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読んだ本の感想をつづったブログです。



長沼 伸一郎 (著)
PHP研究所 (2022/6/21)


科学者による、理数系の観点から世界史の概略と今後への見通しを語っている作品。

地政学や、科学理論が宗教や経済の思想に大きな影響を与えている話、人が抱く短期的願望と長期的願望のせめぎ合いなどを扱い、他の歴史書に出てこない話が多くて強い知的刺激を受ける。

西欧で資本主義が発達したのは微積分学やニュートン力学がイスラム圏に勝利したから(ざっくりした印象)とか、アメリカで短期的願望の集積が長期的願望になるという考え方が今後世界が閉塞状態に導く危険がある話など、理解するのに少し時間がかかるが論旨は明快なので読み進めることができる。

日本では国難の時期に「理数系武士団」が出現して危機を救っては解散するパターンが繰り返されたと書かれていて、4種類の人々(思想家、官僚、学習者、伝道者)で構成されることが書かれている。
幕末で思想家に当たるのが島津斉彬や勝海舟、伝道者に当たるのが西郷隆盛や坂本龍馬とあり、そんな考え方があるのかと驚かされる。

日本の弱点としては予備戦力の思想がこれまでなかったことと、知的制海権を握られっぱなしだったことを挙げていて、前者については習得可能と著者は見ていて、後者についてはアメリカの思想の弱点を突く考え方が出せればチャンスは十分にあるという話がなされている。

番外編として、幕末・維新の時代に活躍した人々の年齢層が若いことで「それに比べて現在の人々は・・・」と思う場合があるが、現在は学ぶべき情報が多くなっているために当時の人々の年齢を1.5倍にすれば丁度良くなるという、歴史換算年齢の話も面白い。

『外来種は本当に悪者か?』『銃・病原菌・鉄』など、年に1冊くらい読みごたえがある本を読んでいるが、今年は本書がそれに当たりそうである。

多分、まだ十分に理解できていないと思うので、もう少し読み返してみる。
また、著者の『現代経済学の直観的方法』も読んでみたいと思う。




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