『世界史の誕生とイスラーム』:雨読夜話

ここでは、「『世界史の誕生とイスラーム』」 に関する記事を紹介しています。
世界史の誕生とイスラーム
世界史の誕生とイスラーム
宮崎 正勝 (著)
原書房 2009-03-17

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古代に成立したローマ帝国や漢帝国、ササン朝ペルシアなどを
  • 地域世界で完結した世界帝国
そしてイスラムのアッバース帝国とそれに続くモンゴル帝国を
  • それぞれの地域世界を結んだユーラシア帝国
と分類し、後者のアッバース帝国を以て世界史が誕生したという歴史観からイスラム教とその影響を受けた人々や地域の歴史を語っている本。
これまで中国の歴史観や西欧の歴史観からはあまり多く語られなかったイスラム圏の歴史をメインで描いている。

最初にイスラム教の概要や成立事情を紹介し、イスラム帝国(サラセン帝国)が以下の3つの時代を持つことが書かれている。
  1. ムハンマドが征服を開始し、後継者たちが治めた正統カリフ時代
  2. ウマイヤ家が1.を乗っ取り、イベリア半島から中央アジアまで領土を広げた軍事帝国のウマイヤ朝
  3. アッバース家が2.を倒してネットワーク型商業帝国として発展したアッバース帝国
2.までは領土は広いが周辺世界とのつながりが限定的とし、3.のアッバース帝国に至ってから周囲の世界とネットワーク的な商業のつながりが発展していることを重視してユーラシア帝国の成立による世界史の誕生と結び付けている。

そして商業のネットワークについては、
  • これまでも扱われることの多かったシルクロード
  • キャラバンが往復した砂漠の道
  • モンゴルやトルキスタンなどを通る遊牧民による草原の道
  • 毛皮の交易などが行われたコーカサスからロシアを通って北欧に至る川の道
  • 東アフリカ沿岸、地中海、アラビア海、インド洋、南シナ海と広くつながった海の道
といったあたりが挙げられており、改めて中世におけるイスラム世界のすごさが感じられた。

流通したものについても金銀や毛皮、シルクといった物産から数学、天文学といった学問、錬金術や製紙、蒸留法などの技術、はてはペストのような伝染病までがあり本当に幅が広く、世界各国に与えた影響の大きさも知ることができた。
※ペストは雲南省あたりのネズミの伝染病がモンゴル帝国によって広まったという説が紹介されている。

遊牧民を扱っている『シルクロードの経済人類学―日本とキルギスを繋ぐ文化の謎』も先日読んで面白かったが、本書はそれと異なるイスラム商人から見たユーラシア史が描かれていてスケールの大きさを楽しむことができた。

[参考文献として挙げられていた作品]

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