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読んだ本の感想をつづったブログです。


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アダチ ケイジ (著), 森高 夕次 (原著)
講談社 (2011/9/23)


プロ野球を舞台とした、年俸や待遇、査定などの金銭面に重点を置いて描かれている漫画の第2巻。

この巻では引退した選手の再就職先やいまいちな成績と思われる選手もすごい運動能力を持っていること、無難に仕事をこなすことの重要性、遊んでいる選手の集中力、学生時代と社会人で業績が逆転する関係、控え外国人の事情などが描かれている。

最も印象に残ったのは、夏之介が同僚と銀座に飲みに行った際に出会った他球団のスター選手であるの関谷の豪快な飲みっぷりと試合での集中力で、実在するNPBの現役選手だと広島の長野久義選手を連想してしまった。

また、外国人枠の関係からシーズンのほとんどを2軍で過ごしていて新外国人獲得の情報を見ては自分のクビを心配するトーマスというアメリカ人投手もキャラクターが立っていて、夏之介との掛け合いが面白かった。

お金から見たプロ野球というスタイルが新鮮で、続けて読みたくなってしまっている。





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出口 治明 (著)
文藝春秋 (2020/12/17)


80のQ&Aという形式で、著者が自身の歴史観を語っている作品。
マネー、失敗、リーダー、大逆転、女性、宗教、戦争、ライフスタイル、アメリカ、日本と世界と、10章で構成されている。

1項目当たり3~4ページで書かれていて区切りがよく、どこからでも読むことができる。

著者はグランドデザインを作った人を高く評価する傾向があることを自分でも認めていて、始皇帝、ダレイオス1世、織田信長、阿部正弘、フランクリン・ルーズベルト、平清盛、ナポレオンなどの評価が高くなっている。

また、インフラ、ロジスティック(兵站)、交易、交流などの重要性についての記載も多く、日本の鎖国や中国の海禁、トランプ大統領のアメリカ・ファースト、イギリスのブレグジットなどは愚策だと厳しい評価をしている。

阿部正弘やハンニバルのように日本で過少評価されていると思われる人物の評価や、ナポレオンがジャンヌダルクを宣伝して有名になったという逸話(坂本龍馬なども近いケースと思われる)、イスラム圏にもシャジャル・アッドドゥッル(マムルーク朝創始者)のような女傑がいたという話など、歴史の教科書に出てこなかったりあまり書かれていない話が随所に出てくるのが面白い。

著者の歴史観に賛同することばかりでもないが、他の人があまり書かない話を読むことができるのがいい。






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日経ヴェリタス編集部 (編)
日本経済新聞出版 (2017/11/18)


あまり知られていないが高い技術や新たな技術で期待が持てる企業を紹介している作品。
2017年に発行された本なので時代の変化を考慮する必要はあるが、興味深い記載が多い。

例えば『会社四季報』で事業内容が気になっていたサイセイランディック(3277)は権利関係が複雑な不動産を整理して販売するというビジネスモデルの企業で、ややこしくて他が手を出しづらいところをビジネスモデルにすると儲かるという形が分かりやすいと感じた。
その分、ノウハウやオペレーションで他社に差をつけているのだろう。

他にも知らなかった企業が多く紹介されていて、『会社四季報』などと情報を照らし合わせた上で投資の参考にしたいと思える内容だった。





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宮城谷昌光 (著)
新潮社 (2021/1/19)


中国の戦国時代に活躍した学者・公孫龍を描いた歴史小説の第1巻。

衰えた周国の王子・稜は父親である周王から北の燕国へ人質として出向くよう命じられ、途中の趙国を通っていた頃に事件に巻き込まれ、封印されていた周王から燕王への手紙に稜を殺すように書かれていることを知ってしまう。
これは稜を排除して別の王子を王位に就けようという勢力の陰謀と推察され、この時点で稜は周の王子として生きられないと判断し、商人の公孫龍という人物として生きることを決意する。

また、趙の公子2人を山賊や暗殺者たちの襲撃から助けたことで信任を受けただけでなく、燕の昭王からも知遇を得たことで、趙と燕の2か国にまたがって商人として活動していくことになる。

扱われている時代では孟嘗君、楽毅、郭隗、趙の武霊王、平原君など、『戦国策』や『史記』などでも有名な人物が多数登場するのがいい。
主人公がやや脇役っぽくて、周囲が著名人という形となっているのは、昨年の大河ドラマ「麒麟がくる」に似ているように感じた。

公孫龍を支える家臣たちの活躍が目立ったり、趙の公子何(後の恵文王)と公子勝(後の平原君)の兄弟の素直さ、2人の父親である武霊王の底知れなさなど、スケールの大きな話が展開されてきそうな感じがあり、続きを期待させてくれる。





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