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読んだ本の感想をつづったブログです。


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モーガン・ハウセル(著), 児島 修(訳)
ダイヤモンド社 2021年12月09日


投資や貯蓄、消費などのお金の使い方について、心理的に陥りやすい失敗や、失敗を少なくするための考え方や手法、思われていたことと必ずしも一致しない傾向などを語っている作品。

過去を振り返って「なぜあの人はあのような愚かな行動をしてしまったのか?」と思われる場合が多いが、これについては「人間が判断するための情報は限られているから」と語っていて、それなりの事情があったのだろうと納得してしまう。

また、裕福になることと裕福でい続けることはイコールではないこと、性急に儲けようとしたりさらに儲けようとし過ぎた場合に何が起こるかなどについては、ジェシー・リバモアなど投資の失敗で全てを失った投資家や、大規模な詐欺で逮捕された実業家の事例を挙げているのも分かりやすい。

投資においては、ロングテールは有効で多くの銘柄がマイナスでも少数の銘柄が大きく上がってトータルでそれなりにプラスになるという話が印象に残る。
これは大きく上がる銘柄なんてプロでも必ずしも分からないということと思われるわけで、保有銘柄が増えるのは自然な流れなのだろう。

それと投資でリスクによって大きく価格が上下して心理的に翻弄されるのは投資市場に参加するための入場料と考えるべきで、それを逃れようと手段を弄すると痛い目に遭うという話も大いに参考になった。
投資したモノの価格が下がることをいかに耐え、長期的に資産形成ができるか?という命題を思い知らされる思いがした。

巻末では、著者が実践している手法も書かれていて、収入が増えても生活レベルをあまり上げずに投資や余裕資金を確保するなど、以前読んだ本多静六著『私の財産告白』を思い起こす。

他にも投資だけでなく未来が思っているより良くも悪くもならない不確実なものであることを認識することが大切など、示唆に富む1冊だった。




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野中 根太郎(訳)
誠文堂新光社 2020年01月11日


『菜根譚』の全文を現代語訳し、それぞれの言葉に対して1文で分かりやすい要約を付けた構成の作品。

解説文は下のところに最小限の形で記載されていて、この手の思想や哲学の本にありがちな、訳者や編者が古典の言葉にかこつけて自分の主張をあれこれ書き込んでいないところが非常に読みやすい。

これまで他にも『菜根譚』関連の本を読んでいるので大まかな趣旨は知っていたが、全文が扱われていることで抄訳だと外されがちな言葉が何となく分かったりもした。

人間関係の部分で中国人からするとそうでもなくても日本人に受けが悪そうと思われるところや、道教思想の言葉で似たものが続くところなどがそうで、特に後ろの方は後者の言葉が続いて少し読むのに飽きたりもした。

言葉の並びは原文と同じのようで、元々このような順番で作者が書いたのだということも分かり、興味深く読んだ。






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関連タグ : 菜根譚,


佐藤 さとる(著), 村上 勉(イラスト)
講談社 2011年05月


人が住む町にコロボックルと名乗る小人が住む設定の『コロボックル物語』の第3巻。

コロボックルたちが羽ばたき型の飛行器具を開発し、「ミツバチ坊や」と呼ばれるクルミノヒコがテストパイロットとして試験をしていたところ、襲撃してきたモズから師匠のサクラノヒコを守るために戦った結果、衝撃で気を失って墜落してしまう。
(重量が小さいため、転落の衝撃のみでは死なない)

それを「おチャ公」と呼ばれる少年が捕まえたことでクルミノヒコは行方不明となり、コロボックルたちが捜索および救出するために組織的に活動する話となっている。

これまでせいたかさんとママ先生以外の人間とは関わりを持たなかったが、そうはいかなくなったということで作者もここが大きな曲がり角の話になっているという旨の話をあとがきで語っていて、重要な場面ということが分かる。

サイズと筋力によって人力のみで空を飛べるようになったり、体に器具をつけるだけでラジオの電波を受信できるなど、細かな設定が練られているのもいい。





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金子信久
東京美術 2014年12月


江戸時代の絵師である長沢蘆雪の生涯と作品の解説を行っている作品。
先日、九州国立博物館「生誕270年 長沢芦雪 ― 若冲、応挙につづく天才画家」展を観に行ったこともあり読んでみた。

蘆雪は円山応挙の弟子でもあり、当時としては写実的な応挙の画風に倣った作品が多い一方、応挙の前に別の師についていたという説があったり、途中からは写実的なタッチだけでなくゆるさやユーモラスさが入った絵が多くなっている印象もある。

鍾馗とカエル、クジャクの周りにスズメやキジ、巨大な牛のお腹の近くに小さな犬など、複数のキャラクターの対比や細かく描き込むところと空白をうまく活かした絵が多いのも面白い。

和歌山県串本町の無量寺には串本応挙芦雪館があるほか、蘆雪が絵を収めた寺院が和歌山県南部に複数あるそうで、行ったことがない和歌山県に行くための理由になるかもしれない。





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