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読んだ本の感想をつづったブログです。


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福本伸行 (著), 橋富政彦 (編著)
竹書房 (2013/7/17)


福本伸行の漫画『賭博黙示録カイジ』、『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』、『銀と金』、『天 天和通りの快男児』、『最強伝説 黒沢』などから、人生や価値観に関する含蓄に富む言葉を紹介・解説している作品。

「金は命よりも重い」、「世話を焼いてもらえると思うな」、「一生迷って機会を失い続けろ」、「素人ほど不安に耐えられず、すぐに肚を括る」などの趣旨のことを語っている、『カイジ』に登場しスピンオフ漫画『中間管理録トネガワ』にもなった利根川幸雄が債務者に対して言い放つ冷徹な言葉が目につく。
中には「本当のオレを使っていないと言い続けても、今まで生きてきたすべてが丸ごと本物」と、漫画『俺はまだ本気出してないだけ』との組み合わせで考えるとより味わい深い言葉もある。

利根川と同様に『カイジ』の人気キャラクターでスピンオフ漫画『1日外出録ハンチョウ(1)』になった班長・大槻の言葉は意外に少なく、「明日ではなく今日がんばった者のみ明日が来る」くらいだが、これもまた印象に残る。

他にも、感動や優しさで洗脳手法を戒める「悪魔はみな優しい」とか、「魔が差した」という言葉の欺瞞、ギャンブルで「次は来る」とか「取り返す」という考えをした時点で負けという話など、世の中や人生の厳しさを教える言葉が多い。

麻雀やギャンブルについての言葉では、あまりやらないのでピンとこないものもあるが、安易にハマるとロクなことにならないことは伝わってきたので、ピンと来なくてもいいのだろう。





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出口治明 (著)
祥伝社 (2016/10/1)


ライフネット生命の創業者による、自身が多くの読書から得た世界史の理解を解説している『仕事に効く 教養としての「世界史」』の続編。

前作で語っていない、日本で教えられる世界史の中でも触れられる機会が少ないイスラム圏、インド、中南米、アフリカなどの歴史について多く書かれている。

インドが地政学的に西北のカイバル峠以外からは軍隊が侵入しづらいために独自の地域世界が続いてきたこと、そしてインダス川流域やガンジス川流域を支配する北部の政権と、デカン高原に割拠する南部の政権に分かれることが多くて統一王朝が続いた時期が短いことなど、他の地域と異なる部分が多いことが分かりやすかった。
ムガール帝国以外の諸王朝は全然覚えられないが、腰を据えて歴史書を読んだら覚えていくものなのかもしれない。

中南米ではナポレオンの登場で宗主国だったスペインとポルトガルが大変な目に遭ったことで独立運動が激化し、サン・マルティンとシモン・ボリバルという2人の英雄が登場したこと、既得権益層の保守派VS革新派と連邦派VS中央集権派などの対立やアメリカなどの干渉もあって政情が安定しない状況が続く背景などが書かれていて、解決の道は遠そうである。

そしてアフリカでは部族闘争で敗れた部族から奴隷の形で中南米に労働力が流出したこと、そして19世紀にイタリア軍がエリトリアに侵入したことをきっかけに牛痘が一気に広まって牛がほぼ絶滅して農業が壊滅状態になったことで、暗黒大陸と称されたり野生動物の楽園のような形になった経緯が書かれている。

他にも、16世紀の激動の時代にヨーロッパで広大な領土を支配した神聖ローマ皇帝のカール5世が諸外国との戦争で振り回されて次の代に国家破産に至った経緯や、ルネサンスに至った地中海の東・西・南を通ってのイスラムからの文化の伝来、プロイセンがドイツ帝国となって第一次世界大戦に至るまでの歴史なども書かれ、幅広い世界史の知識を得られる。

前作を読んでからかなり時間が経ってしまったが、本書も興味深く読むことができた。





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関連タグ : 出口治明,


ぷにちゃん (著), 匈歌 ハトリ (イラスト)
KADOKAWA (2020/2/25)


異世界転生して回復職なのに回避にチートを使ってしまったことで面倒に巻き込まれた大学生・ヒロキを主人公としたライトノベルの完結編。

レンとルリはかつて魔法陣を多く用いていたという「大樹の民」と呼ばれるはぐれエルフみたいな人々を追っていたところ、行方不明になってしまう。

一方で獣人の大陸で元の世界に戻る手がかりを見つけたヒロキとルーシャも、異世界転移させられた原因が大樹の民による魔法陣によるものと分かり、彼らのアジトにたどり着き…という話になっている。

前作でレンとの契約を諦めさせられた国王もしぶとく暗躍していたり、ヒロキとルーシャの関係が…という話になっていたりして、これまでの伏線を回収していく話が多くなっている。

変に新キャラクターを色々と出したりして長々と続けたりせずに6巻でスパッと完了していて、楽しく読むことができた。





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沢渡あまね (著), 元山文菜 (著)
技術評論社 (2020/11/6)


多くの企業で業務改善がうまくいかないプロセスと、それへの対策を語っている作品。

余計な仕事が増える、作業時間が短縮されたらその分だけ仕事が増やされる、中間管理職につぶされるなど、企業で働いたことがある人がよく経験したであろうことが書かれている。

それらが発生するプロセスとして、経営者の掛け声だけで終わることや、ビジョンや信頼関係の欠如、フォローの不足などが挙げられていて、これらも納得しやすい。

こうした問題を踏まえた上で、業務改善を評価する方法や抵抗勢力となりうる人のタイプ別の対策、変化を実感できる雰囲気作りなどの手法が解説されている。

使いやすいもの、使いにくいものはあるだろうが、「改善を改善する」ヒントになる話が多く紹介されていて参考になる。





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