『河鍋暁斎戯画集』:雨読夜話

ここでは、「『河鍋暁斎戯画集』」 に関する記事を紹介しています。
河鍋暁斎戯画集 (岩波文庫)
河鍋暁斎戯画集 (岩波文庫)
河鍋 暁斎 (著), 山口 静一 (編集), 及川 茂 (編集)
岩波書店 1988-08

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
河鍋暁斎
河鍋暁斎―奇想の天才絵師 超絶技巧と爆笑戯画の名手 (別冊太陽)
河鍋暁斎 暁斎百鬼画談 (ちくま学芸文庫)
河鍋暁斎 (新潮日本美術文庫)
奇想の江戸挿絵 (集英社新書ヴィジュアル版)


幕末から明治初期にかけて活躍した浮世絵師である河鍋暁斎の、風刺画や挿絵、版画などで戯画とされるものを集めた作品集。
先日読んだ『魑魅魍魎の世界―江戸の劇画・妖怪浮世絵』でその存在を意識し、興味を持ったので図書館で借りて読んでみた。

前半は主に文明開化の社会情勢について、旧弊にしがみつく人や、逆に西洋にかぶれすぎておかしな行動をしてしまう人々、腐敗して民衆の暮らしを改善できない明治政府の役人などの風刺画で構成されている。
面白いのは面白いが挿絵として描かれたものが大半で、モノクロということもあり解説を読んでも内容がいまひとつピンと来ない。当時はともかく、現在あまり一般受けするものではないと思う。

後半は七福神や閻魔大王、妖怪に動物といったものを人間臭くかつユーモラスに描いた版画や肉筆画が掲載され、こちらは絵柄がわかりやすいこともあって素直に楽しむことができる。
具体的には、
  • 情けない姿の閻魔大王
  • 平和な生活を営む鬼の一族と、それを脅かす侵略者としての鍾馗
  • 手下のねずみを使って小判を集める大黒様やタイ回しをする恵比寿様などの七福神
  • 鳥獣戯画を意識したと思われる、擬人化した動物たちによる祭りの情景
  • 社会生活を営み、楽器を演奏したりする骸骨たち
などで、いきいきとした描き方の上に必ず何らかのひねり(強者と弱者を逆転させたり、枠をわざとはみ出させたり)を加えていたりして、こちらの方が楽しんで描いたことがよく伝わってくるように感じる。

後ろにある解説では、暁斎の生涯やその作品について書かれており、江戸幕府・明治政府どちらからも作品に対して不敬であるということで投獄されたこともたびたびとある。それも反権力の思想が強いためというよりは、描きたい用に描いていたら結果そうなったということらしく、民衆の目線で描いていたことが当局からはにらまれつつも民衆からは愛されたようだ。

また、外国人にもファンは多かったというよりむしろ海外での評価の方が高かったようで、鹿鳴館を設計したコンドルが暁斎に弟子入りしていたり、現在残されている作品の多くが欧米の美術館などに所蔵されていることなどが書かれている。

なかなか楽しめたので、他の作品集も読んでみたい。


にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

関連タグ : 河鍋暁斎,

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック