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読んだ本の感想をつづったブログです。


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本郷 和人 (監修)
学研プラス (2021/10/7)


上杉謙信や家康の資産額、信長が安土城で取った観覧料、新撰組の給料など、歴史上費やされたり蓄えられたお金を現在の価値に換算していくらくらいになるか?を紹介している歴史読み物。

子供向けの作品だが、扱われているテーマが面白いので読んでみた。

戦争にかかる金額の大きさや、身分による給与の格差、物価の変動などが印象に残る。

さすがに物足りなさはあるので、著者が新書で書いている『「お金」で読む日本史』も読んでみたいと思っている。





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関真興 (著)
KADOKAWA (2016/5/12)


世界史のロングセラーとして知られるが読みづらいとの評価もある、ウィリアム・H. マクニール著『世界史』の内容をダイジェストで紹介している作品。

読んだ感じだと、世界史の概説書として特色がそれほどある印象を受けなかった。
これは読み手側の問題か、著者が分かりやすくしようとし過ぎたためなのかは、元の作品を読んでいないので判断できない。

文体もです・ます調とだ・である調が混ざっていてかなり違和感があった。
著者の他の作品ではこの違和感はそれほどなかったので、マクニールの『世界史』に対する気持ちが空回りしたところがあったのかもしれない。

結局のところ、元の作品を読む必要がある、ということだろう。





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今野 敏 (著)
実業之日本社 (2022/9/8)


気が弱いマル暴の刑事である甘糟が活躍する『マル暴甘糟』シリーズの第3作。

薬物関係のタレコミがあったために住宅街にあるジャズバーへの捜査に甘糟らが参加させられるところから始まり、そのバーで大人気の女性歌手の正体や、そのバーを乗っ取ろうと狙っているヤクザへの対応などが描かれていて面白い。

前作にも登場したソフト帽を目深にかぶったピンストライプのスーツという、麻生太郎みたいないでたちの人物も話に大きく関わっている。

また、このシリーズの本編に当たる阿岐本組シリーズの第5作である『任侠シネマ』から甘糟の上司として仙川係長が登場していたが、このシリーズでも仙川が出てきて、やはりというか甘糟の先輩に当たる郡原と相性が悪い描写や、メンツや手柄に異常にこだわるキャラクターをいじっていて、今後もかなり使われそうな感じがする。

以前よりも甘糟が郡原や本庁の刑事たちに意見をするシーンが出てくるなど、甘糟が成長しているように感じられる描写が見られるのも、シリーズものとしてうまいと思う。




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坂井 孝一 (著)
NHK出版 (2022/7/11)


NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で歴史交渉を担当した歴史学者が、東京新聞に連載していたコラムを元にした歴史読み物。
2部構成で、第1部が登場人物の話、第2部が当時の歴史教養を扱っている。
  • 伊東祐親の娘・八重が義時の妻・泰時の母だった説の補強
  • 実朝を暗殺した公暁が、母親の家柄から考えると3代将軍に想定されたと思われること
  • 実朝が建造を命じた大船は宋との交易などのためだったが鎌倉が遠浅で進水できず、泰時の代に和歌江島が築かれて大船が入れるようになった
  • 『吾妻鑑』で意図的に描かれていない、頼朝の晩年から頼家の将軍即位の時期は北条氏にとって不都合なことが多かったと思われること
など、鎌倉時代初期の人物に関するあまり知られていないと思われる話が扱われていて面白い。

特に第1部は、長谷川ヨシテル著『トンチキ鎌倉武士』をシリアスで深掘りした感じの話で興味深かった。
今年は『鎌倉殿の13人』をきっかけに多くの関連書を読んでいて、知見が広がった気がする。





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