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『ドラッカーに先駆けた 江戸商人の思想』:雨読夜話

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ドラッカーに先駆けた 江戸商人の思想
ドラッカーに先駆けた 江戸商人の思想
平田雅彦 (著)
日経BP社 2010-05-20

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学者たちの著作や商家の家訓を中心として、江戸商人の思想を紹介・解説している本。

石門心学で知られる石田梅岩による『都鄙問答』、天文学者の西川如見による『町人嚢』、武将から禅僧に転身した鈴木正三の『四民日用』、そして三井家、住友家、鴻池家といった商家に伝わる家訓などが紹介され、実践的な内容に驚かされる。

勤勉、倹約(吝嗇とは厳しく区別している)、教育、正直などの徳目が書かれており、先日読んだ『スマイルズの世界的名著 自助論』と共通している部分が多い。
『自助論』が明治時代に中村正直によって『西国立志編』として翻訳されベストセラーになったのも、江戸商人のそうした思想と合う部分が多かったからではないかと思わされた。

例えば三井家の二代目による話をまとめた『町人考見録』では大名から借金を踏み倒されての倒産の事例が多く紹介されているそうで、いい加減な経営を戒める意味ではかなり効果的だったと思われる。

人材登用については、イマイチと思われる人にも異能があるかもしれないので先入観にとらわれないことや、むしろ10のうち9が良くて1が悪い人の方が大事をしでかす恐れがあるので要注意というあたりはポイントを押さえていると感じた。

欧米でアダム・スミスは『国富論』での「神の見えざる手」という言葉ばかりが独り歩きして道徳はあまり重視されていないイメージが持たれがちだが、『国富論』の前に書いた『道徳感情論』において”徳への道”と”財産への道”という言葉を使って徳の重要性を語っていることが書かれている。
また、『国富論』と『都鄙問答』を比較するとお客様が中心という観点があるところに『都鄙問答』が優れている部分があるとしている。

他にも経営哲学や道徳に関する事例や格言が多く収録されていて興味深い。
江戸時代の思想としてはどうしても朱子学や陽明学と言った武士中心の思想に偏りがちだが、経済の中心を担った商人の思想というものもそれらに劣らず重要だということを再認識した。




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