『石川くん』:雨読夜話

ここでは、「『石川くん』」 に関する記事を紹介しています。
石川くん (集英社文庫)
石川くん (集英社文庫)枡野 浩一 (著)
集英社 2007-04

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糸井重里運営のサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』に連載されていた、現代の歌人が石川啄木を”石川くん”と呼んで短歌の現代語訳と、石川くんへの手紙のような書き方で彼の人となりを語っているものをまとめた作品。

はたらけど
はたらけど 猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと手を見る


という作品に代表されるように、石川くんの短歌だけを読むと貧しい中努力を続けたのになかなか報われない不遇の生涯を送った人であるかのように思われるが、実際はまったく異なっていることが本文を読んでいくとよく分かってくる。

会社をよくサボるし、妻子を置いて上京したのはいいとして、友人の金田一京助(言語学者)から金をたかっては浅草で女遊びばかりしていたなど、ある意味文学者らしい生き方をやってきたことが書かれていて上記の歌とのギャップがおかしくて笑える。

他にも自分が頭を下げた人が皆死ねばいいのにという感じの歌を残していたり、奥さんが読めないようローマ字で書いた日記には女性たちをもてあそんだ経緯や貸本屋から借りたある種の小説を書き写すために夜更かしして翌日会社を休んだとあったりして、破滅型の付き合いづらい人だったことがいくつも述べられている。

著者はそんな石川くんにあきれたり皮肉を言ったりしつつも、そのキャラクターに対してある種の愛しさを感じていることもよく伝わっていて、かなり楽しむことができた。

これまでは啄木という近寄りづらい存在だったのが、石川くんというだらしないけどやればできる子というとらえ方ができるようになり関心が深まった。





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