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『かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて』:雨読夜話

ここでは、「『かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて』」 に関する記事を紹介しています。

かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて
かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて
ニール・ドグラース タイソン (著), 吉田 三知世 (翻訳)
早川書房 2009-08

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2006年、国際天文学連合によって惑星の定義から外された冥王星について、歴史的・文化的な捉えられ方や、惑星か否かという論争の経緯などについて書かれている本。

冥王星は1930年にアメリカ人のトンボーによって発見され、その時期にディズニーアニメでも主人公ミッキーマウスの飼い犬としてプルート(冥王星の英語名)という名のキャラクター(以下の絵を参照)が創られたこともあって、アメリカ人にとって冥王星は他国からすると異常なほどポピュラーな存在ということが書かれている。


発見以降は太陽系第9の惑星として広く認知されてきたが、太陽系で冥王星の他にも構成の似た天体が続々と発見されたり、その構成が他の惑星の2種類グループ(地球のような岩石型と木星のようなガス型)のどちらにも属さないことなどから、冥王星は惑星と捉えることへの疑問が提起されるようになってきた。
そもそも惑星とは何かという定義があいまいだったこともあり、学者たちの間では論議が交わされていたようである。

著者はプラネタリウムの館長も務める天文学者で、従来のように9つの惑星というくくりではなく、属性による以下のようなグループ別で展示を行った。
  • 地球や火星のような岩石型惑星
  • 火星と木星の軌道の間にある小惑星
  • 木星や土星などのガス型惑星
  • 海王星の外のエッジワース・カイパーベルト天体 ←冥王星はここ
  • さらにその外、彗星からなるオールト雲
展示では冥王星が惑星であるともそうでないとも明示していなかったが、新聞記事で大々的に取り上げられるに及び、社会を巻き込んでの賛否両論の入り乱れた論争が始まることになった。

特に憤慨した小学生が多く、著者のもとへも彼らからの手紙が大量に届けられ、それらの一部が掲載されていて微笑ましい。
他にも天文学者によるもっともな意見や、一部の人々による感情的な暴論、さらにはこの論争を風刺したパロディや詩など多くのものが掲載され、アメリカ人にとって冥王星が惑星かどうかということがいかに関心のある話題だったかが分かって面白い。

やがて議論が交わされるうちに冥王星が他の惑星と同じくくりでは合わないという認識が共有されるようになり、2006年に開かれた国際天文学連合の総会で、惑星の定義に太陽を回ることや球体をしていることの他に”その軌道上にその天体に匹敵するような別の天体を一掃していること”という一項目が追加され、これが決め手となって冥王星が正式に惑星ではないということになった。

決まったら決まったで冥王星に対するなぐさめの文章やイベント、政治情勢を絡めたパロディなども大量に作られることになり、実ににぎやかな様子が伝わってくる。

冥王星は惑星ではなく準惑星ということになるが、以前読んだ『太陽系に未知の「惑星X」が存在する! 』にもあるように、冥王星よりも遠くの場所に天体がいくつも発見されていくことが期待されており、これはこれで楽しみである。

かなり遠くにあって実態もよく分からない天体について熱烈に議論が交わされる様子がユーモアのある書き方で述べられていて、興味深さとともにかなり楽しむことができた。
ある程度知られていると思われていた太陽系も、まだまだいろいろな発見があって面白いと再認識させられる。




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