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読んだ本の感想をつづったブログです。


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塩野 七生 (著)
新潮社 (2014/7/28)


地中海世界の中世で、キリスト教勢力とイスラム教勢力の間で戦われた海戦や、海賊の活動などを描いた歴史読み物の第2巻。

第1巻ではシチリア島がビザンツ帝国からイスラム勢の支配下に入ったことが書かれていたが、ヴァイキング系で南伊にやってきたノルマン人がシチリア島を奪取している。

また、その時期は十字軍の時代でもあり、多くがパレスチナを目指した一方で海賊の根拠地である北アフリカを攻める場面も出てくる。

そして、イスラム教にも理解があってローマ教皇と対立することも多かった神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世の時期に、シチリアは多文化が花開いた話や、アマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネチアの海洋都市国家の活躍なども描かれている。

後半では、イスラム教徒の海賊がヨーロッパで住民を拉致して奴隷として働かせていたことに対し、彼らの救出を目的として国境を越えて結成された「救出修道会」と「救出騎士団」の活動が描かれている。

具体的には寄付を募って身代金を集め、海賊の根拠地のボスと交渉するというもので、苦しむ人を助ける行為そのものは善なのだろうが海賊にお金を払うことのデメリットは著者も指摘している。
病気で弱っている人を見せることで寄付を集めるやり方は日本のあの番組を連想させるし、イタリアで身代金目的の誘拐が非合法のビジネスになっている源流はこれなんじゃないの?という気もした。

さまざまなことを考えさせられる話が多かったように思う。




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小畑 健 (著), 大場 つぐみ (原作)
集英社 (2009/1/5)


少年2人が、週刊少年ジャンプの連載を持つ漫画家を目指して奮闘する漫画。
第3巻まで読んでいる。

中学生の真城は、あるきっかけからクラスメイトの高木から原作:高木、作画:真城のコンビで漫画家にならないかと誘われ、本格的に目指していく。

最初は物語の構成上必要なのは理解している、ヒロインたちとのやり取りがちょっと微妙だと感じなくはなかったものの、ジャンプ編集部に原稿を持ち込んで編集者の服部とやり取りするあたりから本格的に面白くなっていく。

漫画業界の裏話的な部分が多く書かれて厚みを出しているし、作者たちが経験しているであろうリアルな描写が印象に残る。

そして、3巻で主人公たちと同年代で中学を卒業してすぐにジャンプの連載を持つようになった天才漫画家の新妻エイジと、アシスタントをしていた福田と中井が出てくるあたりでさらに面白くなる。

エイジのぶっ飛んだキャラクターとツッコミ役だが何だかんだ面倒見のいい福田、いじられ役の中井がいると、真城とのやりとりが生き生きとしてくる。

各話ごとに作者たちのネームがどのように本編のコマになったかが紹介されているのも面白く、もう少し読んでみるつもりである。




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バカリズム (著)
ポプラ社; 増補版 (2021/10/6)


都道府県の形に着目し、持ったり使ったりしたらこんな感じになるのでは?をイラストで表現しているバカリズムの本。
各都道府県の簡単なデータも記載されている。

指でつまんだり、湖を鎖で通したり、食べ物に付け合わせたりと、持ち方だけでなく使い方みたいなそれぞれの都道府県の形状をいじっているのが面白い。
都道府県を持っているサラリーマン風の男性の表情が無表情なのも、じわじわくる。

思いつきそうだが出てくるまではなかったタイプの作品で、その意味ですごい作品ということになる。




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眞邊 明人 (監修)
宝島社 (2022/6/14)


家康が語った言葉、あるいは語ったとされる(が本当かどうか怪しい)言葉を100紹介・解説している作品。

真偽はともかく、家康のキャラクターや周囲からどのように見られていたか、言いそうだと思われた言葉ということでさまざまな言葉が集められている。

教訓となりそうな言葉、味わい深い言葉は当然あるとして、家康の感情が出ている言葉や、ミスしたと思われる発言などが収録されているのもいい。

この手の本にありがちな、解説での説教臭さも抑えられている。




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