテクノシステム社が実施してきたことの話は興味深い。
元々はポンプや電気設備をやっていた会社だったのが、均質に料理をつぎ分ける装置、低コスト化・小型化した海水の淡水化装置、太陽光発電、小型水力発電、家畜の糞を用いたバイオマス発電など、地域の環境や雇用に貢献する事業をやっていることが書かれていて、やはりというかかなり大変なようである。

基本的にはテクノシステム社の紹介と事例が多くを占め、本質的な話がどれくらいなされているのか?についてはいまひとつよく分からないところもあるが、これは別の本も読んで理解を深めた方が良さそうである。

対談形式で読みやすく、まずまずの内容だったかと思う。






にほんブログ村 本ブログへ


橙乃 ままれ (著), ハラ カズヒロ (イラスト)
KADOKAWA/エンターブレイン (2014/9/29)


人気のライトノベルシリーズ『ログ・ホライズン』の第8巻。
ミノリ、トウヤ、五十鈴、ルンデルハウス、セララの5人の若手・初心者に属する冒険者たちが、静岡県や南アルプスあたりにアイテム獲得と訓練のための遠征をしている回を扱っていて、第3巻や第4巻に近い内容となっている。

今作では特に音楽好きな五十鈴が悩みながら成長していくシーンが多く描かれていて、どんどん設定が増えていっているのが伝わってくる。

また、旅の途中でいかにも怪しげな女性召喚術師のロエ2と、優し気な雰囲気ながら謎の多そうな物書きの美女・ダリエラと出会って旅を共にしており、今後への伏線にもなっているようである。

後半では西日本の勢力に属するオデュッセイア騎士団がある作戦を遂行したことで五十鈴たちが滞在していた街が戦いに巻き込まれ、解決すべく奮闘するシーンが描かれている。
ただ、ここではまだ明かされていない部分が多く、あまりすっきりしない感じがあるのも作者の計算のうちなのだろう。

ブックオフに210円で販売されていたのを9冊まとめて購入していて、まだ読んでいないのは次の第9巻のみとなった。
次はシロエの追憶にしばしば登場する「カナミ」が活躍するようなので、これも読んでみる。





にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 橙乃ままれ,


今野敏 (著)
角川春樹事務所 (2019/6/12)


今野敏の安積班シリーズ最新作。
江東区のアリーナでグラビアアイドルの絞殺死体が発見され、殺人事件を捜査する回となっている。

捜査線上に浮上したのは被害者が所属する芸能事務所の親会社を経営する「芸能界のドン」とされる柳井という人物(おそらくB事務所のS社長がモデル)だったが、刑事部長がなぜか毎回捜査会議に出席したり柳井を気にする様子が見え、安積らは不自然さを感じる。
さらに、安積が昔の先輩で継続捜査を担当する海堀からも、柳井に嫌疑がかかった13年前の事件に関連して難題を持ちかけられてしまい、難しい判断を迫られて悩むシーンが多い。

警視庁本庁の捜査第一課から池谷管理官と安積に敵対心を持つ佐治係長が捜査に参加するのはこのシリーズの長編ではよくあることだが、今回は佐治の元部下で安積とともに臨海署の係長を務める相楽も捜査に参加している。
佐治に可愛がられていると思われている相楽が意外な言動をしばしば見せるところが面白い。

安積班では須田のひらめきや強運ぶり、村雨の堅実さなどが今回も描かれている他、水野が組んだ捜査第一課の達川というベテラン刑事もいい味を出している。

本作でも安積をはじめとして魅力的なキャラクターが多く活躍するところを読み、楽しむことができた。





にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 今野敏, 安積班シリーズ,