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『都市の文明イスラーム』:雨読夜話

ここでは、「『都市の文明イスラーム』」 に関する記事を紹介しています。
都市の文明イスラーム (講談社現代新書―新書イスラームの世界史)
都市の文明イスラーム (講談社現代新書―新書イスラームの世界史)
佐藤 次高 (編集), 鈴木 董 (編集)
講談社 1993-09

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90年代に講談社現代新書から発行された、新書イスラームの世界史シリーズ三部作の第一作目。
時代としてはムハンマドの登場から、モンゴル帝国の中東進出以前を扱っている。

中東のアラブ人であるムハンマドが始めたイスラム教は勢力を拡大し、
  • 正統カリフ時代
  • ウマイヤ朝
  • アッバース朝
と支配者が交代しつつも発展を続けていくことになる。

その過程で中東ではペルシア人やトルコ人、北アフリカではベルベル人などにもイスラム教が広まっていき、
  • アナトリア半島ではセルジューク朝やルーム・セルジューク朝
  • エジプトではファーティマ朝、アイユーブ朝、マムルーク朝
  • マグリブ(西北アフリカ)ではムラービト朝やムワッヒド朝
  • イベリア半島では後ウマイヤ朝
といった形で、各地にイスラム帝国が成立することが書かれている。

有名な十字軍にも触れられているが、ヨーロッパから見るとエルサレムを回復するための聖戦という位置づけだったが、セルジューク朝治下のエルサレムはキリスト教など異教徒の巡礼にも開かれたものであった上、どうやら援軍を要請したビザンツ帝国もエルサレム回復を頼んだかどうかすら怪しいという。

さらには、セルジューク朝の歴史資料では十字軍についてさほど関心が示されず、エジプトのファーティマ朝など他のイスラム帝国との抗争の方が重要課題だったと書かれていたのには少々驚いた。

イスラム地域での社会的な話としては、イスラム教という規範によって早くから都市文化が展開していたことや、軍事奴隷による常備軍というイスラム世界独自の軍事システムのことが書かれている。

奴隷に武器を持たせるという概念は想像しづらいところがあるが、執筆者によると軍事奴隷に近い存在としては日本のサラリーマンがあるとしており、ちょっと身につまされた。

他にもスンナ派とシーア派の成立事情や、アフリカの黒人に対してのイメージがイスラム教徒によるものが広まった可能性が高いことなど、世界史の教科書などでは充分にカバーしきれないイスラム地域の歴史が書かれていて興味深かった。




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