fc2ブログ
読んだ本の感想をつづったブログです。



芸術新潮編集部 (編集)
新潮社 (2021/3/26)


『鳥獣戯画』は甲・乙・丙・丁の4巻になっていて、それぞれ描かれている内容や成立事情などについての考察を語っている作品。

2か月前に福岡市美術館「国宝 鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」で前半の甲巻・丁巻を観に行っていたのと、結局後期の乙巻・丙巻を観に行っていないことを思い出したこともあり、読んでみた。

まず、概略のみ知っていた乙巻・丙巻の内容を知ることができたのと、全体を通して面白いポイントを解説されていたので、そのあたりが面白かった。

そして、それぞれの絵の関係性や、描かれたものの欠落したと考えられる部分、使用されている技法などについてもさまざまなことが書かれていて、それなりに興味深く感じながら読んだ。




にほんブログ村 本ブログへ


本郷 和人 (著)
トランスビュー (2019/12/5)


近年語られがちな、「信長はイメージと違って保守的な大名。革新的とされることも他の大名が先にやっていたことも多い」という言説に対し、それならなぜ信長は違った結果を出したのか?信長は時代の要望に応えることができた歴史的人物なのではないか?という考えが語られている作品。

宗教、土地、軍事、国家、社会など、信長が出現する前後でどのような変化があったかを挙げ、時代の流れにいかに信長が応えてきたかが分かってくる。

例えば、軍事で言えば兵種別の編成やロジカルに数的優位を作る手法、国家のところでは信長以後の関ケ原の合戦で上杉・毛利・黒田などが領土争いから発想が抜けられていないことなどを挙げていて、なるほどと思わされる。

そして、現在の歴史学の問題点にも踏み込んでいて、近年の著作にあるシリアスさは本当に語りたかったことなのだろうと感じた。
本書もまた、興味深く読むことができた。




にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 本郷和人, 織田信長,


矢部 太郎 (著)
新潮社 (2021/6/17)


『大家さんと僕』などで絵本作家としても知られるようになったカラテカ・矢部太郎が、父親の絵本作家・やべみつのり氏との子供の頃の日々を描いた作品。

いつも家にいる父親、確固とした思想により自動車を持っていないと言いつつ運転免許の失効によるものと母親にバラされる父親、なかなか絵本を描けないが編集者が待ってくれているエピソードなど、この父親あっての矢部なのだと分かってくる。

サラリーマンが合わずに絵本作家になったのも納得しやすいし、矢部と姉の扱いの違いに笑ってしまったりと、本作でもまた楽しませてもらった。

『僕と相方』とか『僕と入江君』あたり出たら読んでみたいが、さすがに難しいか?




にほんブログ村 本ブログへ


大村大次郎 (著)
秀和システム (2020/5/22)


家康の戦略や独自性について、経済の視点から考察・解説している作品。

家康のやり方で最も重点が置かれていると思われるのは、周囲の勢力が強い時期は耐える・無理をしない対応を取り、何らかの事情で周囲の勢力が弱ったら一気に攻める・取るという戦略で、チャンスがいつ来るか分からない一方、うまくハマれば出費を抑えて最大のリターンを得ることができることが分かる。

この方法だと家臣が大活躍した形にならずに高い給与を払う必要がなく、中途採用でも同じことが言えるわけで、特に人件費を抑えることができるという観点が面白い。

家康関連の他の作品で読んだことがある話も多いが、例えば細川忠興が秀吉死後に家康に大きく貢献した働きの理由や、関東移封後に反乱が少なかった背景には国衆が後北条氏とともに滅んだこと、貨幣制度の整備が優れていた話などが印象に残る。

関ケ原の合戦では石田三成が堺と近江を抑えていたから短期決戦を狙ったという見方が書かれているが、領地の近江はともかく隠居させられた三成が堺にどれくらい影響力を持っていたか?についてはもう少し説得力のある説明が欲しいとも感じる。

著者の他の作品と同様に分かりやすい書き方がなされていて、興味深く読むことができた。




にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 大村大次郎・武田知弘, 徳川家康,


田村 由美 (著)
小学館 (2018/1/10)


菅田将暉主演でドラマ化されるなど、人気のあるミステリー漫画の第1巻。
『ザ・ファブル』と同じくらい、まとめサイトで広告がやたらと表示される作品というイメージも持っている。

もしゃもしゃの天然パーマという金田一耕助を思わせる外見の大学生・久能整(くのう・ととのう)は、ある日警察に任意同行を求められ、親しくない同級生の殺人の嫌疑をかけられて事情聴取を受ける。

そして整は刑事たちとの会話で驚くべき洞察力を見せ、安楽椅子ものミステリーのような感じで話が進んでいく。

少女漫画タッチでのミステリー漫画はあまり読んだことがなくて新鮮だったし、整が随所で語る言葉が印象に残るところもいい。

人気が出た理由が分かったような気がするし、もう少し続けて読んでみたい。



にほんブログ村 本ブログへ