fc2ブログ
読んだ本の感想をつづったブログです。


スポンサーサイト





本郷 和人 (著)
扶桑社 (2021/9/2)


日本史で定説と新説があって議論されがちな事柄について、著者なりの見解を語っている作品。

鎌倉・室町・江戸といった幕府が成立したとされる年はいつなのか?皇室と将軍家の力関係、承久の乱で提唱された新説への疑問、鎖国はなかった説への批判などが扱われている。

書かれている中で最も印象に残ったのは「権力は地位ではなく人につく」という話で、征夷大将軍になった年はそれ以前に権力を握っていたので幕府の成立年にするのは苦しいという考え方は分かりやすい。
関白を譲った秀吉や将軍を譲った家康などだけでなく、現代の政界でも田中角栄のように首相を退いても実権を握っていたり、議員でなくなっても派閥に影響力を残してきた青木幹雄氏や古賀誠氏のような事例を見るとその通りだと思う。

学者だと師匠筋に当たる学者や先輩、同僚などに気兼ねして書きづらいことも多いはずだが、師匠の石井進氏が権門体制論への疑問を述べただけで自説を展開しなかったことを批判していたり、先輩に当たり担当する時代も異なる荒野泰典氏が提唱した鎖国がなかった論を語る人々に対して厳しい意見を述べているなど、立場を考えると思い切ったことを書いていると感じた。

定説が変わることもある一方で、定説ができた過程にはそれなりの研究の積み重ねがあったこと、新説を提唱して目立ちたいという願望は理解するがツッコミどころへの対応もすべきなど、読ませる意見が多いと感じた。




にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 本郷和人,


川原崎 剛雄 (監修), 造事務所 (編著)
PHP研究所 (2008/4/1)


イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、オーストリア、ロシアなど、ヨーロッパの王室の歴史を紹介している作品。

イギリスがフランス、スコットランド、オランダ、ドイツなどから前王朝の血縁の人物を迎えて王朝が交代したり、フランスやスペインで王朝が途絶えそうになった時に周辺国が後継者をねじ込もうとして継承戦争と呼ばれる大戦争になるなど、国民国家になる前ということもあって政略結婚だらけで複雑な状態になっていたことが分かる。

また、女系の系譜になると別の王朝としてカウントされているわけで、現在日本の皇室で議論となっている女性天皇や女系天皇の話では、女系に移ると別の皇室にカウントされると見なす人が出てくると思われ、このあたりの懸念点が広く理解されているのか怪しいと感じる。
また、宇多天皇(一旦臣籍降下していたのが即位)や、継体天皇(離れた父系から即位)のようなケースを考えると、近い時代の明治天皇の系統を宮家に復活いただくことが自然であると考えている。

スウェーデンではナポレオンの元部下だったベルナデッド(当然フランス人)が国王に迎えられたり、フランスのユグノー戦争では3人のアンリと呼ばれる人物が争った挙句に3人とも暗殺されるなど、多くのエピソードが書かれていてかなり濃い歴史を経てきたことが分かる。

王政では帝政では当然ながら君主の資質によっての当たり外れが大きいことや、信じる宗派がカトリックかプロテスタントかで政治が替わったりして混乱が大きいわけで、君主の暴走を抑えるために法律や議会が整備されていった経緯が理解しやすい。

ヨーロッパの歴史の大きなファクターとなっている王室についてのことを多く知ることができ、興味深く読んだ。





にほんブログ村 本ブログへ


ブレインナビ (著, 編集)
PHP研究所 (2008/9/1)


漫画『北斗の拳』に登場する人物が発した言葉とその背景などを紹介している作品。

この漫画では有名なセリフが多く、戦闘シーンでの「お前はもう死んでいる」→「あべし」、「ひでぶ」というやり取りや、ラオウの「わが生涯に一片の悔いなし」という最後のセリフ、「退かぬ媚びぬ省みぬ」という聖帝サウザーの言葉、聖皇軍兵士の「汚物は消毒だ~」やジャギの「おれの名を言ってみろ」といった悪党のセリフなど、さまざまなところで引用されたりネタにされているのを見る。



ケンシロウやラオウ、レイ、ジュウザなど、以前アニメで観ていたシーンでの言葉も多く収録されていて、ああそんな言葉もあったと思いながら読んだ。
そしてセリフと言えるか分からないが、アニメでの千葉繁による拳王軍兵士の「拳王様ぁ~」やジュウザの手下の「アニキぃ~」といった掛け声も印象に残っている。

また、修羅の国編はあまり観たり読んだ記憶がなくてカイオウやアイン、ヒョウ、シャチなどのセリフは伝わりづらかったので、改めて漫画を読んでみるのもいいかもしれないと関心を持ったりもした。

『北斗の拳』は原哲夫氏による漫画のタッチもさることながら、ストーリーやセリフなども濃くて、こうしたあたりが30年以上人気であり続けているのだろう。





にほんブログ村 本ブログへ


河合 敦 (著)
PHP研究所 (2021/4/2)


日本史上の人物21人の事績から、教訓や反面教師とする点などを紹介している作品。

以前読んで面白かった『最強の成功哲学書 世界史』(文庫化に際し『最強の教訓! 世界史』に改題)の日本史版という感じになっている。

扱われている人物は下記となっている。

北条泰時、勝海舟、坂本龍馬、渋沢栄一、行基、和気清麻呂、吉田松陰、北条政子、後醍醐天皇、吉備真備、徳川家康、大石内蔵助、大久保利通、市川團十郎(初代)、高橋是清、伊達政宗、土方歳三、細川藤孝・忠興、三井高利、早川徳次(シャープではなく地下鉄の方)

著者の嗜好が大きく反映されているようで、キャラクター的に褒めにくい後醍醐天皇、偉人なのに不人気な大久保利通、教科書に出てこないであろう市川團十郎や早川徳次、教科書に名前は出てくるがそれほど知られていなさそうな吉備真備や和気清麻呂などが扱われているのが面白い。
また、今年の大河ドラマの主人公で次の一万円札に起用される渋沢栄一、人気が高い伊達政宗や土方歳三、大石内蔵助なども抑えられている。

歴史から教訓を得るという趣旨から、題材としているのは必ずしも最新の研究を踏まえた史実ばかりではなく、例えば『忠臣蔵』のように一般的にイメージが定着している話も多く扱っているのもポイントになっているかと思う。

教訓として挙げている言葉で最も印象に残ったのは、行基のところで出てきた「いまいる場所が、全てではない」というもので、最近いる場所を変える経験をしたところなので、心強く感じた。

初めて知るエピソードも多く、おっかない印象が強い大久保利通の気配りや、高橋是清の若い頃の無茶苦茶なところと何度も乞われて日本経済を救い続けた話、多分初めて知った早川徳次の話などがそれに当たる。

充実した内容になっていて、興味深く読んだ。




にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 河合敦,